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プロローグ
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しおりを挟む「リリィ=ブランシュ・ル・ベルナール伯爵令嬢」
王宮の一室に厳しい声が落とされた。
「いかがわしい場所に出入りしていたと聞くが、本当か」
「他にも商家の子息をたぶらかして、宝石を貢がせているとか」
「社交界では他家の令嬢へひどい嫌がらせをしたという報告も多数耳に届いておる」
まるで尋問のように矢継ぎ早に問いただされるが、リリィにはすべてにおいて心当たりひとつない。
「殿下、どれも真実ではございませんわ。わたくしはそのような――」
「いいわけなんて聞きたくもない! おまえのような悪女と結婚なんてできるか! 二度と僕の前に顔を見せるな!」
リリィの釈明など最初から聞く気などなかったのだろう。声を荒げて一刀両断した第四王子に見知った顔の令嬢がしなだれかかりながらこちらを見ている。手に持った扇が下がっているため、ほくそ笑んでいる顔が丸見えだ。
やられましたわ。
まさか彼女がここまでやるとは思いもよらなかった。完全に計算ミスだ。
「承知いたしました。わたくし、王都を去ります」
金色のまつ毛を震わせながらスカートの裾を持ち上げ、片足を後ろに引いてカーテシーをする。これがきっと第四王子への最後の挨拶になるだろう。
口もとが勝手に緩みそうになるが、十九年間伯爵令嬢として培ってきた精神力ゆえに、いっさい表には出さない。
当初の計画とは少し違った展開だったけれど、着地点は一ミリたりともズレてない。
やっと夢が叶うときが来たのよ!
心の中では高笑いながら万歳三唱だ。
リリィ=ブランシュは、純真可憐な令嬢の皮を被った強かなアラサー女なのだ。
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