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第一章
トレジャータートルの宝箱
しおりを挟むシアのためにアイツから宝箱をいただくとしよう。トレジャータートルに近づこうとするとドーナが言った。
「ヒイラギ、トレジャータートルは臆病な魔物だ。近づくとすぐ殻に籠ろうとするから気を付けるんだよ。」
「了解した。」
シアを二人に預け、俺は砂浜を蹴りトレジャータートルの前に立つ。すると危険を察知したトレジャータートルは、甲羅の中へと頭を引っ込めようとする。
「そうはさせないぞ。」
首を引っ込める前に首根っこを押さえつけた。そして……。
「震凱。」
トレジャータートルの頭をおもいっきり手で揺らした。この技自体は殺傷能力は低いが、脳を揺らすことにより人為的に脳震盪を起こす技だ。
そして脳震盪が起こると、相手を気絶させることが可能だ。人も獣も同じくな。
当然ながらトレジャータートルは、脳震盪が起こったせいで口から泡を吹いて地に伏した。こうなると一時間は起きないだろう。
「よし、それじゃあ宝箱開けようか。」
起きてくる前に早く宝箱を開けてしまおう。幸い、よく見ればこのトレジャータートルの背中には三つ分の宝箱が引っ付いている。これならドーナ達も喧嘩せずに開けれそうだ。
「シアこれがいい!!」
さっそくシアは三つの中の一つの宝箱にしがみついている。
「そうか、じゃあ開けてくれ。」
「うん、よい……しょっ!!」
ガパッという音とともに宝箱が開き中からアイテムが出てきた。中から出てきたのは……。
「これなに~?」
「一見ブレスレットみたいだが……。」
まぁわからないときは鑑定だな。
「鑑定。」
偽装の腕輪
・装備している者の存在を、任意のものに偽装することができる。
「ほぅほぅ……なるほどな、シアそれを着けて人間をイメージしてみてくれ。」
「うん、わかった。」
シアが目をつぶり考えるような素振りをすると、猫耳と尻尾が徐々に透明になり最終的には見えなくなった。
「あら!?シアの耳と尻尾が無くなったわ。」
「偽装系のアイテムか。確かにシアには都合がいいねぇ。」
「えっ!?シア、人間さんになっちゃった!?」
シアもさっきまで自分の耳と尻尾のあった場所を触ってビックリしている。
「外せばもとに戻ると思うぞ?」
シアが腕輪を外すと、可愛い猫耳と尻尾がポンっと出てきた。個人的には、こっちの方がかわいいと思う。だが、人間の国で生活するには必須のアイテムだ。
「シア、それは外にでるときに使おう。普段から着けてると違和感があるだろ?」
「うん!!そうする~。」
シアはコクリと一つ頷くと腕輪を外して、パーカーのポケットにいれていた。
「さて、次はどっちが開けるんだ?」
「ワタシたちは同時でもいいんじゃないかしら?」
「ちょうどあと二つあるしねぇ。」
そう、まだトレジャータートルの背中には二つ宝箱が残っている。争奪戦にならなくてホントによかった。
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