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プロローグ ☆
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「あっ・・・っ・・・んんっ」
八田台美術大学。21時。
油絵学科の誰もいない一室で僕はあられもなく息を吐いた。
腕で口を押えて声を押し殺そうにも、どこかに逃がそうとしてもその快楽は容赦なく僕を追い詰め、昂らせる。
「あ・・・・もうっ・・・そんなに・・・どう・・っ・・して?」
「欲求不満解消のおてつだい」
僕の中心を咥えたまま話すから、敏感な部分に息がかかるたびゾクゾクとした快楽が体を駆けあがった。
「イっていいぜ。遠慮すんなよ」
「や・・・だ」
「そう言って、いつも最後にはちゃんとイクくせに」
言葉の主は一層深く僕自身を含むと早いストロークで動き、最後に口をすぼめるようにして強く吸った。
「あっ・・んんっ」
僕はひときわ大きく体をビクつかせると壁に体を預けて崩れ落ちた。
「そんなに気持ちよかった?」
にやっと笑うその顔が癇に障る。
「うるさい。早く出ていけよ」
「はいはい。じゃあ、またね。渉くん」
佐倉が部屋を出ていったのを確認してから僕はゆっくりと立ち上がり、少しだけズレたメガネを直した。それから描きかけの絵の側面に手を添わせる。
浅ましい。
僕は浅ましい。
彼に伸ばせやしない腕を折り曲げて、体の中でくぐもった熱を彼の親友の手で発散させるのだ。
彼が触れる、
彼に触れる、
その手で。
「ほんと、何やってんだろ」
言葉は虚しく、誰もいない教室の中に響いた。
八田台美術大学。21時。
油絵学科の誰もいない一室で僕はあられもなく息を吐いた。
腕で口を押えて声を押し殺そうにも、どこかに逃がそうとしてもその快楽は容赦なく僕を追い詰め、昂らせる。
「あ・・・・もうっ・・・そんなに・・・どう・・っ・・して?」
「欲求不満解消のおてつだい」
僕の中心を咥えたまま話すから、敏感な部分に息がかかるたびゾクゾクとした快楽が体を駆けあがった。
「イっていいぜ。遠慮すんなよ」
「や・・・だ」
「そう言って、いつも最後にはちゃんとイクくせに」
言葉の主は一層深く僕自身を含むと早いストロークで動き、最後に口をすぼめるようにして強く吸った。
「あっ・・んんっ」
僕はひときわ大きく体をビクつかせると壁に体を預けて崩れ落ちた。
「そんなに気持ちよかった?」
にやっと笑うその顔が癇に障る。
「うるさい。早く出ていけよ」
「はいはい。じゃあ、またね。渉くん」
佐倉が部屋を出ていったのを確認してから僕はゆっくりと立ち上がり、少しだけズレたメガネを直した。それから描きかけの絵の側面に手を添わせる。
浅ましい。
僕は浅ましい。
彼に伸ばせやしない腕を折り曲げて、体の中でくぐもった熱を彼の親友の手で発散させるのだ。
彼が触れる、
彼に触れる、
その手で。
「ほんと、何やってんだろ」
言葉は虚しく、誰もいない教室の中に響いた。
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