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スタンピードランチまで、あと9日。
チャーリーがやってきた。アリスちゃんの様子を見てこいとリジーさんに言われたらしい。
「あと、パールが仔を生んだ」
あ、やっぱり?
「なんでわかったんだ、マージョ? 誰も当日まで気づかなかったのに」
チャーリーは驚いたように目を見開く。
「普通気づくのに、おれも親父も気づかなかったんだ」
うーん。市場にいたときから見えてたからな……。
適当に言葉を濁す。
後でアーロンが、「あれはオーロラが、周囲の目をくらましてたんだ」と教えてくれた。
なんというか、パールの仔が私のポニーになることが大事だったとかなんとか。
神々の考えることは良くわからない。
あと、チャーリーから卵とラズベリーと生クリームの差し入れがあったので、プリンを作り、プリン・ア・ラ・モード的なものにしてみんなで食べた。
神棚に供えて余った分を神官補の部屋に持っていったら夏雪草のみんなだけでなく、チャーリーも大真面目に祝福された。
神官補のスイーツラブはとどまるところを知らない。
スタンピードランチまで、あと8日。
ハンナさんのマスターピースが承認された。
作品は美しいコバルトブルーの軸を持つガラスペンで商人ギルド長のフェリックスさんを念頭に作ったものだ。
青い色を出したのはハンナさんの独自の調合で門外不出という。
私が渡した青いワインボトルが衝撃的で色々と試行錯誤を重ねたのだという。
フェリックスさんは、渡されたペンを茫然と眺めていた。
「美しい……」
妹弟子に先を越された形になるロバートさんは、一念発起して頑張っているのだそうだ。
初めての女性親方であるだけでなく、史上最年少でもある。
ちなみに、マルタさんにはガラスペン用の木製の筆箱の注文が殺到しているという。
スタンピードランチまで、あと7日。
市場に食品が出づらくなっている感覚がある。
食べ物ではない店が増えている。
竈やトイレの準備は大体整って、試用もしてみたところ。
何とかなりそう。
案内係をする街の子どもたちとは予行演習をした。色々と説明をして、場所も覚えさせて、お腹いっぱいスープを食べさせて、試しに作ったバオも渡して帰らせた。
何人かは宿で風呂にも入れてちょっと小綺麗にした。
竈もいい感じだし、近所の井戸もいい感じ。大変だけど、これなら当日なんとかなるだろうと思う。
「考えてみると二百人ってそんなに多いわけでもないよね」
夜、アリスちゃんが眠ったあと、アーロンに言う。
「小学校の給食とかもっとたくさん作ってるじゃない?」
「しかし、あれは設備が整ったところでの作業だからな」
アーロンは日本の給食事情にも詳しい。さすが智慧の神。
スタンピードランチまで、あと5日。
ランチの後の売出しについて作戦会議。ジョーさんが作った薄手の鍋を売ることはすでに決定事項。鍋は大体目標数に近い数が出来ている。全部夏雪草のマーク入り。
あと、マルタさんがいくつか木製の椀を売りたいと言ってくれた。
基本的には冒険者は自分の食器を持っていてそれを持って列に並ぶわけだけれど、何らかの事情で列に並んでから食器が足りないと気づいた場合など、その場で手頃な値段で買うことができる、というわけだ。
一定数ははけると思う。
あと、スプーンも売ると。
ランチの翌日は市場に夏雪草の出店を一日出してトーマスさんに、色々と売ってもらうことまで決めた。
ランチそのものだけじゃなくて、ランチの後も見越して計画を立てているのだ。
チャーリーがやってきた。アリスちゃんの様子を見てこいとリジーさんに言われたらしい。
「あと、パールが仔を生んだ」
あ、やっぱり?
「なんでわかったんだ、マージョ? 誰も当日まで気づかなかったのに」
チャーリーは驚いたように目を見開く。
「普通気づくのに、おれも親父も気づかなかったんだ」
うーん。市場にいたときから見えてたからな……。
適当に言葉を濁す。
後でアーロンが、「あれはオーロラが、周囲の目をくらましてたんだ」と教えてくれた。
なんというか、パールの仔が私のポニーになることが大事だったとかなんとか。
神々の考えることは良くわからない。
あと、チャーリーから卵とラズベリーと生クリームの差し入れがあったので、プリンを作り、プリン・ア・ラ・モード的なものにしてみんなで食べた。
神棚に供えて余った分を神官補の部屋に持っていったら夏雪草のみんなだけでなく、チャーリーも大真面目に祝福された。
神官補のスイーツラブはとどまるところを知らない。
スタンピードランチまで、あと8日。
ハンナさんのマスターピースが承認された。
作品は美しいコバルトブルーの軸を持つガラスペンで商人ギルド長のフェリックスさんを念頭に作ったものだ。
青い色を出したのはハンナさんの独自の調合で門外不出という。
私が渡した青いワインボトルが衝撃的で色々と試行錯誤を重ねたのだという。
フェリックスさんは、渡されたペンを茫然と眺めていた。
「美しい……」
妹弟子に先を越された形になるロバートさんは、一念発起して頑張っているのだそうだ。
初めての女性親方であるだけでなく、史上最年少でもある。
ちなみに、マルタさんにはガラスペン用の木製の筆箱の注文が殺到しているという。
スタンピードランチまで、あと7日。
市場に食品が出づらくなっている感覚がある。
食べ物ではない店が増えている。
竈やトイレの準備は大体整って、試用もしてみたところ。
何とかなりそう。
案内係をする街の子どもたちとは予行演習をした。色々と説明をして、場所も覚えさせて、お腹いっぱいスープを食べさせて、試しに作ったバオも渡して帰らせた。
何人かは宿で風呂にも入れてちょっと小綺麗にした。
竈もいい感じだし、近所の井戸もいい感じ。大変だけど、これなら当日なんとかなるだろうと思う。
「考えてみると二百人ってそんなに多いわけでもないよね」
夜、アリスちゃんが眠ったあと、アーロンに言う。
「小学校の給食とかもっとたくさん作ってるじゃない?」
「しかし、あれは設備が整ったところでの作業だからな」
アーロンは日本の給食事情にも詳しい。さすが智慧の神。
スタンピードランチまで、あと5日。
ランチの後の売出しについて作戦会議。ジョーさんが作った薄手の鍋を売ることはすでに決定事項。鍋は大体目標数に近い数が出来ている。全部夏雪草のマーク入り。
あと、マルタさんがいくつか木製の椀を売りたいと言ってくれた。
基本的には冒険者は自分の食器を持っていてそれを持って列に並ぶわけだけれど、何らかの事情で列に並んでから食器が足りないと気づいた場合など、その場で手頃な値段で買うことができる、というわけだ。
一定数ははけると思う。
あと、スプーンも売ると。
ランチの翌日は市場に夏雪草の出店を一日出してトーマスさんに、色々と売ってもらうことまで決めた。
ランチそのものだけじゃなくて、ランチの後も見越して計画を立てているのだ。
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