托卵された公爵

はまち

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結局ラファエルの目処をつけていた人間からの返答は芳しくない。というよりも顔に傷があるとか公爵家、貴族に関わりたくないからとあっさり断られてしまった。学園に連れて行ける人間は多くない。多すぎると学園で抱えきれないし、従者を1人連れて行けるけれど、ラファエルを連れていきたくない。家で仕事の管理を任せたい。だから自分で従者になりそうな自分の手足を手に入れておきたい。ヴェロニカはそう思いながら学園入学までまだ時間があるとわかりながらも内心焦ってきている。
  貴族の家に務めたことがあって口が堅い側仕え。性別は気にしないんだけど。平民に今から仕込むのも無理がある。それなら落ちぶれた貴族と契約を無理やりというのも宜しくない。それなら年上で気立てが良い方がいい気がする。

  ディアナリリスの時どうしていた……あぁ、ゴーレムや魔族を従えていたのか。今の年齢でそんなことをしたらめんどくさい事になる。魔力量こそまだ全盛期に遠く及ばなくても中身は建国の際に討たれた魔女ディアナリリス。やり過ぎては公爵家に良からぬ話ばかりが入るようになってしまう。

「ラファエル、運営が上手く行って無くて私より少し年上の品行方正に問題のない貴族のご令嬢とか見つけてくれたら嬉しいです。側仕えの貴族を抱えたとしても問題があるなら考えますが。」
「目的をお伺いしても?」
「伝えた通り側仕えです。貴族なら教養もあって便利かと思って……」
「一度検討させて頂きます。」

 私に側近や側仕え、文官、護衛騎士全く決まっていない。父が決めた相手である必要はないのだけれども……
  でも必要なのには変わりない。
  私は国王に継ぐ王位継承順位は第二位だ。非公式ではあるが国王だけはそれを知っているはずだ。
  社交をしなくてもいいと言われたけれど女の社交はめんどくさいと知識としてはある。

  幼少期から父の認識阻害で髪、瞳の色を変えられていたが、そろそろ戻そう。
  瞳の色は魔力を込めた目薬で定期的に染めていたけれど、自分でしなければならない。成長すると他人の魔力で色を染めるのが大変だ。
  シュヴァリエの特徴は銀の髪、青の瞳。兄2人も濃淡こそあるが鮮やか、深い青だ。だが、私は白金の髪に明るい緑と明らかに引っ張られている。
  書類仕事をしながらも私の見た目に何も言わない人が必要で秘密を墓にまで持っていけて忠誠心のある人間がいるなら欲しい。
  悩ましいところだ。影武者を探して仕立て上げるのか、貴族に恩を売りつけて人質として娘を仕えさせるのか公爵家にはそれができる。

 人形に魂を定着させてゴーレムとする方がいいのだろうか。ラファエルに相談してみようかな。無ければ作るしかないって。


「姫様、貴族を従えるには準備が少々必要のようです。」
「そっか。人形とかはどうですか?人そっくり……死体を改造したものとか……故人の貴族の魂の定着とか。闇の属性があればそういうのもできなくはないとありましたよね?」
「ありますが……死体よりは精巧な人の人形を作らせましょう。それならまだ簡単です。公爵家にはゴーレム使い、人形製作もしている人間がいたはず……姫様、どのような姿が良いか図案を書き上げましょうか。必要な素材があれば家の騎士たちに調達に向かわせましょう。」
「そ、そこからですか。わかりました。」


 じゃあ、人形を作ろう。髪の色、長さ、髪型、身体的特徴色々書き出していく。メイドにすべきか、貴族の令嬢にするべきか。それなら忠実なメイドが良いのだろう。髪の色はお任せにしよう。できれば人を素材で使いたいからそこは相談だろう。
  ヴェロニカは人形の作り方を見ていく。準備は公爵家の中で準備できるならそれに越したことはない。
  色々勉強なのは間違いないが、やることは難しくない。むしろ得意だ。ただし、年相応で他人に違和感なく見せるようにしないといけない。

   父も私の特異性から側近の1人以上ら人形の方が良いだろう。と、ラファエルと相談したようだ。

   錬金術師と魔導師が選抜された。

「まず姫様無機物から作られますか?」
「死体はダメですか?無機物では連れ回すのに不便です。」

   私はフルフェイスの仮面を付けて技術者と話をする。仮面を装着すると髪が銀髪に変わる。
  無表情の女性の仮面。唯一の公女は母親に似た美貌を隠す為に仮面で隠している。知っているのは昔から公爵家に仕えている使用人のみ。

「死体となれば髪の色や瞳の色等好みにならないかと。」
「そこは切り刻んで整えればよろしいのでは?魔道回路や魔石も身体に埋め込んで…錬金術師は死体の外側加工、魔導師には内部を任せたいの。なるべく元が整った死体がいいですね。出来ますか??皆様の技術の粋をバランスよく詰め込んで欲しいのです。」

  ヴェロニカの言葉に興味なのか、パトロンから好きにしても良い。と、言質を取ったからなのか歓喜に震えているようだった。死体であれば問題ないだろう。

「お金はお父様にご確認下さい。」
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