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フルフェイスの仮面が珍しい訳でもないだろうに失礼な。こっちから挨拶をすることは無い。向こうから頭を下げるべきであって私からは絶対に近寄らないし頭を下げない。挨拶もしない。自分たちより先に寛いでいる人間なんて1つの家しかない。
「指摘しましょうか」
「放っておきなさい、エメル。そういう躾なのでしょう。」
「公爵が来られました。」
そんなことよりも。ということで、目線を移動させると父が人造人間の副官も連れて会場に来た。ヴェロニカはスタスタ歩いて父の元に行く。
「気分が悪くなったら帰っても構わない。」
「別に問題ないですよ。仮面が珍しい訳では無いでしょう?」
「あぁ、シュヴァリエの女性は結婚するまで外では仮面を付ける。」
「結婚するまで…?」
「政略なり恋愛なり直ぐに相手は決まるだろう。」
大体そんなものだし。そういう顔をしている。仮面付けたままでいいけれど。目線の向きとかで表情は読めるだろうに。父の傍にいる人造人間を見あげる。文官のような男性だ。妙齢。仕事極振りなんだろうけれど楽しそうだ。必要とされてないんじゃないかと凹んでいたのが嘘のようである。
「姫様?」
「私が習った常識では下のものが挨拶に来るもの。と、聞いていたのですが違うようで。それとも侯爵家は公爵家より上だと思われているでしょうか……」
「公爵家は名誉職だの政治的発言をしないと勝手に勘違いしているのだろう。」
「切り捨てますか?」
護衛騎士達が淡々と剣に手をかける。許可をしたら斬り捨てるんだろうなぁ。主思いだし、こちらも信頼関係を築いてきた。ヴェロニカは手を伸ばしてエメルの手を取る。
「小物相手に気にしなくて大丈夫。」
「姫様。」
「……折角エメルの為に誂えた剣を汚す価値あるの?」
「いえ。鼻の骨を折るか前歯を折ることが妥当かと。」
「綺麗な手が傷つくだろうに……気にしてないから。」
「ヴェロニカ、何故目隠しをさせているんだ。」
立ち姿からエメルだと分かるが目を隠すレースで視界を覆っている。
「エメルは顔がいいですから。世間知らずのアバズレが声をかけてこないように…私なりの対策です。」
父は自分の連れている人造人間を見るとニコッと笑顔を返していた。まぁ、父と一緒なら基本安全だろうが、私は子供で顔を出していない。くっついていると王宮の近衛達がこちらに気づいているようだが、父に用事があるようだ。
「ヴェロニカ、護衛騎士から離れないように。」
「……はい。」
パーシヴァルが警戒しているのは国王筆頭の王族だろう。公爵でありながら宰相を務めずに他の家に譲っているのか。
理由は簡単。公爵家は能力主義であると考える家柄で、この国の民のために働くのはいいが、王族や四侯に力を貸すことだけはしたくないという伝統と家訓がある。
公爵を継ぐのは女性であるため爵位があっても城に頻度高く入らない。
議会にも顔を出さない。配偶者が代行として顔を出しているのが慣例。
私の場合どうなるのだろう。自衛は出来る。人造人間という錬金術の産物で私兵も増えて戦力も増大した。それでも面倒ごと回避のためには仮面をつけて家の外では生活することになるだろう。
私が国を傾けるほどの美人だから仕方ない。
それはそれとして……面倒臭いと思うようになってきたのでもう帰りたい。四侯以外は初めて見た私に対して各貴族が挨拶に来た。名前だけは知っている。顔と名前を一致させていく。
「シュヴァリエ公女にご挨拶できる日を楽しみにしていたのですよ?」
「私に?私何かしたのでしょうか?」
「なさるのですか?」
目線がチラチラとエメルに向いている。そういうことか。顔いいから。素顔を見たいとか???学園の護衛はアンジュの比率を上げた方が良さそうだ。談笑をしていると王族が入ってきた。本当に金髪金眼ばかりだ。濃淡こそあるが、金ピカだ。
面倒臭そうだ。
婚約者探しとかそんな話があるがあの当たりだろうか。
ヴェロニカはまともなのはいるのだろうか。しなさだめのつもりで見ていた。彼等からは礼儀作法とかはともかく、謙虚さがない。傲慢。そういう感じだ。
「妃が多いですね。」
エメルの呟きにヴェロニカは彼にだけ聞こえる声量で応える。
「重婚は禁止してないからね。畜生腹ではなく数打てば当たったのか、そっちの命中率が良かったのか。」
「姫様、ダメですよ。」
「この仮面をつけて聞こえるのはエメルだけよ。」
王族たちの間にエメルが立って視界に収まらないように間に立っていた。
チラリと国王を見上げる。どんな人間なのか。
昔一度見たけれど、見ただけで印象としては薄い。
腐っても異母兄妹になるらしい。そして王子、王女たちよりも私の方が血統的に上になるから私は王族には頭を下げないし、国王も私の存在と生まれた経緯を知っているので絡んでこないだろう。
だけど、ほかの王族がそのことを知っているわけがない。王子たちにも頭は下げない。
先に挨拶こそするが、公爵家としての矜持があるので頭を下げない。
「お前が例の子供か。」
「……親の影響が濃く出ているようですね。四侯家と王家は看板だけは大きいですね。」
「何だと……」
「この無礼者をつまみだしなさい!!」
ヴェロニカは毅然とした態度で国王を見る。態度が悪いのはどちらだろうか。
「エメル帰りましょう。挨拶が必要な方とは終えました。」
「公爵様には伝えておきますので帰りましょう。」
「ありがとう。何故学園入学が15からになったのかきちんと正式な書面で頂きたいものです。それに合わせてきた人間が大多数ですし。人の迷惑というものを覚えてもらいたいですね。」
嫌味所ではなく露骨な罵倒に近い。王宮の人間と顔を合わせたくないから帰ろうとした時に学園に入ることになった留学生の紹介になった。
「指摘しましょうか」
「放っておきなさい、エメル。そういう躾なのでしょう。」
「公爵が来られました。」
そんなことよりも。ということで、目線を移動させると父が人造人間の副官も連れて会場に来た。ヴェロニカはスタスタ歩いて父の元に行く。
「気分が悪くなったら帰っても構わない。」
「別に問題ないですよ。仮面が珍しい訳では無いでしょう?」
「あぁ、シュヴァリエの女性は結婚するまで外では仮面を付ける。」
「結婚するまで…?」
「政略なり恋愛なり直ぐに相手は決まるだろう。」
大体そんなものだし。そういう顔をしている。仮面付けたままでいいけれど。目線の向きとかで表情は読めるだろうに。父の傍にいる人造人間を見あげる。文官のような男性だ。妙齢。仕事極振りなんだろうけれど楽しそうだ。必要とされてないんじゃないかと凹んでいたのが嘘のようである。
「姫様?」
「私が習った常識では下のものが挨拶に来るもの。と、聞いていたのですが違うようで。それとも侯爵家は公爵家より上だと思われているでしょうか……」
「公爵家は名誉職だの政治的発言をしないと勝手に勘違いしているのだろう。」
「切り捨てますか?」
護衛騎士達が淡々と剣に手をかける。許可をしたら斬り捨てるんだろうなぁ。主思いだし、こちらも信頼関係を築いてきた。ヴェロニカは手を伸ばしてエメルの手を取る。
「小物相手に気にしなくて大丈夫。」
「姫様。」
「……折角エメルの為に誂えた剣を汚す価値あるの?」
「いえ。鼻の骨を折るか前歯を折ることが妥当かと。」
「綺麗な手が傷つくだろうに……気にしてないから。」
「ヴェロニカ、何故目隠しをさせているんだ。」
立ち姿からエメルだと分かるが目を隠すレースで視界を覆っている。
「エメルは顔がいいですから。世間知らずのアバズレが声をかけてこないように…私なりの対策です。」
父は自分の連れている人造人間を見るとニコッと笑顔を返していた。まぁ、父と一緒なら基本安全だろうが、私は子供で顔を出していない。くっついていると王宮の近衛達がこちらに気づいているようだが、父に用事があるようだ。
「ヴェロニカ、護衛騎士から離れないように。」
「……はい。」
パーシヴァルが警戒しているのは国王筆頭の王族だろう。公爵でありながら宰相を務めずに他の家に譲っているのか。
理由は簡単。公爵家は能力主義であると考える家柄で、この国の民のために働くのはいいが、王族や四侯に力を貸すことだけはしたくないという伝統と家訓がある。
公爵を継ぐのは女性であるため爵位があっても城に頻度高く入らない。
議会にも顔を出さない。配偶者が代行として顔を出しているのが慣例。
私の場合どうなるのだろう。自衛は出来る。人造人間という錬金術の産物で私兵も増えて戦力も増大した。それでも面倒ごと回避のためには仮面をつけて家の外では生活することになるだろう。
私が国を傾けるほどの美人だから仕方ない。
それはそれとして……面倒臭いと思うようになってきたのでもう帰りたい。四侯以外は初めて見た私に対して各貴族が挨拶に来た。名前だけは知っている。顔と名前を一致させていく。
「シュヴァリエ公女にご挨拶できる日を楽しみにしていたのですよ?」
「私に?私何かしたのでしょうか?」
「なさるのですか?」
目線がチラチラとエメルに向いている。そういうことか。顔いいから。素顔を見たいとか???学園の護衛はアンジュの比率を上げた方が良さそうだ。談笑をしていると王族が入ってきた。本当に金髪金眼ばかりだ。濃淡こそあるが、金ピカだ。
面倒臭そうだ。
婚約者探しとかそんな話があるがあの当たりだろうか。
ヴェロニカはまともなのはいるのだろうか。しなさだめのつもりで見ていた。彼等からは礼儀作法とかはともかく、謙虚さがない。傲慢。そういう感じだ。
「妃が多いですね。」
エメルの呟きにヴェロニカは彼にだけ聞こえる声量で応える。
「重婚は禁止してないからね。畜生腹ではなく数打てば当たったのか、そっちの命中率が良かったのか。」
「姫様、ダメですよ。」
「この仮面をつけて聞こえるのはエメルだけよ。」
王族たちの間にエメルが立って視界に収まらないように間に立っていた。
チラリと国王を見上げる。どんな人間なのか。
昔一度見たけれど、見ただけで印象としては薄い。
腐っても異母兄妹になるらしい。そして王子、王女たちよりも私の方が血統的に上になるから私は王族には頭を下げないし、国王も私の存在と生まれた経緯を知っているので絡んでこないだろう。
だけど、ほかの王族がそのことを知っているわけがない。王子たちにも頭は下げない。
先に挨拶こそするが、公爵家としての矜持があるので頭を下げない。
「お前が例の子供か。」
「……親の影響が濃く出ているようですね。四侯家と王家は看板だけは大きいですね。」
「何だと……」
「この無礼者をつまみだしなさい!!」
ヴェロニカは毅然とした態度で国王を見る。態度が悪いのはどちらだろうか。
「エメル帰りましょう。挨拶が必要な方とは終えました。」
「公爵様には伝えておきますので帰りましょう。」
「ありがとう。何故学園入学が15からになったのかきちんと正式な書面で頂きたいものです。それに合わせてきた人間が大多数ですし。人の迷惑というものを覚えてもらいたいですね。」
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