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3.あの頃と同じこと、違うこと。***
[1]ー5
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お、おでこ……?
『相性を確かめる』なんて言うからなにをされるかと身構えたが、若干拍子抜けだ。離れていく気配にほっと胸をなで下ろした、そのとき。
「いっ!」
カプリと鼻の先をかじられた。痛みに驚いて目を開いたら、口の端を持ち上げた彼と目が合う。
からかわれたんだ!
ひどい! と抗議の声を上げようとした次の瞬間、チュッとすばやく唇を啄まれた。
一瞬なにが起きたかわからずに、ぽかんとする。それがキスだと気がつくと同時に、再度唇を塞がれた。
「んっ」
今度はさっきよりもしっかりと唇同士が密着し、相手の体温や柔らかさを感じる。じっと動かず押しつけられているだけなのに、心臓がドクドクと脈打っている。音が彼に聞こえてしまいそうだ。
あまりの長さに息苦しくなって、彼の胸を押す。酸素を求めて息を吸い込んだそのとき、噛みつくように唇を塞がれた。
ぬるりと押し入って来た彼の舌が、奥に逃げようとする私のものをあっという間に絡め取る。頬に添えられていた手はいつの間にか首の後ろに回されていて、逃げ道を封じられていた。
舌の表面も裏側も、余すところなく丹念に撫でられる。
「んっ……ふぁっ」
少しでも私が反応する場所があれば、そこを何度も執拗にこすられる。強引なようでいて、その動きは繊細かつ甘やかで、与えられる刺激に悶えた。
こんなに気持ちいいキスがあるなんて……。
これまで経験したキスなんて全然比べものにならない。
すがるように目の前のシャツをきゅっと握ると、それを合図に動きが激しくなった。
歯列や口蓋の裏まで余すところなく丹念になぞられる。ぴちゃぴちゃと淫靡な水音が頭の中に直接響いた。
彼のシャツを握り締めて甘い痺れに悶えているうちに、彼の唇はリップ音を立てて離れて行った。
やっと解放された口から大きく息を吸い込む。コホッと咳込むと、背中をトントンと優しく撫でられる。
相性を確かめると言っていたけれど、私は合格なのだろうか。有って無いようなレベルの経験値しか持ち合わせていないので、どういう判定が下されるのかまったくわからない。わかったことといえば、自分と違って彼は経験豊富だということだ。
やっぱり不合格だって言われるかしら……。
胸の奥がチクンと痛んだのに気づかないふりをしたとき、背中でなにかがシュルシュルと解かれる音がした。まさか、と思い振り向くと彼の手がブラウスのリボンをつまんでいる。
「なっ」
なにをしているのと抗議の言葉を口にするより早く、大きく開いたところから手が侵入してきた。
「きゃっ」
乾いた手のひらに背筋をたどられ、体をのけぞらせたが逆効果だったかもしれない。反り返った喉元に唇を寄せられ、上下唇で軽く挟まれながら吸いつかれる。
「んやっ」
彼の胸を両手で押し返すがびくともしない。それどころか反対に押されてソファーに仰向けに倒れ込んだ。
「あ……っ」
真上からじっと見つめられる。瞳の奥にこれまで向けられたことのない熱が見え隠れする。鼓動が早鐘を打ち、頭が真っ白になる。
「ちゃんとわかったか?」
「え、あ……え」
意味を瞬時に理解できない。考えようと思うのに頭がうまく働かないのだ。彼はそれをわかったかのように妖艶な笑みを浮かべる。
「男としての俺は合格?」
本当だったら迷わず肯定すべきところだ。けれど首を縦に振るのをためらった。なんとなく癪だったのだ。キスでいいように翻弄された後でうなずけば、簡単に堕ちる女だと思われてしまう。
そもそもこんなテスト、私には必要ないのに。そう思ったらむくむくと反抗心が湧き上がった。
「そういう圭吾お兄ちゃんこそどうなの? 変な同情なんて要らないから正直に答えてよ」
だめならだめだといっそはっきり言ってほしい。その方がスッパリと諦めもつくだろう。淡い初恋の残骸をシンガポールの海に捨ててしまうのも手かもしれない。
覚悟を決めて見上げたら、彼が答えづらそうに視線をさ迷わせた。
やっぱりだめなんだ……。
あんなに官能的なキスを交わしても、彼の中の私は〝妹〟から脱却できないのだ。そう考えたら幼なじみという関係すらむなしくなってくる。
『相性を確かめる』なんて言うからなにをされるかと身構えたが、若干拍子抜けだ。離れていく気配にほっと胸をなで下ろした、そのとき。
「いっ!」
カプリと鼻の先をかじられた。痛みに驚いて目を開いたら、口の端を持ち上げた彼と目が合う。
からかわれたんだ!
ひどい! と抗議の声を上げようとした次の瞬間、チュッとすばやく唇を啄まれた。
一瞬なにが起きたかわからずに、ぽかんとする。それがキスだと気がつくと同時に、再度唇を塞がれた。
「んっ」
今度はさっきよりもしっかりと唇同士が密着し、相手の体温や柔らかさを感じる。じっと動かず押しつけられているだけなのに、心臓がドクドクと脈打っている。音が彼に聞こえてしまいそうだ。
あまりの長さに息苦しくなって、彼の胸を押す。酸素を求めて息を吸い込んだそのとき、噛みつくように唇を塞がれた。
ぬるりと押し入って来た彼の舌が、奥に逃げようとする私のものをあっという間に絡め取る。頬に添えられていた手はいつの間にか首の後ろに回されていて、逃げ道を封じられていた。
舌の表面も裏側も、余すところなく丹念に撫でられる。
「んっ……ふぁっ」
少しでも私が反応する場所があれば、そこを何度も執拗にこすられる。強引なようでいて、その動きは繊細かつ甘やかで、与えられる刺激に悶えた。
こんなに気持ちいいキスがあるなんて……。
これまで経験したキスなんて全然比べものにならない。
すがるように目の前のシャツをきゅっと握ると、それを合図に動きが激しくなった。
歯列や口蓋の裏まで余すところなく丹念になぞられる。ぴちゃぴちゃと淫靡な水音が頭の中に直接響いた。
彼のシャツを握り締めて甘い痺れに悶えているうちに、彼の唇はリップ音を立てて離れて行った。
やっと解放された口から大きく息を吸い込む。コホッと咳込むと、背中をトントンと優しく撫でられる。
相性を確かめると言っていたけれど、私は合格なのだろうか。有って無いようなレベルの経験値しか持ち合わせていないので、どういう判定が下されるのかまったくわからない。わかったことといえば、自分と違って彼は経験豊富だということだ。
やっぱり不合格だって言われるかしら……。
胸の奥がチクンと痛んだのに気づかないふりをしたとき、背中でなにかがシュルシュルと解かれる音がした。まさか、と思い振り向くと彼の手がブラウスのリボンをつまんでいる。
「なっ」
なにをしているのと抗議の言葉を口にするより早く、大きく開いたところから手が侵入してきた。
「きゃっ」
乾いた手のひらに背筋をたどられ、体をのけぞらせたが逆効果だったかもしれない。反り返った喉元に唇を寄せられ、上下唇で軽く挟まれながら吸いつかれる。
「んやっ」
彼の胸を両手で押し返すがびくともしない。それどころか反対に押されてソファーに仰向けに倒れ込んだ。
「あ……っ」
真上からじっと見つめられる。瞳の奥にこれまで向けられたことのない熱が見え隠れする。鼓動が早鐘を打ち、頭が真っ白になる。
「ちゃんとわかったか?」
「え、あ……え」
意味を瞬時に理解できない。考えようと思うのに頭がうまく働かないのだ。彼はそれをわかったかのように妖艶な笑みを浮かべる。
「男としての俺は合格?」
本当だったら迷わず肯定すべきところだ。けれど首を縦に振るのをためらった。なんとなく癪だったのだ。キスでいいように翻弄された後でうなずけば、簡単に堕ちる女だと思われてしまう。
そもそもこんなテスト、私には必要ないのに。そう思ったらむくむくと反抗心が湧き上がった。
「そういう圭吾お兄ちゃんこそどうなの? 変な同情なんて要らないから正直に答えてよ」
だめならだめだといっそはっきり言ってほしい。その方がスッパリと諦めもつくだろう。淡い初恋の残骸をシンガポールの海に捨ててしまうのも手かもしれない。
覚悟を決めて見上げたら、彼が答えづらそうに視線をさ迷わせた。
やっぱりだめなんだ……。
あんなに官能的なキスを交わしても、彼の中の私は〝妹〟から脱却できないのだ。そう考えたら幼なじみという関係すらむなしくなってくる。
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