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4話
4話 ④
ヒロコさんが見繕ったワンピースを手に、私は試着室に入る。カーテン越しに、ヒロコさんの怪訝そうな声が聞こえてきた。
「莉乃ちゃんはそんな男で良かったわけ?」
「……他に行くところがないですし」
「だからって、何でも男の言いなりになっちゃだめよ!」
「それに、【初対面】じゃないみたいなんです」
「何? どういうこと?」
私は先日、琴音さんと話していて思い出した【彼との出会い】について、ポツポツと話し始めた。二年前の出来事で、私はすっかり覚えていなかったことも。……しかし、ヒロコさんには何か心当たりがあったみたいだ。
「あ~……だからか」
「何がですか?」
ワンピースが決まり、私は鏡の前に座らされる。ヒロコさんはどこからか、化粧道具やカー、ヘアアイロンを持ってきた。
「いや、昔の加州さんって、それこそ女癖がすごく悪くてね」
私の前髪をピンで留めて、ヒロコさんは私にメイクを施していく。私は目を閉じて、その話を聞いていた。
「とっかえひっかえと言うより、日替わりって感じで毎日連れて歩く女の子が違くて、組の人もいつになったら落ち着くのかってヒヤヒヤしていたくらいなのよ」
「は、はぁ……」
「それが、ある日を境にピタッとやめちゃったの。女遊び……それが、二年前。きっと、莉乃ちゃんに出会って、加州さんも変わったのね」
「そうなんでしょうか……?」
「あら? 加州さんから直接話聞いてないの?」
私が頷くと、ヒロコさんは盛大なため息をついた。
「全く。あの人、大事な話はしないところあるからね~」
「でも、今日こそちゃんと話をしようと思ってて」
加州さんは、あの時から私の事を知っていたのか。
どうして、私の事を【自分のモノ】にしようとしたのか。
なぜ……私を助けてくれたのか。
疑問は山積みだ。ヒロコさんはクスクスと笑っている。
「とびきり美人にして、加州さん骨抜きにしちゃいましょ! そうしたら、口が軽くなるかも」
***
ヘアメイクが終わった頃、加州さんが戻ってきた。以前見た頃のある真っ黒なスーツではなく、胸元にハンカチが入った、少しオシャレなスーツに着替えている。
「あら、加州さんもばっちり決めてきたのね」
「それなりにドレスコードがあるからな。……莉乃も、綺麗になったな」
「当たり前でしょ! 誰が全身コーディネートしたと思ってるのよ!」
私が着ているのは、デコルテと腕のあたりがレースで少し透けていて、体の線に沿うようなアイボリーのワンピース。ラメでキラキラした化粧を施され、髪は緩く巻かれてハーフアップになっている。アクセサリーも靴も、全身全てヒロコさんが見繕ってくれたもの。加州さんはヒロコさんにクレジットカードを渡して、あっさりと会計を済ませる。値段は見ていないけれど……きっと高価なものに違いない。私は萎縮するばっかりだ。
「世話になったな」
「はいはい。莉乃ちゃん、また遊びに来てね~」
「あの、ありがとうございました!」
加州さんは腕を差し出す。私がきょとんと見上げていると、背後からヒロコさんがやって来て、私の手を加州さんの腕に回した。
「行ってらっしゃい! デート、楽しんできてね!」
「莉乃ちゃんはそんな男で良かったわけ?」
「……他に行くところがないですし」
「だからって、何でも男の言いなりになっちゃだめよ!」
「それに、【初対面】じゃないみたいなんです」
「何? どういうこと?」
私は先日、琴音さんと話していて思い出した【彼との出会い】について、ポツポツと話し始めた。二年前の出来事で、私はすっかり覚えていなかったことも。……しかし、ヒロコさんには何か心当たりがあったみたいだ。
「あ~……だからか」
「何がですか?」
ワンピースが決まり、私は鏡の前に座らされる。ヒロコさんはどこからか、化粧道具やカー、ヘアアイロンを持ってきた。
「いや、昔の加州さんって、それこそ女癖がすごく悪くてね」
私の前髪をピンで留めて、ヒロコさんは私にメイクを施していく。私は目を閉じて、その話を聞いていた。
「とっかえひっかえと言うより、日替わりって感じで毎日連れて歩く女の子が違くて、組の人もいつになったら落ち着くのかってヒヤヒヤしていたくらいなのよ」
「は、はぁ……」
「それが、ある日を境にピタッとやめちゃったの。女遊び……それが、二年前。きっと、莉乃ちゃんに出会って、加州さんも変わったのね」
「そうなんでしょうか……?」
「あら? 加州さんから直接話聞いてないの?」
私が頷くと、ヒロコさんは盛大なため息をついた。
「全く。あの人、大事な話はしないところあるからね~」
「でも、今日こそちゃんと話をしようと思ってて」
加州さんは、あの時から私の事を知っていたのか。
どうして、私の事を【自分のモノ】にしようとしたのか。
なぜ……私を助けてくれたのか。
疑問は山積みだ。ヒロコさんはクスクスと笑っている。
「とびきり美人にして、加州さん骨抜きにしちゃいましょ! そうしたら、口が軽くなるかも」
***
ヘアメイクが終わった頃、加州さんが戻ってきた。以前見た頃のある真っ黒なスーツではなく、胸元にハンカチが入った、少しオシャレなスーツに着替えている。
「あら、加州さんもばっちり決めてきたのね」
「それなりにドレスコードがあるからな。……莉乃も、綺麗になったな」
「当たり前でしょ! 誰が全身コーディネートしたと思ってるのよ!」
私が着ているのは、デコルテと腕のあたりがレースで少し透けていて、体の線に沿うようなアイボリーのワンピース。ラメでキラキラした化粧を施され、髪は緩く巻かれてハーフアップになっている。アクセサリーも靴も、全身全てヒロコさんが見繕ってくれたもの。加州さんはヒロコさんにクレジットカードを渡して、あっさりと会計を済ませる。値段は見ていないけれど……きっと高価なものに違いない。私は萎縮するばっかりだ。
「世話になったな」
「はいはい。莉乃ちゃん、また遊びに来てね~」
「あの、ありがとうございました!」
加州さんは腕を差し出す。私がきょとんと見上げていると、背後からヒロコさんがやって来て、私の手を加州さんの腕に回した。
「行ってらっしゃい! デート、楽しんできてね!」
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