出勤したら解雇と言われました -宝石工房から独立します-

144 学園生活

学園生活で平民コースであれば友人を作る必要があるけれど…貴族だと派閥になるのか…いくら体格が近くても年齢差はある。そして爵位持ちで平民。まぁ、貴族しか知らないお貴族様には近寄り難いか。そういう訳でもなさそう…

「やぁ、ミカエラ。」
「ヘラルド様。何故学園に？？？」
「視察だけど。」

ヨシヨシと当たり前のように頭を撫でてくる。何の視察だ。すっごい偉い人が視察するにはお付の人が少ない。ひょこっと後ろを見ると側近が黒板に文字を素早く書いていた。

《サボりです！！》

サボって何しに来たのか。空き時間だから構わないが腕の中に収められている。側近が黒板に文字を書いていく。

《仕事溜まってます！！》

「ヘラルド様…サボりダメですよ。お仕事しないと。」
「私も久しく学園の実状を見てなかったからねー。陛下が来るよりマシだろう？思いつきで何するか分からないよりは。」
「…ヘラルド様も仕事サボってくるのはよくないですよ。」
「優先度が低かったから勝手に優先度上げてきただけなんだから問題無いよ。」

　そうなのか。周りがヒソヒソ話すわけでもなく頭を下げている。ミカエラは面倒ごとを持ってこないでください。と、溜息をつきながら見上げると頭を撫でられた。

「いや、絶対周り困ってますよ。」
「別に主な仕事はユーリがするし、私は裏方だからね。」
「さっさと切り上げてもらわないと私がその他の方々から怒られるので…」
「ミカエラと話す間くらい気を利かせてくれてもいいだろうに…学園の愚痴なら何時でも聞くよ。」
「教師が青ざめるようなことを言わないでください。今のところ大丈夫ですからサクッと帰ってください。サクッと！」

腕から離れて背中を押す。ヘラルドは仕方ないなぁ。と、ぐるっとサクッと視察して帰るよ。と、出て行った。
次の講義も始まるし。と、思いながら教室に戻ると視線が更に刺さる。面倒くさい。これで更に面倒事にならなきゃいいけれど。とりあえず授業は分かる。

ヘラルド様が本当にさくっと帰ったかは知らない。
が、静かなのにドタバタとした空気が無くなったので帰ったと思うしかない。

と、思ったら数日後にギルバート様とヴィルフリート様の双子もやって来た。

「…何しに来たんです。2人とも。」
「「視察」」

2人して頭をワシワシと撫でてきた。
「雑なんですよ！！折角メイドが整えてくれているのにぐっしゃぐしゃにして！！！」
「あ、悪い。直してやるから後ろ向け。」

簡単に直してもらう。まぁ、ピンとかリボンでまとめるだけの簡単なものだ。

「ミカエラ、無茶ぶりの被害者なんだろ？伯父上から聞いたよ。」
「私の知らないところで決まったんです。やるからには努力はしますが期待しないでください。」
「ユーリ・ロズウェルから色々聞いているが…」
「ならそれで全部ですよ。王宮のイス取りとか私の土地とか爵位とか興味無いのですから。見てわかるでしょ。」
「直したぞ。相変わらずちっさいな。」
「ヘラルド様が来た時も揉めたんです…サボりじゃないですよね。」

お付の護衛たちを見ると黒板に予定が押している。と、書いていた。じとっと見上げると目をそらされた。

「じゃあ私は教室に戻ります。」
「あぁ。また伯父上を通して連絡する。」
「…期待しないでおきます。」



学園に来て私のところに来るのはまぁ仕方ない。情報がどこかに漏れてるのだろう。馬車内で舐められて噛まれて唇を重ねてくる。

「別の雄の匂いを付けないでください。」
「不可抗力です。」
「甘噛みでも痛いんです…」
「噛むだけで我慢してるのですが？」

　唾液でベタベタする。帰ったら即入浴になるし嫌ではないのだけれども…酸欠まではしてこなくなったし、学業で疲れているのだからお疲れ様と励ますなりして休ませてくれるならそれはそれで欲しいような気がするけれど、身体触られるのが嫌じゃなくて、これくらいならいいやと思っている私にも大問題なところはあると思うが、嫌じゃないんだよなぁ。今のところ。それが1番困った。抱き着いて密着したらキスの雨あられは無くなる。顔を埋めておけば尚更。

「ミカエラ？」
「お留守番出来て偉いですよー。」

頭を撫でる。頭褒めて欲しいのか？？？そう思って頭を撫でると満足そうに腕の中から出れなくなる。