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ラファエルの経歴はあまり知らないが真面目に働いていたのにお偉い貴族の顰蹙を買って酒に薬と毒を盛られて死罪確定の場所に放り込まれ、弁論余地も無いまま死罪とされたとか。
私が知っているのは伯爵家令息で書類仕事から計算、諸々も優れている実直な性格だということ。だけど貴族の令息としての腹黒さも持っているが相手が上手で嵌められたので冤罪からの死罪になっている。長男でもなかったのが大きかったらしい。黒烏に落ちても人を自分の手で殺さない。
という一線だけは守っている。貴族としての礼儀作法、教養は備わっている。
「ラファエル、予想していた?」
「いえ。公爵家、公爵領には他に優秀な人材がいますし、私はこのように偶にお会い出来るだけで十分でしたから。」
そういうもの???父にも報告をするが名を受けて首輪を付けたなら文句はないとあっさりしていた。
「護衛騎士と文官の選別中と聞きましたが目処は着いているのですか?」
「さっぱり。護衛騎士と言っても私が荒事得意だし、文官はラファエル登用する気だったから。」
「本人が荒事得意でも護衛騎士にさせるものです。主として窘めて又はこちらで処分しておくからでなぁなぁにしておくのが世渡りというものです。」
「じゃあ私の影武者出来る女性騎士か親戚??私が騎士になる。それなら私がブチ切れて血祭りにしても問題ないでしょう?人前に出る時ずっとフルフェイスの仮面してたし。」
ヴェロニカの提案に父とラファエルは少し沈黙して貴族名鑑を持って来て広げた。文官より護衛騎士をどうすべきかと悩んでいたからだ。
「影武者ありきだと文官予定の令嬢でも良いかと思うのですが。」
「騎士は欲しいところだが、本人が先に動くことを失念していた…公爵家の血筋は女児が産まれにくい。ヴェロニカより年上はチラホラいるが同年代は皆無だ。それなら闇属性の適性がある孤児を拾った方がマシだ。そちらの情報もしくは手持ちにいないのか?」
「姫様と年回り背格好が近くて闇属性適性はいるにはいるのですが、男でして……声までは誤魔化せないでしょう。陰形や認識阻害が出来てもそこまで期待しない方が良いかと思います。」
「仮面を付けさせて、認識阻害、言葉は本人が代わりに話すとかで誤魔化すか。」
何故父とラファエルは面識回数は多い訳でもないのに直ぐに話が出来てトントンと進むのだろうか。
私が長椅子に腰かけて話し合いを眺めていると2人がピタリと話すのを止めた。
「お父様とラファエルは私が思っている以上に仲良しなのですね?」
「……そうですね。これでも宮仕えしていましたし、王宮でよく顔を合わせていましたから。」
お茶を新しく用意されたりラファエルがとても甲斐甲斐しい。父はふぃっと顔を逸らして細かいことは話さないように見えるから何かあるのだろう。
「公爵、そんな露骨に何かありますと顔に出すくらいならゲロった方が早いですよ。」
「知らなくていいなら聞きませんが?」
「姫様はお優しいですね。ただの親戚なだけなので大したことありませんよ。」
ん?????父の実家も伯爵家…ラファエルも伯爵家…
!?!?!?!目をぱちくりとさせて彼を見上げると彼は微笑んでいた。
「驚き方は公爵そっくりですね。」
「余計なことを……」
「良いではありませんか。瑣末事ですし。」
「瑣末事????」
「瑣末事ですね。親戚と言っても遠い親戚で直近ではありませんから。よく分からないけれど慶次があったら勝手に湧いてくる程度の遠さです。仕事で身内と知っている程度なので。」
なるほど。結構遠い親戚だけど、城で仕事も一緒にしていたと。だから親しいのか。ラファエルの距離感は別に不愉快でもないし、私にとっても遠い?親戚になるはず。血の繋がりないけど。私の見た目をどうにかしないと影武者用意しても難しいなら……
「髪染めようかな。黒染めとか?」
白金の髪を指に絡ませながら父親を見上げる。
「認識阻害では限界もありますし、髪染めようかなと。」
「影武者が決まってからですよ、姫様。」
「影武者って給金どれくらい出せば良いのだろう。」
「影武者の出来栄え次第かと。それで良いのですか?」
「私は外に出る時に仮面やヴェールを被って姿を見せてなかったし、露骨影武者の方が良さそうな……???」
父も交えてどうするか。ということになった。自分の部屋に戻ってもラファエルは帰らない。まぁ、私が私的に雇用したので執事にはその事を伝えたらあっさり承諾してくれた。
「姫様、旦那様も承知している。で、間違いございませんか?」
「父様公認よ。」
「承知致しました。部屋の準備が出来ていませんので今日明日は姫様の隣でも宜しいでしょうか。」
「問題ないよ。」
元々隣の部屋は見苦しい黒烏が公爵家を歩き回っていいように浴室とベッドだけ備えた小さな部屋があるだけ。私がさっさと水浴びしたい時や寝落ちした時に使う程度だ。人を泊める部屋ではない。それをわかった上で勝手に承諾した。扉1枚で行き来出来るがヴェロニカ自身が武芸に秀でているので使用人は安全面をさほど気にしていない。
私が知っているのは伯爵家令息で書類仕事から計算、諸々も優れている実直な性格だということ。だけど貴族の令息としての腹黒さも持っているが相手が上手で嵌められたので冤罪からの死罪になっている。長男でもなかったのが大きかったらしい。黒烏に落ちても人を自分の手で殺さない。
という一線だけは守っている。貴族としての礼儀作法、教養は備わっている。
「ラファエル、予想していた?」
「いえ。公爵家、公爵領には他に優秀な人材がいますし、私はこのように偶にお会い出来るだけで十分でしたから。」
そういうもの???父にも報告をするが名を受けて首輪を付けたなら文句はないとあっさりしていた。
「護衛騎士と文官の選別中と聞きましたが目処は着いているのですか?」
「さっぱり。護衛騎士と言っても私が荒事得意だし、文官はラファエル登用する気だったから。」
「本人が荒事得意でも護衛騎士にさせるものです。主として窘めて又はこちらで処分しておくからでなぁなぁにしておくのが世渡りというものです。」
「じゃあ私の影武者出来る女性騎士か親戚??私が騎士になる。それなら私がブチ切れて血祭りにしても問題ないでしょう?人前に出る時ずっとフルフェイスの仮面してたし。」
ヴェロニカの提案に父とラファエルは少し沈黙して貴族名鑑を持って来て広げた。文官より護衛騎士をどうすべきかと悩んでいたからだ。
「影武者ありきだと文官予定の令嬢でも良いかと思うのですが。」
「騎士は欲しいところだが、本人が先に動くことを失念していた…公爵家の血筋は女児が産まれにくい。ヴェロニカより年上はチラホラいるが同年代は皆無だ。それなら闇属性の適性がある孤児を拾った方がマシだ。そちらの情報もしくは手持ちにいないのか?」
「姫様と年回り背格好が近くて闇属性適性はいるにはいるのですが、男でして……声までは誤魔化せないでしょう。陰形や認識阻害が出来てもそこまで期待しない方が良いかと思います。」
「仮面を付けさせて、認識阻害、言葉は本人が代わりに話すとかで誤魔化すか。」
何故父とラファエルは面識回数は多い訳でもないのに直ぐに話が出来てトントンと進むのだろうか。
私が長椅子に腰かけて話し合いを眺めていると2人がピタリと話すのを止めた。
「お父様とラファエルは私が思っている以上に仲良しなのですね?」
「……そうですね。これでも宮仕えしていましたし、王宮でよく顔を合わせていましたから。」
お茶を新しく用意されたりラファエルがとても甲斐甲斐しい。父はふぃっと顔を逸らして細かいことは話さないように見えるから何かあるのだろう。
「公爵、そんな露骨に何かありますと顔に出すくらいならゲロった方が早いですよ。」
「知らなくていいなら聞きませんが?」
「姫様はお優しいですね。ただの親戚なだけなので大したことありませんよ。」
ん?????父の実家も伯爵家…ラファエルも伯爵家…
!?!?!?!目をぱちくりとさせて彼を見上げると彼は微笑んでいた。
「驚き方は公爵そっくりですね。」
「余計なことを……」
「良いではありませんか。瑣末事ですし。」
「瑣末事????」
「瑣末事ですね。親戚と言っても遠い親戚で直近ではありませんから。よく分からないけれど慶次があったら勝手に湧いてくる程度の遠さです。仕事で身内と知っている程度なので。」
なるほど。結構遠い親戚だけど、城で仕事も一緒にしていたと。だから親しいのか。ラファエルの距離感は別に不愉快でもないし、私にとっても遠い?親戚になるはず。血の繋がりないけど。私の見た目をどうにかしないと影武者用意しても難しいなら……
「髪染めようかな。黒染めとか?」
白金の髪を指に絡ませながら父親を見上げる。
「認識阻害では限界もありますし、髪染めようかなと。」
「影武者が決まってからですよ、姫様。」
「影武者って給金どれくらい出せば良いのだろう。」
「影武者の出来栄え次第かと。それで良いのですか?」
「私は外に出る時に仮面やヴェールを被って姿を見せてなかったし、露骨影武者の方が良さそうな……???」
父も交えてどうするか。ということになった。自分の部屋に戻ってもラファエルは帰らない。まぁ、私が私的に雇用したので執事にはその事を伝えたらあっさり承諾してくれた。
「姫様、旦那様も承知している。で、間違いございませんか?」
「父様公認よ。」
「承知致しました。部屋の準備が出来ていませんので今日明日は姫様の隣でも宜しいでしょうか。」
「問題ないよ。」
元々隣の部屋は見苦しい黒烏が公爵家を歩き回っていいように浴室とベッドだけ備えた小さな部屋があるだけ。私がさっさと水浴びしたい時や寝落ちした時に使う程度だ。人を泊める部屋ではない。それをわかった上で勝手に承諾した。扉1枚で行き来出来るがヴェロニカ自身が武芸に秀でているので使用人は安全面をさほど気にしていない。
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