23 / 27
23
しおりを挟む
父に報告が行ったのか父の方から私の部屋に来た。
「ヴェロニカ、犬猫以外を拾ったと聞いたが?」
「そうですね。散歩に出たところ踏んでしまったので治療も兼ねて。魔力は多いようだったので新しい事業を始めるので雇われ店長をさせようかなと思っていたところです。ただ気になる所があったのでお父様の意見も聞いた方が良いかなと。」
まだ拾って洗って怪我の治療と食事の提供と言う必要最低限しかしていない。必要最低限だけなのでまだどうとでも出来る。
特殊な彫り物が背中に施されていることで確信はあるけれど、断定したわけでもない。父は報告書に目を通して黙ってむにー。っと、娘の頬を引っ張る。
「いひゃいです。」
「話せるようになっているのか?」
父がメイドに聞くと食事をスープだけではあるが食べるようになった。と、報告する。本当に死ぬ手前だったようだ。担いだ騎士達が長くないかもな。
漏らしていたので私は命の恩人だ。恩を売れるなら高値で売りつけよう。
「なってるそうです。お父様は何方かご存知ですか?」
「まぁ、全て知っている訳では無いけれど……デオンとリオンに連絡しておけば久しぶりに帰ってくるだろう。」
「????わかりました。」
目を覚ました青年は視界に入ったのが父に驚いたのか、仮面を付けた娘に驚いたのか目を見開いていた。
「……あぁ、本人だな。ミハイル・アベイル…アレの1人目だ。」
「えと、王様が視察してお忍びで花街に遊びに行ってお持ち帰りしちゃった人の子供…」
「そういう事だ。後ろ盾が弱い、母親も権力闘争に敗れていない。色もないから後ろ盾になると囁いていた貴族にも切られたのだろう。」
父は彼の髪を撫でる。言葉も発することもなく泣き出してしまった。まぁ、死にかけていたわけだから泣きたくもなる……???という解釈であってるのかな??お父様はため息混じりにタオルを顔に押し当てていた。
「珍しくお父様が優しい……」
「…アベイルの中では希少種だからな。」
人格的に希少種ということなのだろう。いつも警備で王族に振り回されているらしいし。兄と年代が近いのだろうか。
「公爵…すみません。」
「礼なら娘に言うことですね。たまたまボロ雑巾を踏んだら貴方で魔力があるからと拾っただけですから。回復してからまた来ます。死にかけている人間に用はありません。死にたくなったなら何時でもお好みの毒を渡しますので。」
部屋から出るように父に促された。
「平民に落ちたのであれば雑にされるかと思いました。」
「中でそれなりの距離でアベイルを見ているとアレが1番マシだからな。」
猿しか残ってない。そんなふうに聞こえた気がする。父の部屋まで来てしまった。人払いもして2人と人造人間達だけになった。
椅子に座るように促されて言われるがままに座る。お茶などは自然と用意されるし、何も問題ない。
そして目の前に資料が置かれた。
「金の猿が産まれてから出された王族の経歴を私なりにまとめたものだから写本させなさい。」
「ありがとうございます?どうしてこんな出された王族の記録を?」
「ポンコツだった時の保険だな。死にたいと言うなら殺して構わない。」
「あ、はい……お父様、公爵としての判断をお伺いしても宜しいでしょうか?」
「資料を読んでからもう一度来なさい。私が公爵をしているのはヴェロニカが成人するまでだ。」
父は決定事項のように断言した。
「ヴェロニカには早く爵位を継いでもらう必要がある。」
「……分かりました。流石に補佐とか付けないとか、ないですよね?」
「爵位を継ぐだけなら簡単だが、ラファエル以外にも領官を増やそう。私も隠居して娘の補佐が出来る。」
父が補佐をするのか。ヴェロニカはお茶を飲んでそれなら出来るのか???と、首を傾げた。
「お父様は今の仕事を辞めるつもりですか?」
「王宮内の情報を集めるためにそれは出来ない。辞める時は引越しする時だよ。」
パーシヴァルは娘の隣に座り顔を撫でる。そう言えば父は指輪をしていない。魔石の指輪がないということは礎に捧げたのだろう。婿入りしてきた配偶者はつけていない人ばかりだ。
「お父様……そうならないように致します。私だけでどうにかなるとは思えませんが……」
「全てできるとな思ってない。出来ないことを悟らせず人を動かす。全て1人でしろと言うつもりは無い。」
だけど、数打って生まれて捨ててるというのが生産性がない。残しておくのではなく放逐。自分の爵位よりこの捨てられた王族達の父なりの評価と追跡調査が書かれていた。
「姫様、レターセットをお持ちしました。」
「ありがとう。検閲されると思う?」
「素直に会いたいです。と、だけで効果があるかと思います。顔色があまり宜しくないですよ、姫様。」
「……兄達に速達で。」
会いたいと一言だけ。兄たちにはこれで十分だ。
それよりも……これ覚えないといけないのか
「ヴェロニカ、犬猫以外を拾ったと聞いたが?」
「そうですね。散歩に出たところ踏んでしまったので治療も兼ねて。魔力は多いようだったので新しい事業を始めるので雇われ店長をさせようかなと思っていたところです。ただ気になる所があったのでお父様の意見も聞いた方が良いかなと。」
まだ拾って洗って怪我の治療と食事の提供と言う必要最低限しかしていない。必要最低限だけなのでまだどうとでも出来る。
特殊な彫り物が背中に施されていることで確信はあるけれど、断定したわけでもない。父は報告書に目を通して黙ってむにー。っと、娘の頬を引っ張る。
「いひゃいです。」
「話せるようになっているのか?」
父がメイドに聞くと食事をスープだけではあるが食べるようになった。と、報告する。本当に死ぬ手前だったようだ。担いだ騎士達が長くないかもな。
漏らしていたので私は命の恩人だ。恩を売れるなら高値で売りつけよう。
「なってるそうです。お父様は何方かご存知ですか?」
「まぁ、全て知っている訳では無いけれど……デオンとリオンに連絡しておけば久しぶりに帰ってくるだろう。」
「????わかりました。」
目を覚ました青年は視界に入ったのが父に驚いたのか、仮面を付けた娘に驚いたのか目を見開いていた。
「……あぁ、本人だな。ミハイル・アベイル…アレの1人目だ。」
「えと、王様が視察してお忍びで花街に遊びに行ってお持ち帰りしちゃった人の子供…」
「そういう事だ。後ろ盾が弱い、母親も権力闘争に敗れていない。色もないから後ろ盾になると囁いていた貴族にも切られたのだろう。」
父は彼の髪を撫でる。言葉も発することもなく泣き出してしまった。まぁ、死にかけていたわけだから泣きたくもなる……???という解釈であってるのかな??お父様はため息混じりにタオルを顔に押し当てていた。
「珍しくお父様が優しい……」
「…アベイルの中では希少種だからな。」
人格的に希少種ということなのだろう。いつも警備で王族に振り回されているらしいし。兄と年代が近いのだろうか。
「公爵…すみません。」
「礼なら娘に言うことですね。たまたまボロ雑巾を踏んだら貴方で魔力があるからと拾っただけですから。回復してからまた来ます。死にかけている人間に用はありません。死にたくなったなら何時でもお好みの毒を渡しますので。」
部屋から出るように父に促された。
「平民に落ちたのであれば雑にされるかと思いました。」
「中でそれなりの距離でアベイルを見ているとアレが1番マシだからな。」
猿しか残ってない。そんなふうに聞こえた気がする。父の部屋まで来てしまった。人払いもして2人と人造人間達だけになった。
椅子に座るように促されて言われるがままに座る。お茶などは自然と用意されるし、何も問題ない。
そして目の前に資料が置かれた。
「金の猿が産まれてから出された王族の経歴を私なりにまとめたものだから写本させなさい。」
「ありがとうございます?どうしてこんな出された王族の記録を?」
「ポンコツだった時の保険だな。死にたいと言うなら殺して構わない。」
「あ、はい……お父様、公爵としての判断をお伺いしても宜しいでしょうか?」
「資料を読んでからもう一度来なさい。私が公爵をしているのはヴェロニカが成人するまでだ。」
父は決定事項のように断言した。
「ヴェロニカには早く爵位を継いでもらう必要がある。」
「……分かりました。流石に補佐とか付けないとか、ないですよね?」
「爵位を継ぐだけなら簡単だが、ラファエル以外にも領官を増やそう。私も隠居して娘の補佐が出来る。」
父が補佐をするのか。ヴェロニカはお茶を飲んでそれなら出来るのか???と、首を傾げた。
「お父様は今の仕事を辞めるつもりですか?」
「王宮内の情報を集めるためにそれは出来ない。辞める時は引越しする時だよ。」
パーシヴァルは娘の隣に座り顔を撫でる。そう言えば父は指輪をしていない。魔石の指輪がないということは礎に捧げたのだろう。婿入りしてきた配偶者はつけていない人ばかりだ。
「お父様……そうならないように致します。私だけでどうにかなるとは思えませんが……」
「全てできるとな思ってない。出来ないことを悟らせず人を動かす。全て1人でしろと言うつもりは無い。」
だけど、数打って生まれて捨ててるというのが生産性がない。残しておくのではなく放逐。自分の爵位よりこの捨てられた王族達の父なりの評価と追跡調査が書かれていた。
「姫様、レターセットをお持ちしました。」
「ありがとう。検閲されると思う?」
「素直に会いたいです。と、だけで効果があるかと思います。顔色があまり宜しくないですよ、姫様。」
「……兄達に速達で。」
会いたいと一言だけ。兄たちにはこれで十分だ。
それよりも……これ覚えないといけないのか
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
兄様達の愛が止まりません!
桜
恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。
そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。
屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。
やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。
無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。
叔父の家には二人の兄がいた。
そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…
悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる