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寺社を巡っているのに、災難が続く……
しおりを挟む顔を上げると、そこには4歳くらいの男の子が私と同様に尻餅をついている。つまりこの子がよそ見をしながら走るなどして、私にぶつかってきたんだと思う。
「キミ、大丈夫っ!? 怪我はしてない?」
私が優しく声をかけると、その子はキョトンとしたまま静かに頷いた。それを見て私はホッしながら立ち上がり、男の子が立つのを手助けしてあげる。
直後、その子の母親と思われる20代くらいの女性が駆け寄ってきて私に頭を下げる。
「すみません、うちの子がぶつかっちゃったみたいで。お怪我はありませんか?」
「あ……は、はい。大丈夫です」
本当は少し足首が痛かったんだけど、気を遣わせてしまうのは悪いので黙っておくことにした。男の子だって悪気があってやったわけではないんだろうし。それに幼い子どもが元気なのは良いことだ。
その後、母親は何度も私に頭を下げ、男の子とともに去っていった。私はその子に笑顔で手を振りながら、姿が見えなくなるまで見送る。
「やれやれ……」
私は苦笑しながらその場を離れようとする。でも右足を踏み出した瞬間、電気のような痛みが足首全体に走り、思わず表情を歪める。
じっとしている間は一時的に痛みが収まっていて、足を捻っていたのを失念していた……。
「軽い捻挫……かな……」
屈んで右足首を優しく擦ってみると、ちょっとだけ痛気持ちいい感じがする。
――よし、この程度なら骨に異常はなさそうだ。
もし骨にヒビが入ったり骨折したりしていたら、もっと痛くて動けないはずだから。とはいえ、無理をしたり走ったり体重を掛けすぎたりするのは避けた方が良いとも思う。
だから私は近くのベンチに座って少し休み、それから出発することにする。幸いにも休んでいるうちにかなり痛みが収まってきて、だいぶ楽になってくる。この状態ならゆっくりであれば歩けるし、七福神巡りも続けられそうだ。
ゆえに私は静かに立ち上がり、歩幅を狭めて静かに歩き出す。こうして私は二継神社へ向かい、普段より移動の所要時間がかかったものの無事に参拝を終えることが出来たのだった。
次の寺社は三顧寺。ここには布袋尊が祀られている。三顧寺は二継神社の隣にあるので、二継神社の境内から道路へ出て何歩か歩けばそこが三顧寺の山門となっている。
そして私が山門をくぐってお堂へ向かって歩いていこうとした時に事件は起こる。
なんと門の上に留まっていたと思われる鳩がフンを落としてきたのだ。今の私は怪我で素速く動けない上、その足首に気を取られていたばっかりに気付くのが遅れ、コートの左腕の部分に大当たり。
ほんの数秒でも腕を前へ出すタイミングがズレていれば、回避できたのに……。
「うぅ……最悪……」
私はカバンからウェットティッシュを取り出し、直撃を受けた部分を応急処置的に拭いておいた。コートが白色で目立ちにくいのは良か――って、全然良くないッ!
七福神巡りが終わったら、すぐにクリーニングに出さないとなぁ……。
「はぁ……」
私は思わず深いため息を漏らした。新年早々、ツイていない。今年は厄年でもないのに、なんだか一年が不安になってくる。
最初の御朱印をいただく直前には『番号札がラッキーセブンで縁起が良くて、もしかしたら今年は想像以上に良い年になるかも!?』なんて思っていたのに、それはとんでもない勘違いだった。あれはきっと『アンラッキーセブン』だったんだ。
よく考えてみると、来週には13日の金曜日がある。西洋の一部ではその日が不吉とされているけど、私にとってはきっと7日の土曜日が不吉な日なのだ。
「はぁ……」
またしても自然とため息が漏れる。ため息をつくと幸せが逃げるなんて言われるけど、私にはすでに不幸しかないので遠慮なんかしない。
もはや怖いもんなんてないもんっ! はっはっは! ははは……はは……は……はぁ……虚しい。
(つづく……)
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