托卵された公爵

はまち

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  毒草達の毒の成分を強くすべきか……いや、魔獣に近い毒を孕んだゴーレムや魔物を作るべきか。使役するならどこにでもある姿……鳥、蜘蛛、蝶……何を作るか。情報収集悩むなぁ。毒草、毒キノコを眺めながらお茶を飲む。

「姫様、この植物は……」
「適切に処置したら毒物だから食べたらダメよ。」
「……姫様の私物なのですか?」

  私物なら移動させた方がいいだろうか?そういう気遣いなんだろうけれど、そういうのではない。

「私物だけど、研究用だから温室でいいの。」
「承知致しました。」
「流石に配合した毒薬を使う訳にも行かないし……」
「……必要であればこの身を……」
「いやいや効かないでしょ?そういう造りなんだし。」

   問題なのはあの時不義の子と言っていた王子、カストロ…そして双子の王女ポルクス……
   揉めて政争にまでなりかけたのがカストロがポルクスの友人、ポルクスがカストロの護衛騎士と恋仲だとかで噂が流れ互いに逢い引き場面、情報横流しがバレたから。という、何ともまぁみっともないことが起きて大人にまで波及した。
   それで内政も絡んでゴタゴタし始めたから学園に入れる歳がずれ込んだ。

「残念です。」
「大切な護衛を薬の実験に使うわけないでしょ?それともそんなふうに見えた?」
「姫様の為にここに居ますので。」
「自分のモノを汚すような趣味はないの。」

   さてと王族の情報も集まってきた。当面めんどくさいのはカストロとポルクス……他の王子達は出国したりめんどくさいからと王位より母親の実家に帰ったとか。王族の金髪金目ではなく、母親の色が強いからと。

  王族の基準は金髪金目であること。本人の性格や適性よりも色が優先される。シュヴァリエは母系の娘であること。色は後回しだ。
  娘が生まれない時はやる気のある直系が家督を継ぐ訳だし…金髪金目にこだわっているのはあそこだけだ。
 
 「姫様、ヴェリタス様が図書館を出たそうです。」
「そぅ……わかった。ラファエルを部屋に呼んでおいて。」

   部屋に戻ると家の事以外に目を向け無ければならない。黒烏の集めてきた情報の精査。集めて来いと命じた訳では無い。依頼の内容をこちらに流してもらっただけだ。
 それをどう扱うかは私の自由であり、公爵家で国の裏側を握っている状態だ。
 それをこの国の貴族達はどれだけ理解しているのか。
 自分たちの諜報機関を持っているだろうけれど、そういうことを知っているのか。公爵家がご意見番、内政に干渉しない肩書き公爵と思っている家の人間は痛い目にいつか遭わせてやる。

 危機感を持たせるのも違う。気づいたらどうしようもない状況になっているのが理想だ。
 それには聖王国の宰相の息子が我が家に滞在は悪くない。

「姫様。」

 ラファエルが何の用事だろうと首を傾げている。彼の予想の中には私が何をするか予想ができていないのだろう。
 当然だ。私の思いつきでもある。

「ラファエル、黒烏って基本建物の拠点というのはあまりなくてツテとかだったよね。裏稼業同士で繋がっているとか。私も潰すために拠点探すの苦労したし……」
「そうですね。悪い人に誘われて拠点を転々としていますね。」
「……黒烏に商売に明るい人間はいる?」
「???商いにするのですか???」

 こそこそとしてきたから秘匿してきたものがある。それを崩すと思ったのだろうか。

「飲み屋を作るだけ。お酒と綺麗なお姉様がいれば口も滑るかなって。情報屋の入り口でもいい。オーナーは黒烏と通じていると流してもいい。集まる情報の精度は落ちるかもしれないけれど、数は集まると思うし……軽食と美味しいお酒が飲める店で冒険者から貴族まで利用できるというのはどうかな。って思ったの。男の人って美人に弱いのでしょ?」
「酒場を作るのは簡単ですが、従業員はどうするのですか?烏の人間に給仕させるのですか??」
「娼婦でもいいわ。お酒を開けた分の利益が娼婦に入ればいいんだし、こっちは店として運営できるだけの利益と情報だけが欲しいから給仕とか隣に座った娼婦への売り上げを高くしていいわ。」
「……詳しそうな人間に声をかけますので姫様は草案をまとめてくださいね。」

 おっと。草案だけ出して丸投げするつもりだったのに封じ込められてしまった。ヴェロニカは仕方ないと思ってため息をつく。今のままでもいいかもしれないが、もうちょっと様々な情報を集めたくなった。
 私が知っている情報の集め方をするのが一番だ。法律の抜け穴を探して違法行為スレスレになるが、そこを何とかするものだ。

「じゃあ、3日で草案を作るから人を集めておいてね、ラファエル。」

 彼の笑顔も固まっていた。

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