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第一章

2階層目

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 俺がデモンを倒すとドーナ達がこちらに駆け寄ってきた。

「お兄さん!!」

 真っ先にたどり着いたのはシアだった。ランが肩からさげていたバックから、ピョーンと飛び出して胸の中へと飛び込んできた。

「窮屈な思いをさせてごめんな。」

「ううん!!全然大丈夫!!」

 飛び込んできたシアの頭を撫でていると、ドーナ達もこちらへとやってきた。

「デビル相手に魔法なしで勝つかい。」

「まぁ、ただの肉の鎧だったし。それにあんまり知能は高くなかったからな、冷静に対処すれば魔法がなくても大丈夫だった。」

 何事も冷静に対処すれば、活路はいくらでも見えてくるものだ。

「さてさて、下へ続く階段もそこにあるし、この階層はこれで終わりみたいだな。」

 デモンと戦っている最中に、下へと続く階段があるのを見つけていた。

「あ、そういえばこれもドロップしたんだ。」

 みんなにドロップしたデモンの宝玉を見せると、ドーナとランの二人が吸い付くように宝玉に魅入っていた。

「キレイね、ホントに宝石みたい。」

「デモンの宝玉なんて取り込んだら、それこそ凄まじいことになりそうだねぇ。」

「あぁ、だからこれはいったんしまっておくことにする。」

 ランからバッグを受け取り宝玉をしまう。後でこいつの使い道は考えよう。少なくとも今使うべき時じゃない。

「さ、次の階層へ行こうか。」

 シアと手を繋ぎみんなで次の階層へ向かった。ドーナとランが恨めしそうな目で見てきたが、シアを危険な目に会わせるわけにはいかないから。ここは我慢してもらおう。







 1つ階層を下ると目の前に広がっていたのは巨大な森林だった。目の前に広がっている光景を見て思わず言葉が漏れてしまう。

「何でもありだな。このダンジョンってやつは。」

「アタイもここから先は入ったことがないから、くれぐれも気を付けるんだよ?」

「あぁ、わかった。」

 ドーナも来たことがない未開の地……か。さっきの階はデモンがいただけだったが、今度はそうもいかないだろう。気を引き締めていこう。

 再び気持ちを引き締めていると、シアが俺の腕を抱きしめピタッとくっついてきた。

「シアもお兄さんから離れない!!」

「ちょ、ちょっとシアずるいわよ!!」

「そ、そうだよ!!」

 俺の腕にぴったりとくっつくシアを見て、二人が羨み始めた。

「二人だって昨日俺にくっついてたじゃないか?」

「「それは寝てるときだけでしょ!!」」

 俺が二人に突っ込みを入れると、二人同時に激しく反論をしてきた。

「じゃあ、どっちかシアを傷1つ付けずに守りきれる自信はあるか?」

 反論されたままでは面白くないので、少し意地の悪い質問を投げ掛けると……。

「うっ、流石にちょっと自信ないわね。」

「護衛ってのはアタイもちょっとねぇ。」

「だろ?だから我慢してくれ。」

 少し意地悪だったかな。だがまぁ、何とかわかってくれたみたいで助かった。二人がわかってくれたことに安堵しつつ、目の前に広がる森へと歩みを進めた。
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