40 / 194
40モフモフは偉大
しおりを挟む
やっぱりベッドに戻されていた。狼ひっそり飼ってるのかな?
今日もダンスは嫌だなぁ。朝食は部屋でもしょっと食べていたが、しばらくダンスはないと連絡だった。
それでいいのだろうか。ユーリ様なりに考えがあるのだろうか。
というか、私は平民の癖にあれが嫌だの文句言って怒られない???
悶々としながら本日は城で魔導師団の実験の手伝いの為にレオンハルトと移動をする。
「疲れてる?」
「ちょっと疲れてます。」
溜息をつきたいが、こういう気分が落ち込む日は大体ろくでもないことが続くというのがここ最近の経験則。ダンスではなくマナー教室優先になっていた。叙爵して困るのが私だからと。
「レオン様、素朴な質問いいですか?」
「何?」
「マナー教室受けてますが、明らかに目に余る場合ってどうするのですか?」
目の前にニヤニヤと下卑な笑みを浮かべた院長…ケルビ男爵がいた。
「これはロズウェル侯爵令息。恐れ入りますがミカエラと少し話をする時間を頂けないでしょうか。孤児院に関する事でないないの話がありまして。」
「ケルビ男爵、私は今彼女の護衛です。いくら知人とはいえ、離れることは致しません。」
「侯爵家令息の耳に入れるようなお話ではなく…」
「では、彼女の耳にも入れる必要がないですよね。」
「レオン様同席でこの人の往来があるここでなら良いのではないでしょうか。私は孤児院の事でコソコソするような話はないですから。」
ニコッ。と、提案する。立ち話程度で聞くのは構わないし言えるなら言ってみろ。
「叙爵を控えて身元が明らかになるが?」
「孤児院育ちの孤児ですがなにか?騎士団、魔導師団の方は仲良くして下さっていますよ?生まれも貴族には大事でしょうが育ちとか中身の問題では???」
周りからクスッと笑う声が聞こえた。つまりまぁ、孤児に何集ってんだよ。というのが周囲には伝わっているのだろうか。
「自力で叙爵受けるのですから褒めたりするなはともかくお金の無心されても、私如き平民の孤児が孤児院長もするケルビ男爵の財に劣るのになぜ私にお声かけを?」
「姉になる娘が娼館に行くことになった。身請けするなり援助するのが同じ孤児院で育ったお前のすることだろう。」
誰の事だろう。
「そうでしたか。本当に困窮してるのなら自分で神殿に行くでしょうから。それにそれは私の役目では無いです。遅れますので失礼致します。孤児院の運営などであれば私ではなく国のお財布財務に行く方が解決策を教えてくださいますよ。」
取り敢えず仕事場に向かわないと。
「ミカエラ、大丈夫?」
「…レオン様、孤児が娼館やゴロツキ、犯罪者になるなんて珍しくもなんともないんです。真っ当な職につく人もいますけどつけない方がほとんどなので…」
「…分かった。兄上に報告は問題ない?」
「それは問題ないです。」
「ミカエラは色々舞い込んでくるね。ここまで色々あるのはある意味特殊というか滅多にないと思うよ。」
それは確かに。工房で馬車馬のように働いてた時もこんなに何かが立て続けに起きたことは無い。
「急にお金や地位を得たら親戚が増えると言うのはどこかで聞いた事ありますが…自分に降ってくるのは思いませんでした。家買いたい…」
「でも次の家どうするの?前と同じところはさすがにしないと思うけど。」
「ギルドに近くて、前見たく地下ありの2階建ては欲しいですね。研磨機も買い直して…」
「貴族街にしないの?」
「そんな広さ求めてませんから。掃除が大変でしょう。掃除する人なんて雇う予定ないんで。」
価値観が違うので細々と指摘しながら説明しないといけない。レオンハルトもうーんと、首を傾げる。
「仕事の時間を摂るための必要経費って考えたら?今忙しいんだし。」
「…必要経費。」
「落ち着いたら頻度減らして仕事と趣味のために家事を依頼するっていう使い方。お金は入ってくるんだし。」
お金がある。爪防護剤と王宮納品と手伝い、宝飾品…確かにお金がある。
「無理に大きな家にしなくてもいいと思うけど、自分の時間作るために人を雇うのはいいんじゃないかな。」
「…そうですね。」
私、人を雇うことになるのか???
今日もダンスは嫌だなぁ。朝食は部屋でもしょっと食べていたが、しばらくダンスはないと連絡だった。
それでいいのだろうか。ユーリ様なりに考えがあるのだろうか。
というか、私は平民の癖にあれが嫌だの文句言って怒られない???
悶々としながら本日は城で魔導師団の実験の手伝いの為にレオンハルトと移動をする。
「疲れてる?」
「ちょっと疲れてます。」
溜息をつきたいが、こういう気分が落ち込む日は大体ろくでもないことが続くというのがここ最近の経験則。ダンスではなくマナー教室優先になっていた。叙爵して困るのが私だからと。
「レオン様、素朴な質問いいですか?」
「何?」
「マナー教室受けてますが、明らかに目に余る場合ってどうするのですか?」
目の前にニヤニヤと下卑な笑みを浮かべた院長…ケルビ男爵がいた。
「これはロズウェル侯爵令息。恐れ入りますがミカエラと少し話をする時間を頂けないでしょうか。孤児院に関する事でないないの話がありまして。」
「ケルビ男爵、私は今彼女の護衛です。いくら知人とはいえ、離れることは致しません。」
「侯爵家令息の耳に入れるようなお話ではなく…」
「では、彼女の耳にも入れる必要がないですよね。」
「レオン様同席でこの人の往来があるここでなら良いのではないでしょうか。私は孤児院の事でコソコソするような話はないですから。」
ニコッ。と、提案する。立ち話程度で聞くのは構わないし言えるなら言ってみろ。
「叙爵を控えて身元が明らかになるが?」
「孤児院育ちの孤児ですがなにか?騎士団、魔導師団の方は仲良くして下さっていますよ?生まれも貴族には大事でしょうが育ちとか中身の問題では???」
周りからクスッと笑う声が聞こえた。つまりまぁ、孤児に何集ってんだよ。というのが周囲には伝わっているのだろうか。
「自力で叙爵受けるのですから褒めたりするなはともかくお金の無心されても、私如き平民の孤児が孤児院長もするケルビ男爵の財に劣るのになぜ私にお声かけを?」
「姉になる娘が娼館に行くことになった。身請けするなり援助するのが同じ孤児院で育ったお前のすることだろう。」
誰の事だろう。
「そうでしたか。本当に困窮してるのなら自分で神殿に行くでしょうから。それにそれは私の役目では無いです。遅れますので失礼致します。孤児院の運営などであれば私ではなく国のお財布財務に行く方が解決策を教えてくださいますよ。」
取り敢えず仕事場に向かわないと。
「ミカエラ、大丈夫?」
「…レオン様、孤児が娼館やゴロツキ、犯罪者になるなんて珍しくもなんともないんです。真っ当な職につく人もいますけどつけない方がほとんどなので…」
「…分かった。兄上に報告は問題ない?」
「それは問題ないです。」
「ミカエラは色々舞い込んでくるね。ここまで色々あるのはある意味特殊というか滅多にないと思うよ。」
それは確かに。工房で馬車馬のように働いてた時もこんなに何かが立て続けに起きたことは無い。
「急にお金や地位を得たら親戚が増えると言うのはどこかで聞いた事ありますが…自分に降ってくるのは思いませんでした。家買いたい…」
「でも次の家どうするの?前と同じところはさすがにしないと思うけど。」
「ギルドに近くて、前見たく地下ありの2階建ては欲しいですね。研磨機も買い直して…」
「貴族街にしないの?」
「そんな広さ求めてませんから。掃除が大変でしょう。掃除する人なんて雇う予定ないんで。」
価値観が違うので細々と指摘しながら説明しないといけない。レオンハルトもうーんと、首を傾げる。
「仕事の時間を摂るための必要経費って考えたら?今忙しいんだし。」
「…必要経費。」
「落ち着いたら頻度減らして仕事と趣味のために家事を依頼するっていう使い方。お金は入ってくるんだし。」
お金がある。爪防護剤と王宮納品と手伝い、宝飾品…確かにお金がある。
「無理に大きな家にしなくてもいいと思うけど、自分の時間作るために人を雇うのはいいんじゃないかな。」
「…そうですね。」
私、人を雇うことになるのか???
0
あなたにおすすめの小説
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない
ラム猫
恋愛
幼い頃に、セリフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セリフィアはそれを喜んで受け入れた。
その後、十年以上彼と再会することはなかった。
三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セリフィアはその場を離れた。
しかし治療師として働いているセリフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。
それどころか、シルヴァードはセリフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。
「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」
「お願い、セリフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」
※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。
※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~
甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」
「全力でお断りします」
主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。
だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。
…それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で…
一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。
令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる