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『 LOVE YOU!』92

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92.☑

 元々の原因は神谷の妻の由香子に起因していた。

 家柄の釣り合いがとれない、お前に相応しくないというのが
父親の言い分であった。
 そして残念なことに母親も父親ほどではないにしろ、概ね
父親と同じ意見だったこと。

 神谷の妻由香子の旧姓は森口といい、森口由香子という。
彼女は幼い頃(8才頃)父親と死別し、母一人子一人の家庭で
育ち。

 由香子もその母親も堅実に生きてた人たちで、由香子が
小さな頃から将来の為にと母親はせっせと少しずつではあ
るが貯金をし、由香子は由香子で高校生になるとアルバイ
トに励み、お金を貯め。

 そしてその両方のお金で彼女は公務員試験に向けて一年
間を自分に投資したのだとか。
 専門学校に通い、見事合格を勝ち取り、警察事務職に
就いた。


 「奥さん、とっても頑張り屋さんだったのね」

 「うん、話を聞いて僕もそう思った」

 「そんなすごい女性があなたと不釣り合いって・・申し
訳ないけどお父さん最低だねー。 アッゴメン」

 「そうだろ? 流石、香さんだよー。最低なんだよ親父は
さ。何様なんだろうねー、haha」

 神谷は、心から香のことをリスペクトした。

 結婚しようかという相手に、その父親のことをこんな風
に正当に評価し、言葉にするなんて、普通は避けるだろう
から。


 「ところで・・」

 「・・」

 「神谷さん、あなたも元々警察官だったのかな? 」

 「へっ? いやぁ~、僕が警察官だったことは一度もあ
りませんよー」

 「じゃあ、由香子さんとはどちらで?
 お知り合いになったのかしら? 」

 「あーっ、それね。
 聞いてくださいよー・・・」

 ダカラ 聞いてるよっ。

 「僕、二回も車のキー落としちゃって、その時落とし物
の窓口にいたのが妻だったんですよ」

 あれですか、警察署でナンパしたのかしらン?

 「その後、街で再会しましてね、それで」

 流石に警察署じゃなかったのね。

            
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