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第ニ章
シュベールのギルドへ
しおりを挟む二人の女神から昨今の状況を聞き終えた俺は、差し出されたお茶を飲み干して席を立ちあがった。
「さて、そろそろ俺は戻るとするよ。」
「わかりました。どうか現世ではお気をつけて。」
「あぁ、ありがとう。」
「また、いつでも来ていいからね。私たちはいつでもここに居るから。」
次の瞬間視界が暗転し、目を開くとそこは教会だった。祈りをささげていた体勢から立ち上がると、みんなが待っている外へ向かった。
「すまない、待たせたな。」
「あっ!!お兄さんお帰りっ!!」
「あら、もういいの?」
「さっき入ったばっかだと思ったけどねぇ。」
「あぁ、お祈りはちゃんと済ませてきたよ。」
ホントは二人の女神とお茶会しながら近況報告等々していたんだが、言っても信じられないだろう。
「さて、まだ陽は高いけど……みんなどこか行きたい場所は無いか?」
そう問いかけると、ドーナが手を挙げた。
「それなら一回冒険者ギルドに行ってもいいかい?古い知り合いがいてね、せっかくだから顔見せておきたいんだ。」
「それだったら、冒険者ギルドに行こうか。」
教会を後にして冒険者ギルドに向かった。シュベールでも冒険者ギルドはすぐにわかった。相変わらずドでかい看板が出ているからな。
ドーナに続いて中へ入るとやはり少し酒臭い。ギルドってのはどこも大して治安には変わりないらしい。にしても、このギルドはかなり冒険者が多いな。酒場のほうはほぼ満員状態だ。
そんな冒険者たちをかき分け、ドーナは受け付けに行き受付嬢と話している。すると受付嬢がパタパタと走って2階にかけ上がっていった。
「今アタイが来たって伝えに行ってくれたよ。」
「そうか、ちなみにその知り合いとはどんな関係だったんだ?」
「昔一緒にパーティー組んでたことがあってねぇ、その縁さ。」
なるほど、そういうことか。ドーナは元白金級の冒険者だったらしいし、誰かと一緒に冒険者稼業をやっていたとしてもおかしくない。
そんな話をしていると受付嬢が降りてきた。
「すみません、お待たせしました!!2階のギルド長室へどうぞ!!」
「それじゃあ行こうかね。」
ドーナが2階に上がっていくのを見ていると……。
「何してるんだい?一緒にこないのかい?」
「俺達が一緒に行ってもいいのか?」
「むしろ紹介したいから、一緒に来てくれると助かるんだけどねぇ。」
「そうか、それじゃ二人とも一緒に行こう。」
「うん!!」
ドーナの後をついていきギルド長室へと向かった。そして、ドーナがドアをノックする。
「どうぞ入って?」
「邪魔するよ。」
彼女の後に続き中へ入ると、中にいたのはスラリと伸びた金色の髪を後ろでポニーテールにしている女性だった。
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