出勤したら解雇と言われました -宝石工房から独立します-

はまち

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156 処遇確認

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 細かいことは上の人にお任せしよう。ローズ嬢を置いて家に帰る。王妃様がしばらく可愛がって傍に置くだろう。学園に顔を出したら男装のまま疲れた顔で領主候補課程の教室に来た。

「ミカエラ様!」
「おはようございます、ローズ様。」
「おはようございます!王妃様にご紹介頂きありがとうございました。」
「大丈夫でしたか?」
「はい。当面は学業優先と言うことで…卒業後に関しては皆様で決められたようになりそうです。」
「アルフィアス家にはその方が良かったと思いますよ。」

   家に貴族を養う程の蓄えはないし、イザーク様は庶民料理やあの部屋での生活を気にしないが彼女は違うだろう。イザーク様は面倒だからと自分で全部するし、1人限定で世話するの大好きだから…気にしていないというか瑣末事扱いだけど彼女も抱えるとなったらメイドを増やさないといけない。それもアリア並に仕事ができる人を数人。それと彼女の賃金と生活費のある程度の保証…無理だ。わざと王妃様の名前だしたかな。

 とりあえず今日は授業で被っていなかったはずだ。それにしても私が王妃様とあったことがあるという話だけは勝手に広がりそうだ。勉強を真面目にしよう。私としては変な噂も憶測も邪魔だ。ここにいる女子は間接的に、男たちは顧客候補ばかりだ。だから面倒ごとを起こさない。私が仕事を気分よくしたいからだ。昼食のために弁当を取り出そうとしたらこちらにクラスメイトが声をかけてきた。今まで遠巻きだったのに。というよりアンバース子爵令嬢の取り巻きもいるけれど間諜なのだろうか。

「ミカエラ様、お待たせしました。」

 ローズが教室に来て荷物を勝手に持って一緒に教室を飛び出した。

「ローズ様?」
「すみません!急に引っ張り出してしまって…私の発言のせいかと思ったのですが。」

 この方多分その場で最善を選ぶけれど、後で発言を後悔して弁解するタイプだ。目の前でしょんぼりして肩を落としている。飛び出しと後悔をコロコロとしている。ミカエラは面白いなぁ。と、頭を撫でる。

「助かったのは事実なので構いませんよ。」

 彼女はほっとして一緒に昼食を食べる。ローズは豪華なランチボックスだ。それにしても男装をして苦労しないのだろうか。

「男装で授業を受けて大丈夫なのですか??」
「王妃陛下に褒められた装いだと誇ってから誰も何も言わなくなりましたよ。家族にも伝えるとお見合いの書類が暖炉に放り込まれたので驚きました。」
「それ…良いのですか???」
「わかりませんが、父が都合の良い時にミカエラ様をお食事のために我が家に招待したいそうです。もし、苦手であればロズウェル侯爵家の方と同伴でも問題ないと父が言っていました。」
「…ロズウェル侯爵家と一度確認いたしますのでかなり日程に余裕を持った招待状をいただけると幸いです。私の口頭だけでも相談は乗ってくれると思うのですが…招待状がある方が良いかと思います。」
「…わかりました。そのようにお伝えいたしますね。」



 で、済めばいいんだけれども、招待状をイザーク様に渡して返事をどうしようかと指示待ちで仕事と勉強をしていると、とても微妙そうな顔をしたイザーク様が帰ってきた。

「どうされました???」
「…アルフィアスの招待状ですが…」
「はい。」
「こうなりました。」

 アルフィアスからの招待状とヘラルド様からのいつものお誘いのお手紙ではなく、ちゃんとしたお手紙だ。愛人契約は続いているし、外せない夜会では強制参加しているけれど、いつも略式のお手紙だったり急ぎの時はメモ用紙のことが多かった。
 それがちゃんとしたお手紙の招待状になっていた。


「何故????」

 中身はアルフィアスのお屋敷でお食事ではなく、ヘラルド様のお屋敷という名のお城でお食事会に数段ランクアップしている。ドレスコードまではないけれど、きちんとした服装で来るように。という記載がある。

「なぜこんなことに???イザーク様。」
「それは相手がアルフィアスだからでしょう。スカルラッティ家はもともとロズウェル侯爵家と懇意ですが、アルフィアスはスカルラッティと土地の問題で揉めていることもあり、派閥としては中立よりでした。自分の手元に抱え込めるならということでしょう。よかったですね、ミカエラ。ヘラルド様がご褒美を用意しておくよ。と、言伝を預かっています。」
「え…」
「ミカエラと関係ないわけでもないですが興味のないところでそういうお話があるんです。」

 私、自分で余計なことをしたかもしれない。彼は何を考えているかわからないけれど、溜息をつきそうだから余計なことをしている。多分。面倒ごと回避のためにしたことが別の面倒ごとを呼び込む…やってしまった。
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