【完結】君が好きで彼も好き

SAI

文字の大きさ
28 / 35

28. 皐月さんと二人きり

しおりを挟む
「これで自分でしてみて」

そう言われた僕の目の前には先ほどまで僕の中に埋まっていたバイブがあった。ローションでぬめって妖しい光を放っている。

これを……自分で……

皐月さんの引力に逆らえない。時々見せる皐月さんの赤黒い熱、溶かされてしまいそうなほどの熱にどうしようもなく惹かれている自分がいる。恥ずかしい、でも、皐月さんが望むのなら……。

バイブにゆっくりと手を伸ばすと皐月さんが口元を歪めてほほ笑んだ。

「俺を見たまま入れて」

向き合う体勢で体を曲げる。

「そんな体勢じゃ入らないよ。ほら、ベッドの壁に寄り掛かって片足は自分で抱えて。あぁ、いいね、楓君の恥ずかしいところが良く見える」

言葉に反応して内部が締まる。

「くすっ、ヒクつかせて。そんなに楽しみなの?」
「そ、そういうんじゃない、です」

「じゃあ、これは何?」

先端から零れる透明な液体をすくわれて、血が顔に上った。

「顔を真っ赤にしちゃって、こんなにうぶそうなのにね。ほら、入れて?」

バイブをゆっくりと差し込む。皐月さんの目が気になって、言葉もなく見つめられているだけなのに感じてしまう。予期せずに内部が収縮するからバイブが上手く入らない。

「ちょっとだけ手伝ってあげる」

皐月さんが微笑んでバイブを持つ僕の手を掴んだ。そして僕のアナルにあてがう。

「ほら、ここで押さえていてあげるから自分で入れて」

「あっ、んんっ」
「そう、上手。息を吐いて」

「んっ……はぁ、はぁ」

皐月さんに見られてる。自分でアナルにおもちゃを挿入するところを全部……。

「さつき、さんっ、さつき、さ」

こんなに淫らで嫌われたりしないか不安になる。目に涙が滲むと皐月さんが僕の眼もとに口づけた。

「可愛い。楓君は本当に可愛い。ほら、動かして」

言葉がまるで催眠術か何かの様に体に浸透する。おぼつかない手で抜き差しをしたのは最初の方だけで耳元で皐月さんに囁かれるたびに僕は快楽に貪欲になった。

「あっ、あんっ、きもち、いいっ、きもちいいっ」

「くすっ、一生懸命に動かして可愛い」

皐月さんが僕の元を離れるのを感じながらも、僕はもっと快楽を得ようとしていた。

「いいね、ほら、中を掻き混ぜる音が聞こえる」

じゅぼ、じゅぼ、じゅぼ

「きもちいい?」
「きもち、いい、です、ああっ、さつきさんっ」

「そんなに気持ちいいなら、それだけでいいんじゃない? 俺は要らないでしょ」

「やだっ」

僕は驚いてバイブから手を離した。

「さつきさんがいいっ、さつきさんのがいいっ」

バイブよりももっと熱いもの。皐月さんのペニスで奥まで突いて欲しい。

「どこに入れる? 口?」

「やぁだっ」

イキタイ、皐月さんのペニスを埋めて、奥まで掻きまわして欲しい。

「ココ、ココに入れて」

僕があられもなく自分のアナルを広げると皐月さんがくすっと笑った。

「俺が欲しいんだ?」
「うん、さつきさんが、ほしい」

「入れるよ」

「あ゛ああああああああっ」

ゆっくり入って来るのに、それだけで快楽が脳天を突き抜けた。

「くすっ、イッちゃったね」
「あ、ああ……」

体を引きつかせながら焦点の合わない目で天井を見ていると、容赦なく皐月さんが動き始めた。

「うっ、あっ、やっ、まだだめ、だめえっ」

ヒクついた体が立て続けにヒクつく。

「ずっとイッてるみたいだね。中が凄くうねっているし熱い」

きゅっきゅうっと内部が締まっている自覚はある。

「さつきさ、ん、ああっ、さつきさ」

うわ言の様に何度も何度も皐月さんの名前を呼ぶとその度にキスが降りてくるのが嬉しい。

「一回イっていい?」
「ん……きて」

ぱちゅん、ぱちゅんと高い音を鳴らして皐月さんが奥を突き上げるといくつもの花火が上がる様に刺激が走った。

「はっ、あっ、んんっ」
「もっと欲しがってよ」

返事も出来ないほどの強烈な輸送に皐月さんにしがみ付いた。

「あぁっ、くるっ、あんっ、あああんっ」

僕が体を硬直させた瞬間、皐月さんがクっと苦しそうな息を吐いた。中で皐月さんのペニスが脈打つとそのままきつく抱きしめ合った。


「……君、楓君、大丈夫?」
「え、あ、大丈夫です」

裸の皐月さんが至近距離にいる。顔も近いこの状態に慣れなくて皐月さんの下から逃れようとするとぎゅっと抱きしめられた。

「このまま動くと俺のが抜けて精液が出ちゃうよ」

「あ……あ、そ、そうですよね」

「どうしたの? 冷静になっちゃった? 顔、また赤いけど」

密着している下半身が生々しい。何度も体を合わせたはずなのに、最後にはいつも意識を手放してしまうから熱がちょっと冷めた状態でこうしていることにテンパってしまう。

「あの、あ、なんかものすごく恥ずかしくて。僕、あんな……」

目の前には刺激的な皐月さんが居て、視線をさ迷わせているとクスクスと笑っている皐月さんの声がだんだんと大きくなった。どうやらツボったらしい。そして困ったことに皐月さんが笑うと体が揺れ、僕に突き刺さっているアレも震えて微かな刺激が内部を撫でる。

「俺は色々な楓君が見られてうれしかったけどね」

「皐月さん、なんか、意地悪だった……」

アキも一緒にしている時とは少し違って、S度が増すというかなんというか……。

「楓君が上になって貰っていい?」

はい、と頷いて繋がりが解けないようにゆっくりと上下を入れ替えると、騎乗位の体勢になった。

皐月さんの……まだ起ってる……。内部で猛々しく主張するそれが皐月さんがまだ僕に欲情している証拠のようで嬉しくて恥ずかしい。

「意地悪な俺は嫌?」

「……嫌じゃないですけど、僕ばっかり恥ずかしい」

むうっと口を尖らせると、皐月さんがふっと笑った。情事の後でちょっと気だるそうな目元が色っぽい。皐月さんは体を起こすと僕の頭を撫でた。

色っぽい目がぎゅっと大きくなってまるで少年のような目になる。こんなに素敵な人がなんで僕を選んでくれたんだろう。

「どうして僕なんですか? 皐月さん、こんなに魅力的なのに、それこそ、男も女も選び放題じゃないですか」

「ん~、楓君が楓君だからかな」

僕が僕だから? 

「ぷぷっ、理由なんて楓君が知らなくてもいいよ」

皐月さんの顔が迫って自然と唇が重なった。ピチャピチャと音を立ててお互いを味わいながら皐月さんがゆっくりと腰を動かす。

「んっ……んん……あ」

お腹の下の方がジンジンする。柔らかな熱が放出されていくみたいだ。

ぬちゅう、ぬちゅう、ぬちゅう

「どうして笑ってるの?」

「なんだか、繋がっているのが嬉しくて」

温かさが広がる。

「皐月さん、好きです」

皐月さんは優しく微笑むと「俺も好きだよ」と言った。




 皐月さんの言いつけをちゃんと守った泉が帰ってきたのは13時を少し回ったところだった。僕の名前を呼びながら皐月さんの部屋のドアを開けた時、すっかり空が明るくなるまでシテいた僕たちはぐっすりと寝入っていた。

「あぁっ、やっぱり」

そんな声が聞こえて薄く目を開ける。

「泉?」

泉は僕を見るなり「こんなところにまで」と呟いて首筋に吸い付いてきた。

「ちょ、ちょっと泉っ、くすぐったいってば、もうっ」

皐月さんを起こさない様にそっと抵抗してみせるも泉は僕から離れずに首元をちゅうううっと吸った。

「あっ……バカ」

このままでは何されるかわかったもんじゃない。
僕はベッドから出ると泉の手を掴んで皐月さんの部屋から出た。


「おかえり、泉」
「ただいま」

「外寒かったでしょ。コーヒーでも淹れるからちょっと待ってて。着替えてくる」

部屋に戻った僕が姿見に自分を映すと、首元にくっきりと二つのキスマークがついていた。

「マジか……」

きっとひとつが皐月さんでもう一つはさっき泉が付けたものだ。泉はともかく皐月さんがこんなことをするなんて意外だ。恐る恐る服をめくってお腹を出すと、お腹のあちこちにも同じようなキスマークがあった。

「ヤバイ……かな。こんなに嬉しいなんて」

体に残る印も、足首に巻かれた鎖も僕が二人のものだと言われているみたいだ。何の変哲もない自分の体をこんなに愛おしいと思うのは初めてだった。



しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

【bl】砕かれた誇り

perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。 「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」 「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」 「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」 彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。 「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」 「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」 --- いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。 私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、 一部に翻訳ソフトを使用しています。 もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、 本当にありがたく思います。

【完結】弟を幸せにする唯一のルートを探すため、兄は何度も『やり直す』

バナナ男さん
BL
優秀な騎士の家系である伯爵家の【クレパス家】に生まれた<グレイ>は、容姿、実力、共に恵まれず、常に平均以上が取れない事から両親に冷たく扱われて育った。  そんなある日、父が気まぐれに手を出した娼婦が生んだ子供、腹違いの弟<ルーカス>が家にやってくる。 その生まれから弟は自分以上に両親にも使用人達にも冷たく扱われ、グレイは初めて『褒められる』という行為を知る。 それに恐怖を感じつつ、グレイはルーカスに接触を試みるも「金に困った事がないお坊ちゃんが!」と手酷く拒絶されてしまい……。   最初ツンツン、のちヤンデレ執着に変化する美形の弟✕平凡な兄です。兄弟、ヤンデレなので、地雷の方はご注意下さいm(__)m

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

執着

紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

処理中です...