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6.大人の華金デート***
[2]ー5
「取らないと洗えないだろう?」
至極当然の顔をして言われても困る。これを取られたら、彼の目に一糸まとわぬ姿をさらすことになるのだ。
『なにを今さら』と言われそうだが、薄暗い寝室でのそれと、煌々と明かりに照らされたバスルームでは、まったく違う。
「取るくらいなら終わりにするわ」
断固として譲らないと目で訴えると、すんなり「わかった」と返ってくる。ほっと息をついたらにこりと微笑まれた。
「これはこれで眼福だな」
彼の視線の先をたどり自分を見下ろした瞬間、息をのんだ。
ぐっしょりと濡れたバスタオルが体に張り付き、体のラインだけでなく胸の形やまでくっきりと浮き彫りになっている。
「み、見ないで!」
両腕で隠そうとしたが彼の方が早い。ふたつの膨らみをバスタオルの上から手で包む。
「きゃっ」
「ご希望通り、見てもいないし、バスタオルを取ってもないけど?」
彼はにこりと微笑んだ後、やわやわと手を動かし始めた。
「やんっ」
自分で洗うときよりも全然力は強くない。肌を痛まないようにそっと洗ってくれているのだろうが、かえって先端をタオルが擦り、むずむずともどかしい感覚に声を出さないよう必死になる。
胸からお腹にかけてひとしきり上半身をバスタオルごとこすり終えると、彼は私の足元にひざまずいた。私の右足を持ち上げる。
ドキッと心臓が跳ねた。バスタオルはその役目をギリギリ果たしてくれているが、これより上にされたらあらぬところが見えてしまう。
彼の手から足を引っ込めようかと思った瞬間、彼は自分の太ももの上に置いた。再びボディソープを手に取り泡立てると、腕のときと同じように優しく両手でこすり始める。
下唇を噛みしめて、声が出ないように口を引き結んだ。
腕のときと違って、すこしも気が抜けない。太もものあたりまで上がって来られると、自然と体が硬くなる。
幸い彼はバスタオルの縁ギリギリまでしか洗わず、それより上には侵入して来なかった。恭しい手つきでそっと足を乗せ換え、反対も丁寧に洗った。
「流すぞ」
シャワーヘッドを手にした彼にうなずくと、コックをひねられシャワーが勢いよく出てきた。水圧の高いお湯を肩にかけられながら、なぜか釈然としない気持ちになった。
いったいなんなのだろう。彼は本気で私を洗うことしか考えていないのだろうか。こんな状況で、すこしの下心もなく異性の体に触れることができるなんて信じられない。妹みたいなものだから? それとも夫婦だから?
ほんのちょっとくらい、私のセミヌードに翻弄されてくれたってよかったのに……。
魔が差したみたいにある考えが浮かんだ。
「交代する」
「は?」
「私も圭君を洗うわ。してもらうばかりは性に合わないの」
彼は丸くした目をしばたたかせた後、思いきり「ぷっ」と吹き出した。
「もう、笑わないで。本気なのよ」
「ごめんごめん」
言いながら肩を震わせている彼に、むうっと眉根を寄せる。
どうせできるはずないと思っているのだ。生来の負けず嫌いがムクムクとこみ上げてくる。
彼の腰で結ばれているひもを思い切り引っ張った。はらりと開いたバスローブの合わせから現れた〝モノ〟に、大きく目を見開いた。
「きゃあっ!」
勢いよく体を反転させ、顔を両手で覆う。
厚い胸板、六つに割れた腹筋、たくましい二の腕。
一緒に暮らしているのだ、彼の上半身が驚くほど引き締まっていることくらい知っている。お風呂上がりで暑いからと、上になにも着ずにリビングをうろうろすることもある。なにか羽織ってよと怒りつつ、内心では『顔だけじゃなく体まで造形美だな』なんてひそかに思っていたりもした。
だけど見たことがあるのはそこまでだった。
結婚からこのひと月、幾度も濃密な夜を過ごしているというのに、実はまだきちんと〝その下〟を見たことがなかったのだ。
明かりをギリギリまで絞った寝室でということもあったが、恥ずかしすぎてできるだけ直視しないようにしていた。
こんなにすごいものだったなんて!
至極当然の顔をして言われても困る。これを取られたら、彼の目に一糸まとわぬ姿をさらすことになるのだ。
『なにを今さら』と言われそうだが、薄暗い寝室でのそれと、煌々と明かりに照らされたバスルームでは、まったく違う。
「取るくらいなら終わりにするわ」
断固として譲らないと目で訴えると、すんなり「わかった」と返ってくる。ほっと息をついたらにこりと微笑まれた。
「これはこれで眼福だな」
彼の視線の先をたどり自分を見下ろした瞬間、息をのんだ。
ぐっしょりと濡れたバスタオルが体に張り付き、体のラインだけでなく胸の形やまでくっきりと浮き彫りになっている。
「み、見ないで!」
両腕で隠そうとしたが彼の方が早い。ふたつの膨らみをバスタオルの上から手で包む。
「きゃっ」
「ご希望通り、見てもいないし、バスタオルを取ってもないけど?」
彼はにこりと微笑んだ後、やわやわと手を動かし始めた。
「やんっ」
自分で洗うときよりも全然力は強くない。肌を痛まないようにそっと洗ってくれているのだろうが、かえって先端をタオルが擦り、むずむずともどかしい感覚に声を出さないよう必死になる。
胸からお腹にかけてひとしきり上半身をバスタオルごとこすり終えると、彼は私の足元にひざまずいた。私の右足を持ち上げる。
ドキッと心臓が跳ねた。バスタオルはその役目をギリギリ果たしてくれているが、これより上にされたらあらぬところが見えてしまう。
彼の手から足を引っ込めようかと思った瞬間、彼は自分の太ももの上に置いた。再びボディソープを手に取り泡立てると、腕のときと同じように優しく両手でこすり始める。
下唇を噛みしめて、声が出ないように口を引き結んだ。
腕のときと違って、すこしも気が抜けない。太もものあたりまで上がって来られると、自然と体が硬くなる。
幸い彼はバスタオルの縁ギリギリまでしか洗わず、それより上には侵入して来なかった。恭しい手つきでそっと足を乗せ換え、反対も丁寧に洗った。
「流すぞ」
シャワーヘッドを手にした彼にうなずくと、コックをひねられシャワーが勢いよく出てきた。水圧の高いお湯を肩にかけられながら、なぜか釈然としない気持ちになった。
いったいなんなのだろう。彼は本気で私を洗うことしか考えていないのだろうか。こんな状況で、すこしの下心もなく異性の体に触れることができるなんて信じられない。妹みたいなものだから? それとも夫婦だから?
ほんのちょっとくらい、私のセミヌードに翻弄されてくれたってよかったのに……。
魔が差したみたいにある考えが浮かんだ。
「交代する」
「は?」
「私も圭君を洗うわ。してもらうばかりは性に合わないの」
彼は丸くした目をしばたたかせた後、思いきり「ぷっ」と吹き出した。
「もう、笑わないで。本気なのよ」
「ごめんごめん」
言いながら肩を震わせている彼に、むうっと眉根を寄せる。
どうせできるはずないと思っているのだ。生来の負けず嫌いがムクムクとこみ上げてくる。
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