出勤したら解雇と言われました -宝石工房から独立します-

はまち

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34モフモフ

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狼?ワンコ??をモフモフするには少し寒空で、夜も遅く、加工と回復で魔力を使っていたミカエラはモフモフと獣の頭や耳などを撫でながら様子を気にしていた。
疲労もありウトウトしていた。ガクンと眠気に負けてしまっていた。

ふわふわと抱き上げられる感覚があったが、その匂いが心地よく気持ちが良くて瞼を開けようとしたら視界を覆われていた。

「お休み下さい。」

誰の声だったか…
ミカエラの意識はそのまま眠りについた。



朝になって起こされた。珍しい。血塗れの寝巻きではないし、回復の腕輪は付けていなかった。部屋の外に獣の足跡や血溜まりも無かった。

「????」
「ミカエラ、どうしたの?」

レオンハルトの問いかけに首を傾げる。

「侯爵家って庭に狼とか犬って警備で飼ってますか?狼よりも大きめで銀の毛並みで青と紫の目なんですけど。」

「???俺は知らないし夢じゃないの??そんな大きな獣がいたら流石に俺でも知ってるよ。」
「そうですよね。傷だらけだったから治した気がするんですよ。起きたらベッドでしたし。」

「念の為兄上に聞いておくよ。」


レオンハルトは挨拶やミカエラの報告もあるので本邸の兄とお茶をする。

「兄上、ウチって番犬で狼とか飼ってますか?」
「…狼???どうしたんだい???欲しいとか??羊でも飼うのかい???」
「羊???いえ、ミカエラが血塗れの狼を治療してたはずって銀色の毛並みで青と紫の瞳で。」

「さぁ?家に狼とか飼ってないから夢だと思うよ。血塗れの狼なんて心配だし、香とか果物とかリラックス出来るものを送ってあげるといいよ。」
「分かりました!ありがとうございます!」

レオンハルトがウキウキと出て行った。が、扉が閉まってユーリはお茶を飲み干す。

「血塗れの狼ね。銀色の毛並みで紫と青の瞳…聞いてないな。」

ユーリは隻眼の側近を見上げるとふぃっと顔を逸らした。

「怪我してたんだ。」
「…治っております。」
「ミカエラに姿見られたんだ。」
「…偶然です。」
「ミカエラはイザークの大切な人?」

ただ優しげな声音で好奇心なのか咎めるつもりなのだろうか分からないが尋ねてきた。イザークため息をついて主を見る。

「それは従者としてでしょうか。」
「個人的に。欲しい?彼女が孤児のままで何も持っていなくても手元に欲しい?」
「…欲しいと申し上げたらくれるのですか?」
「弟にしろイザークにしろ彼女が家にいる理由が増えるのは歓迎だよ。まぁ、奥手なのか鈍感なのか分からないけど選ぶのは彼女だろうし、気になるなら仕事放棄しない程度なら気にかけてあげて。」
「おや?弟優先かと思っていましたが。」
「グズグズしてると取られるという危機感くらい必要かなって。」

箱入り息子の弟に甘いのか甘くないのか分からないなと、イザークは主人を見ていた。



「あ、イザーク様。また王宮のですか?」

石と発注書を抱えて部屋に来た。レオンハルトは専属護衛としてついているけれど彼女に習って石の加工の練習をして自前の剣に装着することを目標とするようだ。

「えぇ。予算の都合もあるのでいきなりたくさんは依頼できませんから。」
「クズ石どこから…??」
「捨てるに捨てれない石捨て場があるんです。城の倉庫に。そこからです。」
「へぇ、ありがとうございます。また終わったらご連絡致します。」

箱を作業台の傍に置いてもらう。ミカエラの部屋は適度に掃除もされているが人をなるべく排除しているようだ。

「リンゴがお好きなのですか?」
「好きですよ?美味しいですし。リンゴの匂い凄いしますか?」
「そうですね、厨房より芳醇なリンゴの香がします。」
「あ、それ俺です。エイスの魔力操作の練習でリンゴの皮剥きして食べてばかりで。」

レオンハルト様が原因らしい。食べれる限界もあるし、緊張感を持って練習出来るから良いのかもしれない。

「イザーク様?」
「犬でも飼いますか?」
「…////あ、いや…確かにモフモフした動物は憧れますけれど…馬でも十分です。」
「犬とかはお嫌いとか。夢見が悪かったと聞きましたが。」

「//////え、あそうではないです。夢ならもっと堪能して置けばよかったなと。犬も猫も好きですよ。凄くいい匂いがして血塗れだったけれど毛並みもツヤツヤで体躯も立派だったのでモフモフしておけばと。」
「警備の方に行けば番犬も飼っていますし、厩舎には猫もいます。人にいえば触るくらいなら構いませんよ。」
「…ありがとうございます。尋ねてみます。」

モフモフの話題だった…何故獣の触れ合いの話に。
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