恐怖体験や殺人事件都市伝説ほかの駄文

高見 梁川

文字の大きさ
258 / 258

テロリスト逃亡生活 桐島聡

しおりを挟む
映画「桐島です」が公開されるようだ。
70年代のテロリストたちも鬼籍に入る年齢となってきた。
安倍首相暗殺以来、再びテロが身近なものとなってきているように管理人は思う。
テロリストが、事件後どんな思いをして人生を送ったのかについては知る価値があるのではないだろうか。


2024年1月25日の朝9時、神奈川県鎌倉市の病院でナースコールが鳴った。
看護師がその病室に入ると、末期がんで入院していた内田洋と名乗る人物は自身のことを語り出した。

「自分の名前は内田洋じゃなくて、指名手配犯の桐島聡なんだ」
「もうここにいてもつらいから、それだったら警察に行ったほうがいいから通報してくれ」
「死ぬときは本名で死にたい」
看護師は慌てて院長に報告。
通報を受けた警察はただちに捜査員を派遣し、事情聴取を開始したが、すでに余命いくばくもない桐島聡の
聴取は進まず、すぐに危篤状態となった桐島は通報から4日後の1月29日早朝に死亡した。
DNA鑑定の結果、桐島本人であることは確定したが、家族は受け取りを拒否。
結局桐島の遺体は無縁仏として葬られた。


現在の福山市に生まれた霧島は、明治学院大学在学中に黒川芳正や宇賀神寿一と出会い、東アジア反日武装戦線に「さそり」班として参加する。
そして20歳から21歳の間に連続企業爆破事件の複数のテロ事件に関与した。
明治学院大学というと管理人の好きなTHE ALFEEが有名だが、桐島は一年先輩にあたる同世代である。
在学中の1975年4月18日、桐島は東京の銀座の韓国産業経済研究所の入口に手製の時限信管付爆弾を仕掛け翌日に爆発させた。
それ以外にも、主犯である黒川らの共犯に問われた刑事裁判で、

鹿島建設爆破事件(1974年12月23日。死傷者なし)
間組本社ビル(9階・6階)及び大宮工場同時爆破事件(1975年2月28日。桐島が共謀した本社ビル9階爆破で1人が加療4か月を要する重傷。桐島が担当した6階爆破では死傷者なし)
間組江戸川作業所爆破事件(1975年4月27日。1人が加療約1年3か月を要する重傷)
間組京成江戸川橋工事現場爆破事件(1975年5月4日。死傷者なし)
について桐島が共謀・実行で関与したことが認定されている。


1975年5月19日、東アジア反日武装戦線の主要メンバー7人が逮捕されたのを契機に逃亡生活に入る。
黒川が所持していた桐島の家の鍵から、当時まだ警察が把握していなかった桐島の存在が明らかとなり、桐島は警視庁公安部に爆発物取締罰則違反で全国一斉指名手配された。
東京都新宿区歌舞伎町の大衆料理店で、逃走直前までアルバイトをしていたとされるが、同年5月20日に渋谷区内の銀行で現金を下ろした後、同31日に広島県の実家に電話をかけ、「岡山に女と3人でいる。金を準備してくれ。国外へ逃亡することも考えている」などと父親に伝えたのを最後に足取りが途絶えた。

指名手配から50年弱が過ぎ、公安部のなかでは桐島はすでに死んでいると思われ始めていた。
そこに病院からの一報が入り、警視庁公安部はパニックに陥った。
担当課長が、体調不良を言い訳に取材をキャンセルしたほどである。

その後の捜査で桐島聡は、三十年以上前から「内田洋(ウチダヒロシ)」という偽名を使って神奈川県藤沢市内の工務店で住み込みで働いていたことがわかる。
勤務先に近い古い木造2階建ての6畳の寮で一人暮らしをしていたことが判った。
また、周囲には「岡山県出身」と話しており、免許証や保険証や金融機関の口座など身分証明するものは一切持っていなかったため、給料は現金で受け取っていたという。

桐島聡は逃亡生活中に内田洋を名乗って音楽が聴ける藤沢市内のDJバーに通い、20年来の常連客だった事が明かされている。
このDJバーで撮影されたと見られる桐島聡が、ビールジョッキを傾けている写真も公開されている。
指名手配ポスターの若い頃の写真とはだいぶ雰囲気が変わっていて、陽気で日に焼けた容貌は別人のように見える。
桐島聡はDJバーではマスコット的な存在で「ウッチー」という愛称で他のお客さんからも親しまれていた。
さらに市内の別のバーでは「うーやん」と呼ばれており、週1~2回来店しては赤ワインを好んで飲んでいた。
20年ほど前には、夏に店が主催する70~80人規模のバーベキューにも毎年のように参加していたが、最近は店にも来ていなかったという。
 
そんな桐島は死の一年ほど前から胃がんと診断されており、保険証もないため治療もせず悪化するに任せていた。
ついに食事もとれなくなり、激痛に道路でしゃがみこんでいたところを通行人によって救急車を手配され入院することになる。
もはや末期で食事もままならなかった桐島が最後に望んだのはアイスであったという。
「ガリガリ君でいいから食べさせてくれ」
その望みは叶うことなく桐島は最後を迎えた。


同じ共犯者である宇賀神氏が8年で出所したことを考えれば、桐島も出頭すれば10年以内の刑で済んだ可能性は高い。
人生の全てを逃亡で終わらせる必要はなかったはずだ。(割と酒と音楽を楽しんでいた気がするが)
50年近い年月を逃亡に費やした桐島が、自分の人生をどのように考えたのか興味はつきないが、本人が死亡した言いま、それは永遠の謎であろう。

しおりを挟む
感想 56

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(56件)

ジャン・幸田

神の婿の話興味深かったです。

解除
ののな
2024.12.28 ののな

249ページ
楽園実験ユニヴァース25の話がとても興味深かったです。
現在の人間社会の状態に納得できる部分がありました。条件によってはマウスでも同性カップルや引きこもり?!的な状態になることに驚きです。

解除
皇 翠輝
2024.12.17 皇 翠輝

出来ればドッキリで有って欲しい一連の流れ、
とりあえず投稿者視点での話が真実だと仮定して気になる点は三つ。
①依頼者夫婦(?)と見えているモノが部分的に異なっている。
②投稿者の死角で起きた心霊現象(?)。
③紹介者である筈の長瀬何某が3年前に死去、ソレを追及すると途端に関係を断ってくる夫婦。
現実的に考えれば依頼者夫婦の心霊現象自体に纏わる説明は大体が嘘で後ろめたい事実が多分に含まれてそうな気がしますね。
周囲への聞き込みが出来なかった、というか読み返すと投稿者を夫妻が自由行動させない様に動いてる気が。
多分実際は夫妻側にかなり問題が有って何とか内々で済ませる為に事前プラン練ったパターンと見たわw

解除

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。