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2巻
2-3
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防衛戦ということもありマウリシア王国軍の戦意は高く、またイグニスは有能で頼れる野戦指揮官である。
だからといって傭兵の損耗率が、正規軍を下回るということはありえない。
貧しい育ちのため、騎士のように全身鎧をまとうでもなく、身体強化をほとんど使えない者もいる。
そして当然のように危険な持ち場を任される傭兵は、いつの時代も、もっとも死ぬ確率が高い兵科なのだ。
ゆえにこそ、負け戦で真っ先に逃げ出すのも傭兵ということになる。
イグニスは食糧と医療を手厚く支援することで、なんとか彼らの戦意を繋ぎとめていたが、こうして劣勢が続く以上、遠からず逃亡者が出始めることになるだろう。
闇に溶け込むような黒衣の男が話しかけてきたのは、レパルスがそんなことを考えていたときだった。
「双剣のレパルス殿とお見受けしますが……」
「……見かけん顔だと思っていたが……何用だ?」
先ほどから気配を殺して自分に付きまとっていた男の存在に、レパルスは気づいていた。
残念ながら傭兵同士にそれほどの信頼関係はなく、常に警戒は怠らない。
いつ仲間に寝首をかかれ、全財産を奪われるかしれないのが傭兵というものなのだ。
「すでにわかっておいでかと思いますが……」
「傭兵にも仁義ってもんがある。裏切れってんならお断りだ」
最近は仁義を通す者も少なくなってきたが、一度裏切った傭兵が信用を失うことに変わりはない。
今後も傭兵で生計を立てていくつもりのレパルスに、そうしたリスクを冒す動機はなかった。
それに感情的にも、あの人の好いイグニスを裏切らずに済むのならそうしたい、というのが偽らざる気持ちである。
「ごもっともです……しかし傭兵同士ならばいかがでしょう? 仲間割れの刃傷沙汰など傭兵にとっては日常茶飯事かと思いますが……」
「おい、何が言いたい?」
くつくつと可笑しそうに、黒服で全身を闇と同化させた男は嗤う。
こちらの心の底を見透かしたような、嘲笑うようないやな笑い声だった。
「銀光マゴット、あの女狐の首に我が主は金貨百枚を支払うと仰せです。頷いていただければ前金として金貨二十枚をお渡しいたしましょう」
「金貨百枚っ!?」
法外な報酬と言うべきであった。
イグニスならばともかく、一介の傭兵の首にこれほどの大金を投じるなど、戦歴の長いレパルスも聞いたことがない。
だが同時に、傭兵として、レパルスはマゴットの実力を高く評価していた。
少なくとも自分一人では、あの女を相手に勝利はおぼつかないだろう。
「興味深い話だが不可能だな。確かに大金ではあるが、命の代価としては安い額だ」
傭兵にとってもっとも重要なのは生き残ること。
ある程度のリスクは許容できても、一か八かの賭けに命を投じることはできない。
その返事を聞いた男は、驚いたように目を見開くと、すぐにレパルスを見直したように、相好を崩した。
「レパルス殿はなかなか賢明な判断力をお持ちの様子。感服いたしました。何せこの話をした傭兵たちは、一も二もなく承知していただけましたので」
今、聞き捨てならないことを男は言った。
いったいどれだけの傭兵がこの男の口車に乗ったというのだ?
「……誰だ? いったい何人が手を貸した?」
「それは、レパルス殿が協力をお約束されてからでないと。なかなかに立派な戦力だとは言っておきましょう」
レパルスはうなり声を上げて逡巡した。
なんだかんだと言っても、金貨百枚は見過ごすには惜しい金額である。
一流どころが五人ほどいれば、いかに相手が銀光マゴットといえども、後れを取るとは思えない。
その中に自分がいるとなれば、なおのことだ。
「いかがでしょう? もちろん報酬を分配せよ、などとは言いません。一人ひとりに金貨百枚お支払いいたしましょうとも」
男の口車に乗るようで悔しくはあったが、レパルスの心はすでに承諾の方向に傾いていた。
マゴットは男嫌いで、そっけない態度を取ることで知られている。それが原因で争いが起きたことにして、マゴットの首を挙げて逃亡すればいい。
もちろん敵前逃亡するわけだから、いささか自身の評判は落ちるかもしれない。しかし正面から裏切るわけではない以上、許容範囲に止まるのではないか。
むしろマゴットを倒したことで、レパルスの評価が上がる可能性すらあった。
そう考えると、金貨百枚という報酬はかなり美味しい。
「詳細を聞かせてもらおう……」
結局レパルスは、この悪魔と取引することを選択した。
少なくともこのとき、レパルスは自分の判断の正しさを疑ってはいなかった。
「鉄腕ロバート、お前もか……」
「へへ……双剣がいるなら心強えや」
襲撃に参加する顔ぶれのなかに、良く知る腕利きの傭兵の姿を確認して、レパルスは呆れたように肩をすくめた。
そのほとんどが二つ名持ちで、幾多の戦場をくぐりぬけてきた猛者ばかりである。
これでマゴットを討ち漏らす心配は皆無になった。
「俺たちだけじゃないぜ。どうやら連中、地下ギルドの暗殺者まで動員したらしい」
「まったく、たかが傭兵一人に大した念の入れようだな」
ここまで来ると、こうも念入りに狙われるマゴットに、同じ傭兵として嫉妬さえ覚える。
間違っても自分を狙うために、これだけの戦力が用意されるわけがないからだ。
「ま、これなら銀光も死んで本望なんじゃないの?」
傭兵仲間内でも色男で知られた鷹目のワイズ――マゴットをおびき出す役割は、彼が請け負うことになった。
もともと群れることを嫌い、孤独を好むマゴットである。
しかも夜になると、彼女がいつも一人で城内を散策して歩くことは、よく知られた話だった。
「――よう、銀光。たまには傭兵同士、身体のお付き合いってのを楽しもうや」
殺すにはもったいない別嬪だが、運が悪かったと思って諦めてもらおう。
最初から喧嘩を売るつもりで、ワイズはぶっきらぼうに言うと、無造作にマゴットの肩に手を伸ばした。
「――殺す前に聞いておこうか。誰の差し金だい?」
すでに臨戦態勢に入っているマゴットの剣幕に、一瞬ワイズは、このまま芝居を続けて誤魔化そうかと逡巡する。
しかし、警戒されてしまっては結局同じことだと、演じるのを止めた。
「死ぬのはお前のほうさ! ソユーズ将軍は、是非ともお前の首が所望だとよ!」
その言葉を合図に、四方八方から刺客がマゴットに襲いかかる。
レパルスをはじめとして一流の傭兵が五人、さらにいつの間に近づいていたのか黒装束の暗殺者が数人、城壁から飛び降りるようにして剣を閃かせた。
前後左右どころか空中まで包囲されて、誰の目にもマゴットの命運は尽きたかに思われた。だが、彼女は見事な銀髪をたなびかせ、妖艶な美貌を楽しそうに微笑ませただけだった。
「やれやれ、女の誘い方がまるでなっちゃいないね。せめて踊りだけはいい男だと証明しな!」
そのときの光景を、レパルスは一生忘れないだろう。いや、忘れられるはずがない。
まさに二つ名通りの銀光――神速の一閃だった。
気がつけば、喉から脊髄まで槍に貫かれたロバートが、壁にぶつかったまま壊れた人形のように、ジタバタと手足を痙攣させていた。
空中を封鎖していたはずの黒装束も、物言わぬ躯となって大地に落下したままピクリとも動かない。
いったいいつ、どうやって攻撃したのかもまるでわからぬまま、運よく生き残ったレパルスは石のように固まった。
「女一人に踊らせておく気かい? 輪舞曲は一人じゃ踊れないよ?」
背後から聞こえるからかうような死神の声に、我に返ったレパルスを恐慌が襲う。
戦場で見たのとは、明らかにレベルの違う速度だった。
相手の戦力を見誤るということは、傭兵が決して犯してはならない過ちである。
レパルスは自分がその致命的なミスをしてしまったことに気づいた。
「手加減……していたのか」
「ん? まあ、本気を出す必要がなかっただけさ。あんたは楽しませておくれよ?」
次の瞬間、レパルスが反射的に首を後方にのけぞらせたのは、完全に勘だった。
長い戦場経験で培われた勘が、主人の命を救った。
死の閃光がまさに首を刈り取らんと目の前を通過するのを、レパルスははっきりと見たのである。
「銀光死すべし」
もう一人の傭兵、兎足のエクゼダーを屠ったマゴットに、闇から湧いて出た十数人の黒装束が一斉に飛びかかる。
味方同士傷つけあうことも厭わぬ突撃、相討ちを前提とした決死の飽和攻撃だ。しかし、今度こそマゴットが死んだのでは、というレパルスの希望は空しく裏切られた。
「おとといおいで。無粋な仮面舞踏会は嫌いさ」
何故だ? どうして傷ひとつ負わずに生きている?
ワイズと白狼のトニーは逃げ出すことを選択したが、それを見逃すほどマゴットは慈悲深くはなかった。
不用意に背中をさらした二人は、本人達も気づかぬうちに心臓を貫かれて声もなく絶命する。
人が理解できぬ事態に遭遇したときに抱く、原初的な畏れがレパルスを支配した。
もはや抵抗する気力も、恥も外聞もなかった。
哀れな窮鳥よろしく、レパルスは土下座して命乞いを始める。
「い、命だけは助けてくれ! 金なら払う! なんでも言うことも聞く! だから命だけは!」
「双剣……あんたはもう少し骨のある男だと思ってたんだけどねえ……」
興が削がれたようにマゴットは槍を引いた。
しかし軽蔑されようが全財産奪われようが、命を失うことに比べれば何ほどのこともない。
どんな暴言を吐かれようと、レパルスは、銀光に逆らうつもりは微塵もなかった。
「そう言えば、あんたらソユーズ将軍に依頼されたと言ったね。私の首を取ったらどうするつもりだったんだい?」
「く、首を持って、ハウレリア本陣を訪ねるように言われたな。哨兵には話を通してあるそうだ」
「へえ……本陣にね」
面白いことを見つけた無垢な少女のように、マゴットはニタリと、幼い笑みを浮かべた。
純真な子どもこそが誰よりも残酷になれる。そんな寒気をレパルスは覚える。
「――それじゃあご期待に応えて、持っていってやろうじゃないか」
そう言ったかと思うと、マゴットは腰まで伸びていた銀髪を惜しげもなく、肩口からバッサリと斬り落とす。
金玉が縮みあがるほど恐ろしかったはずなのに、その光景を見たレパルスは、なぜか神々しいほど美しいと感じずにはいられなかった。
「そこらの首に銀髪を被せておけば、そう疑われることもないだろう?」
マゴットとレパルスの二人がコルネリアス城から抜け出すころ、東方から遠雷が轟き始めていた。
まもなく嵐が来ることを予感させる湿った空気が、レパルスにはまるで、ハウレリア軍か、あるいは自分の未来を暗示しているものに思われてならなかった。
「……銀光の首をお持ちしました」
「ほう……話は聞いている。通れ」
待ち合わせの場所にいた兵士は、あごでレパルスに陣幕を指し示した。
もしかしたら手柄を横取りするため、体よく追い払おうとするのではないか、というレパルスの不安は杞憂であったらしい。
ほとんど大した警戒もされず、レパルスとマゴットは本陣の中へと通された。
国家間の紛争において、暗殺という手段は国の恥、という認識が各国にはある。
あくまでもマゴット殺害の犯人は傭兵であり、偶発的な事件であるという建て前がハウレリア王国軍には必要なのだ。
だがこの時点で、レパルスには、そうした事情など想像すらできなかった。
「おや、ほかの方々はどうしたのですか?」
本陣の入り口に到着したレパルスに声をかけたのは、マゴットの暗殺を持ちかけてきた黒衣の男であった。
その声に昨晩のような、慇懃無礼とも言える余裕はない。
過剰な戦力を手配したにもかかわらず、こうして本陣にやってきたのがたった二人しかいないということに、慄然としてしまったらしい。
しかし本当の恐怖は、そのすぐ後にやってきた。
「ところで、隣にいる方は誰です? 私が依頼した人ではないようですが……」
「つれないねえ……あんたが呼ぶからわざわざ足を運んでやったっていうのにさ」
「まさか――!?」
黒衣の男は絶句した。
ありえない、ありえない、ありえない、ありえない!
地下ギルドの総力を挙げて手練れの暗殺者を選抜したうえ、自分がわざわざ品定めをしてまで、腕の確かな傭兵を選んだのだ。
その罠を切り抜けるとすれば、それはもはや人間ではない。化け物の所業だ。
腰を抜かさんばかりの男の様子から、事態を察した衛士たちが慌てて声を張り上げた。
「急げ! 将軍をお下げしろ!」
「もう遅いね」
本陣に入った瞬間からソユーズ将軍の姿を探していたマゴットは、大勢の衛兵に守られて天幕の後ろに下がろうとする老将軍を見つけ、一筋の光となる。
咄嗟に将軍に覆いかぶさるようにして、一人の衛兵が彼女の槍を受け止めた。それは果たして天運であったのか、兵士の献身のなせる業であったのか。
いずれにしろマゴットの必殺の一撃は、一人の兵士の命を奪い、老将軍の腹に軽傷を与えるにとどまったのだった。
「ちぃっ!」
予想以上に深く突き刺さってしまった槍を抜くために生じたわずかな隙に、ソユーズの姿は人ごみの中へと溶けるように消えていた。
千載一遇の機会を逃したことに舌打ちをしたマゴットを倒さんと、数百という兵士が雲霞の如く群がる。
だがそこで繰り広げられた光景は、蹂躙という名の虐殺だった。
「おおっと、悪いね。チークは死神と踊りな!」
不可視の速度で動きまわるマゴットの姿を誰も捕捉することができない。
一方的に彼女の槍で貫かれた死体の山が、たちまち本陣に積み上がっていく。
銀光マゴットの力は一個大隊に匹敵するという――それは戦場にありがちな誇大表現であると思っていた。
だが事実は違う。
いくらマゴットでも永続的にこの速度を保つことは不可能だ。
おそらくは一個大隊を全滅させるに必要な時間が、マゴットが全力を発揮できるタイムリミットなのだろう。
逆に言うならば、銀光としての力を発揮している間、あの化け物は無敵だ!
とはいえ多勢に無勢。そのままハウレリアの全軍が総力を挙げて包囲したならば、いずれはマゴットも力尽きるときが来たはずであった。
しかしにわかに発生したハウレリア軍の混乱を見逃すほど、イグニスは愚かな指揮官ではなかった。
動物的な本能によって乾坤一擲の機会だと確信した彼は、全軍で逆襲に転じたのである。
ソユーズ将軍が健在であれば、むしろこれを奇貨としてイグニスを討ち取ることも可能であったかもしれない。
しかし肝心のソユーズは傷を負って治療中であり、混乱を収拾すべきハウレリア軍の本陣自体が、どこよりも騒然としていた。
結局態勢を立て直す機会は最後まで与えられることなく、手負いのソユーズの首は、どさくさにまぎれてイグニスに落とされるはめとなった。
敵の六倍以上という圧倒的戦力を誇ったハウレリア遠征王国軍は、実に兵力の三分の一以上を失うという大損害を出して敗退した。
一方、運と決断力と実力を兼ね備えたイグニスの勝利は、若き英雄譚として、瞬く間にマウリシア王国全土に広まっていった。
だがレパルスだけは知っている。
あの奇跡の勝利は、実はたった一人の化け物によって成し遂げられたのだということを。
「ギルドマスター。ダウディング商会のクラン部長から、サバラン商会への工作依頼が届いておりますが……いかがしますか?」
執務室で書類を読んでいたレパルスは、いやな予感を覚えて顔を上げる。
「サバラン商会だと? ……聞きおぼえがあるな」
「コルネリアス領から出店した中堅商会です。確か地下ギルドから回状が回っていたかと」
レパルスの脳裏に、突如あの晩の恐怖がまざまざと蘇った。
その関連性に思い当たったとき、レパルスは今そこにある危機を心の底から自覚した。
地下ギルドからの回状にはこう記されていたのである。
『銀光の駒が警護する商会あり。注意されたし』
冗談ではなかった。
事態を甘く見れば、傭兵ギルドは明日にも元傭兵ギルド跡地として、更地に変えられてしまう。
世の中には決して手を出してはいけない、不可侵の存在がある。
往々にして若い野心は、向こう見ずにもそれが死神であるということに気づかずに、危険な火遊びをしてしまうものだ。
レパルスは秘書に向かって手を振ると、呟くように小さく言った。
「――クランの若造に言っておけ。再度この件を口にしたら、今後傭兵ギルドはダウディング商会と一切関わりを断つ、と」
あの野心家がこの程度で自制することはないだろうと、レパルスは確信している。
だがマゴットの逆鱗に触れたときがあの男の最後だ。
遠からず破滅する男に便宜を図るほど、レパルスはおひとよしではない。
いつの世も、疫病神と知ってなお近寄ろうとするのは、愚か者と自殺志願者だけなのだから。
「痛ててててててててっ!」
身体中を走る鈍痛に、バルドは思わず顔をしかめた。
あの爺さんめ。本当に遠慮なくやりやがって……。
ロンバルド先生の後に乱入してきた校長ラミリーズとの戦いは、バルドの惨敗に終わった。
もともと体格差があるうえ、身体強化でも一枚も二枚も上なラミリーズを相手に、バルドの組打術はなかなか通用しなかったのである。
現代のオリンピック柔道を見ればわかるように、柔よく剛を制するのはあくまでも理想であって、現実には、圧倒的な剛の力の前には柔が屈服することのほうが多い。
小柄で非力というハンデをものともせず、相手の力を利用する合気を駆使して百戦百勝できた武道家は、雅晴の世界の達人、塩田剛三くらいなものであろう。
残念ながらバルドの武は、その域までは達していないということらしかった。
それでも歴戦の猛将ラミリーズにたたらを踏ませ、幾たびも膝をつかせたという事実は、バルドの評価をいささかも下げるものではなかった。
「まったく……いくらバランスを崩しても、関係なく打撃が飛んでくるんじゃ意味がねえっ!」
「はっはっはっ! 技術はなかなかだが、まだまだ決定力が足りんな。今しばらく基礎を鍛えるんじゃな!」
ラミリーズが声を上げて笑う。
(もっとも初めて戦ったときのように、魔法を自由に使わせたらどういう結果になるかわからんがのう……)
地面を砂に変えて、一瞬の隙を生み出したバルドの戦いぶりを、ラミリーズは今もありありと思い出せる。
バルドの本当の恐ろしさは、これまで誰も考え付かなかった発想の飛躍にこそある、とラミリーズは考えていた。
訓練ならばともかく、ラミリーズですら実戦でバルドと戦いたいとは思わない。
どんな隠し玉があるかしれないからだ。
だからといって傭兵の損耗率が、正規軍を下回るということはありえない。
貧しい育ちのため、騎士のように全身鎧をまとうでもなく、身体強化をほとんど使えない者もいる。
そして当然のように危険な持ち場を任される傭兵は、いつの時代も、もっとも死ぬ確率が高い兵科なのだ。
ゆえにこそ、負け戦で真っ先に逃げ出すのも傭兵ということになる。
イグニスは食糧と医療を手厚く支援することで、なんとか彼らの戦意を繋ぎとめていたが、こうして劣勢が続く以上、遠からず逃亡者が出始めることになるだろう。
闇に溶け込むような黒衣の男が話しかけてきたのは、レパルスがそんなことを考えていたときだった。
「双剣のレパルス殿とお見受けしますが……」
「……見かけん顔だと思っていたが……何用だ?」
先ほどから気配を殺して自分に付きまとっていた男の存在に、レパルスは気づいていた。
残念ながら傭兵同士にそれほどの信頼関係はなく、常に警戒は怠らない。
いつ仲間に寝首をかかれ、全財産を奪われるかしれないのが傭兵というものなのだ。
「すでにわかっておいでかと思いますが……」
「傭兵にも仁義ってもんがある。裏切れってんならお断りだ」
最近は仁義を通す者も少なくなってきたが、一度裏切った傭兵が信用を失うことに変わりはない。
今後も傭兵で生計を立てていくつもりのレパルスに、そうしたリスクを冒す動機はなかった。
それに感情的にも、あの人の好いイグニスを裏切らずに済むのならそうしたい、というのが偽らざる気持ちである。
「ごもっともです……しかし傭兵同士ならばいかがでしょう? 仲間割れの刃傷沙汰など傭兵にとっては日常茶飯事かと思いますが……」
「おい、何が言いたい?」
くつくつと可笑しそうに、黒服で全身を闇と同化させた男は嗤う。
こちらの心の底を見透かしたような、嘲笑うようないやな笑い声だった。
「銀光マゴット、あの女狐の首に我が主は金貨百枚を支払うと仰せです。頷いていただければ前金として金貨二十枚をお渡しいたしましょう」
「金貨百枚っ!?」
法外な報酬と言うべきであった。
イグニスならばともかく、一介の傭兵の首にこれほどの大金を投じるなど、戦歴の長いレパルスも聞いたことがない。
だが同時に、傭兵として、レパルスはマゴットの実力を高く評価していた。
少なくとも自分一人では、あの女を相手に勝利はおぼつかないだろう。
「興味深い話だが不可能だな。確かに大金ではあるが、命の代価としては安い額だ」
傭兵にとってもっとも重要なのは生き残ること。
ある程度のリスクは許容できても、一か八かの賭けに命を投じることはできない。
その返事を聞いた男は、驚いたように目を見開くと、すぐにレパルスを見直したように、相好を崩した。
「レパルス殿はなかなか賢明な判断力をお持ちの様子。感服いたしました。何せこの話をした傭兵たちは、一も二もなく承知していただけましたので」
今、聞き捨てならないことを男は言った。
いったいどれだけの傭兵がこの男の口車に乗ったというのだ?
「……誰だ? いったい何人が手を貸した?」
「それは、レパルス殿が協力をお約束されてからでないと。なかなかに立派な戦力だとは言っておきましょう」
レパルスはうなり声を上げて逡巡した。
なんだかんだと言っても、金貨百枚は見過ごすには惜しい金額である。
一流どころが五人ほどいれば、いかに相手が銀光マゴットといえども、後れを取るとは思えない。
その中に自分がいるとなれば、なおのことだ。
「いかがでしょう? もちろん報酬を分配せよ、などとは言いません。一人ひとりに金貨百枚お支払いいたしましょうとも」
男の口車に乗るようで悔しくはあったが、レパルスの心はすでに承諾の方向に傾いていた。
マゴットは男嫌いで、そっけない態度を取ることで知られている。それが原因で争いが起きたことにして、マゴットの首を挙げて逃亡すればいい。
もちろん敵前逃亡するわけだから、いささか自身の評判は落ちるかもしれない。しかし正面から裏切るわけではない以上、許容範囲に止まるのではないか。
むしろマゴットを倒したことで、レパルスの評価が上がる可能性すらあった。
そう考えると、金貨百枚という報酬はかなり美味しい。
「詳細を聞かせてもらおう……」
結局レパルスは、この悪魔と取引することを選択した。
少なくともこのとき、レパルスは自分の判断の正しさを疑ってはいなかった。
「鉄腕ロバート、お前もか……」
「へへ……双剣がいるなら心強えや」
襲撃に参加する顔ぶれのなかに、良く知る腕利きの傭兵の姿を確認して、レパルスは呆れたように肩をすくめた。
そのほとんどが二つ名持ちで、幾多の戦場をくぐりぬけてきた猛者ばかりである。
これでマゴットを討ち漏らす心配は皆無になった。
「俺たちだけじゃないぜ。どうやら連中、地下ギルドの暗殺者まで動員したらしい」
「まったく、たかが傭兵一人に大した念の入れようだな」
ここまで来ると、こうも念入りに狙われるマゴットに、同じ傭兵として嫉妬さえ覚える。
間違っても自分を狙うために、これだけの戦力が用意されるわけがないからだ。
「ま、これなら銀光も死んで本望なんじゃないの?」
傭兵仲間内でも色男で知られた鷹目のワイズ――マゴットをおびき出す役割は、彼が請け負うことになった。
もともと群れることを嫌い、孤独を好むマゴットである。
しかも夜になると、彼女がいつも一人で城内を散策して歩くことは、よく知られた話だった。
「――よう、銀光。たまには傭兵同士、身体のお付き合いってのを楽しもうや」
殺すにはもったいない別嬪だが、運が悪かったと思って諦めてもらおう。
最初から喧嘩を売るつもりで、ワイズはぶっきらぼうに言うと、無造作にマゴットの肩に手を伸ばした。
「――殺す前に聞いておこうか。誰の差し金だい?」
すでに臨戦態勢に入っているマゴットの剣幕に、一瞬ワイズは、このまま芝居を続けて誤魔化そうかと逡巡する。
しかし、警戒されてしまっては結局同じことだと、演じるのを止めた。
「死ぬのはお前のほうさ! ソユーズ将軍は、是非ともお前の首が所望だとよ!」
その言葉を合図に、四方八方から刺客がマゴットに襲いかかる。
レパルスをはじめとして一流の傭兵が五人、さらにいつの間に近づいていたのか黒装束の暗殺者が数人、城壁から飛び降りるようにして剣を閃かせた。
前後左右どころか空中まで包囲されて、誰の目にもマゴットの命運は尽きたかに思われた。だが、彼女は見事な銀髪をたなびかせ、妖艶な美貌を楽しそうに微笑ませただけだった。
「やれやれ、女の誘い方がまるでなっちゃいないね。せめて踊りだけはいい男だと証明しな!」
そのときの光景を、レパルスは一生忘れないだろう。いや、忘れられるはずがない。
まさに二つ名通りの銀光――神速の一閃だった。
気がつけば、喉から脊髄まで槍に貫かれたロバートが、壁にぶつかったまま壊れた人形のように、ジタバタと手足を痙攣させていた。
空中を封鎖していたはずの黒装束も、物言わぬ躯となって大地に落下したままピクリとも動かない。
いったいいつ、どうやって攻撃したのかもまるでわからぬまま、運よく生き残ったレパルスは石のように固まった。
「女一人に踊らせておく気かい? 輪舞曲は一人じゃ踊れないよ?」
背後から聞こえるからかうような死神の声に、我に返ったレパルスを恐慌が襲う。
戦場で見たのとは、明らかにレベルの違う速度だった。
相手の戦力を見誤るということは、傭兵が決して犯してはならない過ちである。
レパルスは自分がその致命的なミスをしてしまったことに気づいた。
「手加減……していたのか」
「ん? まあ、本気を出す必要がなかっただけさ。あんたは楽しませておくれよ?」
次の瞬間、レパルスが反射的に首を後方にのけぞらせたのは、完全に勘だった。
長い戦場経験で培われた勘が、主人の命を救った。
死の閃光がまさに首を刈り取らんと目の前を通過するのを、レパルスははっきりと見たのである。
「銀光死すべし」
もう一人の傭兵、兎足のエクゼダーを屠ったマゴットに、闇から湧いて出た十数人の黒装束が一斉に飛びかかる。
味方同士傷つけあうことも厭わぬ突撃、相討ちを前提とした決死の飽和攻撃だ。しかし、今度こそマゴットが死んだのでは、というレパルスの希望は空しく裏切られた。
「おとといおいで。無粋な仮面舞踏会は嫌いさ」
何故だ? どうして傷ひとつ負わずに生きている?
ワイズと白狼のトニーは逃げ出すことを選択したが、それを見逃すほどマゴットは慈悲深くはなかった。
不用意に背中をさらした二人は、本人達も気づかぬうちに心臓を貫かれて声もなく絶命する。
人が理解できぬ事態に遭遇したときに抱く、原初的な畏れがレパルスを支配した。
もはや抵抗する気力も、恥も外聞もなかった。
哀れな窮鳥よろしく、レパルスは土下座して命乞いを始める。
「い、命だけは助けてくれ! 金なら払う! なんでも言うことも聞く! だから命だけは!」
「双剣……あんたはもう少し骨のある男だと思ってたんだけどねえ……」
興が削がれたようにマゴットは槍を引いた。
しかし軽蔑されようが全財産奪われようが、命を失うことに比べれば何ほどのこともない。
どんな暴言を吐かれようと、レパルスは、銀光に逆らうつもりは微塵もなかった。
「そう言えば、あんたらソユーズ将軍に依頼されたと言ったね。私の首を取ったらどうするつもりだったんだい?」
「く、首を持って、ハウレリア本陣を訪ねるように言われたな。哨兵には話を通してあるそうだ」
「へえ……本陣にね」
面白いことを見つけた無垢な少女のように、マゴットはニタリと、幼い笑みを浮かべた。
純真な子どもこそが誰よりも残酷になれる。そんな寒気をレパルスは覚える。
「――それじゃあご期待に応えて、持っていってやろうじゃないか」
そう言ったかと思うと、マゴットは腰まで伸びていた銀髪を惜しげもなく、肩口からバッサリと斬り落とす。
金玉が縮みあがるほど恐ろしかったはずなのに、その光景を見たレパルスは、なぜか神々しいほど美しいと感じずにはいられなかった。
「そこらの首に銀髪を被せておけば、そう疑われることもないだろう?」
マゴットとレパルスの二人がコルネリアス城から抜け出すころ、東方から遠雷が轟き始めていた。
まもなく嵐が来ることを予感させる湿った空気が、レパルスにはまるで、ハウレリア軍か、あるいは自分の未来を暗示しているものに思われてならなかった。
「……銀光の首をお持ちしました」
「ほう……話は聞いている。通れ」
待ち合わせの場所にいた兵士は、あごでレパルスに陣幕を指し示した。
もしかしたら手柄を横取りするため、体よく追い払おうとするのではないか、というレパルスの不安は杞憂であったらしい。
ほとんど大した警戒もされず、レパルスとマゴットは本陣の中へと通された。
国家間の紛争において、暗殺という手段は国の恥、という認識が各国にはある。
あくまでもマゴット殺害の犯人は傭兵であり、偶発的な事件であるという建て前がハウレリア王国軍には必要なのだ。
だがこの時点で、レパルスには、そうした事情など想像すらできなかった。
「おや、ほかの方々はどうしたのですか?」
本陣の入り口に到着したレパルスに声をかけたのは、マゴットの暗殺を持ちかけてきた黒衣の男であった。
その声に昨晩のような、慇懃無礼とも言える余裕はない。
過剰な戦力を手配したにもかかわらず、こうして本陣にやってきたのがたった二人しかいないということに、慄然としてしまったらしい。
しかし本当の恐怖は、そのすぐ後にやってきた。
「ところで、隣にいる方は誰です? 私が依頼した人ではないようですが……」
「つれないねえ……あんたが呼ぶからわざわざ足を運んでやったっていうのにさ」
「まさか――!?」
黒衣の男は絶句した。
ありえない、ありえない、ありえない、ありえない!
地下ギルドの総力を挙げて手練れの暗殺者を選抜したうえ、自分がわざわざ品定めをしてまで、腕の確かな傭兵を選んだのだ。
その罠を切り抜けるとすれば、それはもはや人間ではない。化け物の所業だ。
腰を抜かさんばかりの男の様子から、事態を察した衛士たちが慌てて声を張り上げた。
「急げ! 将軍をお下げしろ!」
「もう遅いね」
本陣に入った瞬間からソユーズ将軍の姿を探していたマゴットは、大勢の衛兵に守られて天幕の後ろに下がろうとする老将軍を見つけ、一筋の光となる。
咄嗟に将軍に覆いかぶさるようにして、一人の衛兵が彼女の槍を受け止めた。それは果たして天運であったのか、兵士の献身のなせる業であったのか。
いずれにしろマゴットの必殺の一撃は、一人の兵士の命を奪い、老将軍の腹に軽傷を与えるにとどまったのだった。
「ちぃっ!」
予想以上に深く突き刺さってしまった槍を抜くために生じたわずかな隙に、ソユーズの姿は人ごみの中へと溶けるように消えていた。
千載一遇の機会を逃したことに舌打ちをしたマゴットを倒さんと、数百という兵士が雲霞の如く群がる。
だがそこで繰り広げられた光景は、蹂躙という名の虐殺だった。
「おおっと、悪いね。チークは死神と踊りな!」
不可視の速度で動きまわるマゴットの姿を誰も捕捉することができない。
一方的に彼女の槍で貫かれた死体の山が、たちまち本陣に積み上がっていく。
銀光マゴットの力は一個大隊に匹敵するという――それは戦場にありがちな誇大表現であると思っていた。
だが事実は違う。
いくらマゴットでも永続的にこの速度を保つことは不可能だ。
おそらくは一個大隊を全滅させるに必要な時間が、マゴットが全力を発揮できるタイムリミットなのだろう。
逆に言うならば、銀光としての力を発揮している間、あの化け物は無敵だ!
とはいえ多勢に無勢。そのままハウレリアの全軍が総力を挙げて包囲したならば、いずれはマゴットも力尽きるときが来たはずであった。
しかしにわかに発生したハウレリア軍の混乱を見逃すほど、イグニスは愚かな指揮官ではなかった。
動物的な本能によって乾坤一擲の機会だと確信した彼は、全軍で逆襲に転じたのである。
ソユーズ将軍が健在であれば、むしろこれを奇貨としてイグニスを討ち取ることも可能であったかもしれない。
しかし肝心のソユーズは傷を負って治療中であり、混乱を収拾すべきハウレリア軍の本陣自体が、どこよりも騒然としていた。
結局態勢を立て直す機会は最後まで与えられることなく、手負いのソユーズの首は、どさくさにまぎれてイグニスに落とされるはめとなった。
敵の六倍以上という圧倒的戦力を誇ったハウレリア遠征王国軍は、実に兵力の三分の一以上を失うという大損害を出して敗退した。
一方、運と決断力と実力を兼ね備えたイグニスの勝利は、若き英雄譚として、瞬く間にマウリシア王国全土に広まっていった。
だがレパルスだけは知っている。
あの奇跡の勝利は、実はたった一人の化け物によって成し遂げられたのだということを。
「ギルドマスター。ダウディング商会のクラン部長から、サバラン商会への工作依頼が届いておりますが……いかがしますか?」
執務室で書類を読んでいたレパルスは、いやな予感を覚えて顔を上げる。
「サバラン商会だと? ……聞きおぼえがあるな」
「コルネリアス領から出店した中堅商会です。確か地下ギルドから回状が回っていたかと」
レパルスの脳裏に、突如あの晩の恐怖がまざまざと蘇った。
その関連性に思い当たったとき、レパルスは今そこにある危機を心の底から自覚した。
地下ギルドからの回状にはこう記されていたのである。
『銀光の駒が警護する商会あり。注意されたし』
冗談ではなかった。
事態を甘く見れば、傭兵ギルドは明日にも元傭兵ギルド跡地として、更地に変えられてしまう。
世の中には決して手を出してはいけない、不可侵の存在がある。
往々にして若い野心は、向こう見ずにもそれが死神であるということに気づかずに、危険な火遊びをしてしまうものだ。
レパルスは秘書に向かって手を振ると、呟くように小さく言った。
「――クランの若造に言っておけ。再度この件を口にしたら、今後傭兵ギルドはダウディング商会と一切関わりを断つ、と」
あの野心家がこの程度で自制することはないだろうと、レパルスは確信している。
だがマゴットの逆鱗に触れたときがあの男の最後だ。
遠からず破滅する男に便宜を図るほど、レパルスはおひとよしではない。
いつの世も、疫病神と知ってなお近寄ろうとするのは、愚か者と自殺志願者だけなのだから。
「痛ててててててててっ!」
身体中を走る鈍痛に、バルドは思わず顔をしかめた。
あの爺さんめ。本当に遠慮なくやりやがって……。
ロンバルド先生の後に乱入してきた校長ラミリーズとの戦いは、バルドの惨敗に終わった。
もともと体格差があるうえ、身体強化でも一枚も二枚も上なラミリーズを相手に、バルドの組打術はなかなか通用しなかったのである。
現代のオリンピック柔道を見ればわかるように、柔よく剛を制するのはあくまでも理想であって、現実には、圧倒的な剛の力の前には柔が屈服することのほうが多い。
小柄で非力というハンデをものともせず、相手の力を利用する合気を駆使して百戦百勝できた武道家は、雅晴の世界の達人、塩田剛三くらいなものであろう。
残念ながらバルドの武は、その域までは達していないということらしかった。
それでも歴戦の猛将ラミリーズにたたらを踏ませ、幾たびも膝をつかせたという事実は、バルドの評価をいささかも下げるものではなかった。
「まったく……いくらバランスを崩しても、関係なく打撃が飛んでくるんじゃ意味がねえっ!」
「はっはっはっ! 技術はなかなかだが、まだまだ決定力が足りんな。今しばらく基礎を鍛えるんじゃな!」
ラミリーズが声を上げて笑う。
(もっとも初めて戦ったときのように、魔法を自由に使わせたらどういう結果になるかわからんがのう……)
地面を砂に変えて、一瞬の隙を生み出したバルドの戦いぶりを、ラミリーズは今もありありと思い出せる。
バルドの本当の恐ろしさは、これまで誰も考え付かなかった発想の飛躍にこそある、とラミリーズは考えていた。
訓練ならばともかく、ラミリーズですら実戦でバルドと戦いたいとは思わない。
どんな隠し玉があるかしれないからだ。
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