出勤したら解雇と言われました -宝石工房から独立します-

はまち

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155 趣味発散

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  勉強の息抜きで仕事をする。王妃様が気に入れば支払いは侯爵家。ローズに似合うように髪飾り、宝飾品を作っていく。

「ミカエラ、構ってください。」
「毛玉ならいいですよ。そのままなら膝に乗せるくらいなら構いません。仕事中です。」

   構えと言われてどうすればいいのかいつも悩む。色々作って当日の服に合わせるのもありだ。黒髪に赤い瞳、衣装は黒基調とする。装飾は赤中心で纏めた。休憩…構うって…どうしようかな。手っ取り早いのは抱き寄せて彼の人の姿のままいつも私がされるように頭や髪を撫でること。少し休憩するか…

「イザーク様、ちょっとだけですよ?」

    抱き着いてきた胸なんてないのに。構えと言ってくる護衛というのはなんだろう。犬成分強すぎる。甘えているのか…普段のぬいぐるみ扱いの何がダメなのか。

「ぬいぐるみにするのと抱きつくの何が違うのですか?」
「前から堪能するか後ろから堪能するかです。」
「あ、はい。満足ですか?」
「ん…足りてませんよ。満喫したいです。」

   体格差…重い。中型、小型犬サイズの方が丁度いいのだけど…暗器とか隠しているんだろうけれど…重いんだよなぁ。
圧死する程ではないけれど…

「終わりそうですか?」
「色々作っているので気が済むまで。」
「止めはしませんが、本分は一応学生ですよ?」

  膝にゴロンと落ちてきた。行儀が悪い足を放り投げている。取り敢えずデザインを考えよう。カリカリと手を動かす。

「構ってくださいとお願いしたのですが。」
「飽きたので。」
「……勉強サボりどうするのですか?」
「サボってません。息抜きしているだけですよ。仕事でもありますが。」

   撫でると目を閉じて眠ってしまった。家の中なら防犯出来ているから???まぁ、護衛の仕事はあまり求めてないというか…いいんだけど。




 とりあえず納期にローズ嬢をロズウェル侯爵家で飾りつける。エリザベス様は嬉々として座ったままメイドに衣装の変更や髪型、化粧について指示を出す。私は納品したけれど…ローズはされるがまま。
 そして出来上がったのは男装の麗人。衣装も今までの流行りとは全く違うがローズにはとても似合っている。

「これはこれは…さてローズ嬢、このまま登城しますよ。ミカエラも。」
「私は不要では!?」
「何を言っているのです???貴方の騎士候補を取り上げるかもしれないのだから同席は必須ですよ。」

 えぇ。気にしないからエリザベス様とローズ嬢で城に行って王妃様にちやほやされたら良い。ミカエラはそう思いながらも王城に上がる服装であったことを後悔した。王城での仕事着だけど。文句を言える相手ではなく、王城に行くしかない。イザーク様が当たり前のようにそばにくる。

「どちらに?」
「王妃へのお披露目で城へ。」
「承知いたしました。折角の専属騎士なのですが…良いのですか?アルフィアスとの繋がりもあれば便利でしたよ?」

 あぁ、そういう利益関係を気にしているのか。私にはどちらでも気にしないのだけれど…見上げると本当にいいのだろうか?と気にしている。

「私の感覚だとローズ様がきちんと評価されるならそれはそれでいいと思います。」
「アルフィアスの力は便利ですけれどね。」
「そういうのは不要というか…私は自分で稼いでいるし、貴族のアレコレは向いていないのはわかっているから…」

 選ぶのは王妃やアルフィアス辺境伯たちだ。馬車に乗るがローズ様とも同席だ。どうしてこうなった…顔には出てないが気配が出ている。その気持ちわかるよ。どうしてそうなった。と、私も何度も味わったから。

「ミカエラ様、どうしたら良いのでしょう。」
「とりあえず王妃様が理想とするような男装の令嬢の騎士として振る舞えば将来安泰ですよ。」
「そうなのでしょうか。気に入られなかったら致命的では…」
「それはローズ様次第でしょう。王妃様の性格は悪くないので多分大丈夫ですよ。」


 そう多分大丈夫。それくらいの感覚でいたのだが、エリザベスが向かったのはお茶会に使う部屋なのに王妃と側近の女官しかいない。後ろで控えてローズを気にしていたが、王妃は扇で口元を隠しているけれど歓喜に震えている。後ろで王妃様が喜んでローズに話しかけてローズは普通に話はしているけれど、ロマンス小説のセリフを使い回して返すとさらに喜んでいるようだった。

「あら…ミカエラちゃん??お友達???」
「学園で知り合いまして。色々彼女が困っているようなので私より皆様の方が解決策をご存知だと思います。」

 学園でのいざこざ含めこうなった経緯を説明をする。

「ミカエラちゃんの騎士予定を取り上げるのも気が引けるわね。」
「いえ、そこまで話が詰まっているわけではないですから。」
「そうじゃないの。アルフィアスがミカエラちゃんと縁付きたいから娘の背中を押したのだと思うし、護衛騎士を持った方が良いのも事実。でも私も側に置きたいのよ…」
「…あー。じゃあ、私が適用してもらっているのですが、貸し出しというのはいかがでしょう。情報交換や依頼のやり取りでローズ様が王城に常駐たまに私のところに報告する。でもいいですし、反対でも構いません。私の家は狭いですから貴族らしい生活を保証できません。それに私の騎士にするとも決めていませんので…」

 王妃は貸出に前向きらしい。護衛騎士、専属に置く騎士は決められているしローズを置くには家柄、実力全てが劣っている。だから困っているようだし。王妃としては鑑賞用でもお気に入りでも良いからそばに置きたいだろう。

「それならミカエラちゃんが騎士を引き取ることになるけれど?」
「必要であれば名貸しを致します。ただ、起こりうる事をお助け頂ければ…」
「エリザベス、任せました。」
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