出勤したら解雇と言われました -宝石工房から独立します-

はまち

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143 学校の話

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まさかイザーク様に用意された婚約者が私よりも年下とは思わなかった。何よりも姿絵を見ているはずなのに気付いていないのもどうなのだろう。馬車の中で腕の中に収められてただ髪や頬を撫でているだけだ。許容範囲が広がっている気がする。

「こちら側の眼帯は初めてですね。慣れないのでは?」
「耳と鼻を使えば不便はないですよ。ミカエラと離れるのは苦痛ですね。」
「いやいや気の所為ですよ。」
「他所の男の臭いも付けて悪い人ですね。」

耳の後ろを舐められた。狼要素が強いのか直ぐに噛んでスリスリと押し付けてくる。雑にしても嫌そうにしない。もちもちしてない。嬉しそうに手を重ねて握っている。手の大きさが違う。手を合わせた時に同じ指が良いと赤珊瑚を削った指輪をつけている。

「いやいや…匂いなんてしませんよ。」
「犬は敏感なんですよ。」
「そうですかぁ家までまだあるので寝ます。もちもちくらいなら良いですよ。」

欠伸をして顔を埋めて仮眠をとる。起きてもちもちされるくらいなら嫌悪感を感じるまで寝て逃げた方がいい。疲れたのは本当なのであっさり眠れた。腕の中でスピスピと寝ていると頭を撫でられ続ける。

家に到着して起こしてもらう。ミカエラはぼんやりと抱き上げられて運ばれる。

「ミカエラ様、お疲れですね。」
「アリアただいまぁ…疲れた。お腹すいたのに眠い…」
「まだ夕食が出来てませんのでお化粧を落として着替えてお休みになってください。その代わりちゃんと起きて食べてください。」

アリアがイザークを見るとイザークが頷いて空のランチボックスをアリアに渡してミカエラの部屋に運ぶ。化粧を落とし、楽な部屋着に着替えさせるがミカエラは欠伸をして眠そうなのでイザークが脱がす。コルセットを解くと大きく息を吐き出していた。

「寝ても良いですよ。」
「うーん。」

抱き着いて顔を埋める。酩酊していたり眠気が勝っている時は遠慮なく甘えてくる。寝かせてあげたいが戯れたい。ベットに寝かせて傍に座る。可愛い。そう思いながらシーツから抜け出さないように布団をかけていると何かが違うのか目を開けた。

「どうしました?まだ寝ていてもいいのですよ。」
「…腕枕…」
「分かりました。」

腕に頭を乗せて距離を詰めてきた。寝ているが距離がかなり詰まっている。苦行だと伝えたら部屋から叩き出される。ミカエラは抱きついて顔を埋める。抱き締めて髪に顔を埋めてイザークは満足する。この匂いだと確信を持ち寝顔を眺める。




夕食が出来そうなのでミカエラを起こす。

「ん…お腹すいた…」

ちぅ。胸ぐらを掴んで口付けをミカエラがする。イザークが頭を持ち酸欠させるほどに深く、長く口付けをする。

「んぁ…長い。辛…」
「ミカエラからしたのですから当然です。」
「…何で片手がお尻…」
「腕枕から落とさないように。敏感なところ触ってないですよ。もっとくっついてください。」

足を絡めて抱き着く。しっかり筋肉。

「抱き枕としての使い心地は?」
「酸欠させに来なかったら最高…もぅご飯…」
「そうですよ。準備が終わる頃には出来上がりますから。」
「勉強疲れた…」

身体を起こして2度寝したい。相反する事が頭に過ぎりながらも空腹が勝っている状態で、ぽふんと、お腹に乗るように抱き寄せられた。お腹すいたから起きようとしているのに…
学園の話とかしようかと思ったのに。いや、お腹すいたから起きる。

「アリアが来てないですよ。」
「お腹すいたから無理。起きます…」

食欲が勝った。部屋から出る。何がどうという訳では無いがゴロゴロしてたら食事抜きで終わってしまいそうだと思った。

降りるとご飯は出来ていた。

「ミカエラ様、出来てますよー。」
「部屋に来たら良かったのに…」
「プレートが裏返ってたので。一応自重しました。」
「しなくていいよ。食べよ。」

直ぐにイザークが降りてくるし、眠いがお腹も空いているのでパクパクと食べる。

「ミカエラ様、ご飯の量足りてました?」
「それは足りてるんだけど…凄く疲れたから甘いものが欲しかったかも。」
「じゃあ砂糖菓子を少し包んでおきますね。」
「それで初日からどうでしたか?」
「…何とか。少し目立ったかも知れませんけど…元々派閥とかあって安定のぼっちです。」

 食べ終わってお茶を飲みながら勉強を一緒にする。イザークはわかりやすく説明をしている。復習というよりも詰め込みをした勉強内容の確認をする。彼は同期生になる学生名簿を見て確認をしている。

「露骨に面倒臭い人間は彼女だけですか?」
「そうなのですか???わからないです。」
「レフィラ・アンバース…未婚で歳が近いのが彼女だけだったんでしょうね。領主候補課程に入れたということは少しくらい土地を分け与えてでも阻止したいのでしょうね。」

 クッキーを口元に持ってこられたので口を開けると給餌のように食べさせてきた。美味しい。

「今までしていたのは2年分の詰め込みだったとか???」
「私にはわかりかねますが、必要分は詰め込んだ。ということでしょう。」
「そうなんですね。情報収集が終わったらいじめられそうですね。私。」
「そうなったらヘラルド様に視察に出てもらいましょうね。それくらいの根回しは出来るでしょう。」

 ミカエラはそれはそれで面倒臭いことになりそうだ。勉強をしていると2人が甲斐甲斐しくお茶を用意してくれる。さてと、これから何が起きるか起きてから考えるしかないのだろう。
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