出勤したら解雇と言われました -宝石工房から独立します-

はまち

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86 口頭より実践

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 回復して仕事の配分気をつけようと思った。健康第一だ。イザーク様が強かというか、口説くと言うより囲い込みではないか。ため息ばかりついている。今日は王城で安全管理ができていない魔導士団に向かう。馬車は侯爵家の馬車で王城に向かう。護衛がイザーク様だ。腕の中に収められて膝の上だ。降りたい。娼館で聞くようなベタベタ触る系ではなくてとりあえず距離感を詰めてくるだけだ。それ以上がなければ安全だけれども警戒するに越したことはない。妙に積極的だから警戒するのは当然だし、それくらい加味しているようだし。

「最近食べ過ぎて肉がついているのでおろして下さい。」
「軽いですよ。」

 頬擦りをされる。髪を手櫛で整えられていく。手つきが優しくてとても心地よいので大人しく撫でられるだけになる。絆されているのか距離感をどれだけ詰められているのか。・・・長期戦でもいいと思っているのだろうか。

「どうしました?」
「ここに座るのに抵抗がなくなったのも問題な気がしています。」
「そうですか?座り心地が悪いとか。」
「・・・悪かったらどうするのです。距離の近さは思うところがありますが、良い悪いを評することでもないです。別に・・・我慢は羞恥心だけですから。」
「そういう様子もとても可愛らしいですよ。」

 ミカエラは耳を赤くして目線を合わせないようにする。本人が至って真面目なのがタチが悪い。

「城でひっついてきたら我が家出禁ですから。」
「わかっていますよ。これでも自重しているのですけれど。」
「してませんよ。」
「・・・自重しないで接しましょうか?そうしたらどれだけ自重しているかご理解いただけるかと思います。」
「したら嫌いになります。」

 ぷいすと顔をそらして不機嫌であると伝えるとすみません。と謝るので本気ですることはないのだろう。
 王城に到着したのだが、本日の仕事は王城の魔導士団が依頼してきた仕様書がとても残念だったので口頭説明もあまり通じていない気がしたので城で作ることを選び、お邪魔して良いかとお伺いを立てたら今に至っている。

 魔導士団には1人で行けるのだが、護衛の送り迎えがついている。本当に最近過保護な扱いな気がするけれど。詳しく聞いても良いのだろうか。多分答えてくれないと思う。


 王城ではそれなりに慣れた魔導士団の魔道具科に向かい、開発部にいくと色々仕様書を書いたり研究をしているらしい。

「フィル女男爵、何か気になることでも??」
「気になるというか、依頼内容が使用者の安全とか全て無視した美味しいもの詰め合わせみたいな変な仕様書を書いてきたのでそれならコツというかそう言う話をしておけば良いのかなって。」
「安全無視ですか??」

 仕様書を取り出して指示通りにするとどのように危険なのかを伝える。魔石とクズ石の組み合わせだとしてもこの組み合わせだと使用者が干物が出来上がってしまう。そう言うことを言いながら魔力を通す回路が太すぎる。魔石の大きさに対してクズ石の大きさや配置も安全性を全て無視しているので便利道具ではなく呪いの装備品でしかない。魔石にこめられたアクションや魔力行使したら死ぬまたは大怪我必須の道具と言うのは道具としては不適格だ。

「何故そうなったのでしょう。」
「そもそも回路が太いんです。貴族で魔力が潤沢なのかもしれませんが、身につけるならこんな太さ入りません。」
「いや、それうちの人間が作った1番細い回路なんだよ。」

 ミカエラはそんなことないと思うんですけれど。と、小さく言って魔石はないけれど基盤の腕輪の回路を刻むのはかなり細かいけれど出来ないわけでもない。こういう細かい作業は嫌いでもないので。 エイスで同じものを綺麗に刻んでできますよ。と、人に見せる。

「ミカエラさん、城務めしませんか???固定給ですよ。」
「嫌です。これ以上仕事を増やしたくないですし、何より不労所得のために権利関係を頑張ってきたのに固定給のために働くなんていやです。不労所得万歳です。」

 ミカエラは働きたくないから今頑張っている。言い切るとあまり理解を得られなかったようだ。元々貴族で領地からのとかのお金で不労所得を持っているのか・・・そう言うことだからと適当に話を切り上げてこんな感じで作ったら使用者は安全に作れるはずだと大雑把に解説をした。

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