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第ニ章
シアと膝枕
しおりを挟むギルドを後にした俺たちは、再び北の関所を抜け湖の近くの林へと足を運んでいた。何でここに来たのかというと、ここにある広い空間にハウスキットを展開するためだ。
「よいしょっと。」
マジックバッグからハウスキットを取り出して地面に置くと、すぐにハウスキットは大きくなった。
「よし、みんな入っていいぞ~。」
「わ~い!!」
真っ先にシアがグレイスのことを抱えてハウスキットの中へと入っていく。そのあとに続いてドーナとランの二人も入っていった。
最後に俺が中に入ると、みんなはソファーに深く腰掛けて、大きく息を吐き出していた。
どうやら多少なりとも疲労は溜まっているらしい。今日はたくさん歩いたからな。
俺はみんなに飲み物を差し出した。シアとグレイスはオレンジジュース、ドーナとランの二人はコーラ、俺はコーヒーだ。
一先ず夕飯時までゆっくり過ごしていよう。
熱いコーヒーを一口飲むと、今日の疲れがどっと肩にのしかかってくる。それはみんなも同じだったようで、シアなんかはべた~っと体をテーブルの上に乗せてしまっていた。
「ふにゃぁ~……。」
「シアちゃんお疲れっすね。」
「うん、いっぱい歩いたから疲れちゃった。」
「大人のワタシでも少し疲れちゃってるのに、子供のシアなら尚更よね。」
「間違いないな。夕飯までまだ少し時間あるし、少し昼寝してもいいんだぞ?」
「うん~、お兄さんのお膝借りてもいい?」
「俺の膝?もっと柔らかい枕はちゃんとあるぞ?」
「お兄さんのお膝がいいの~。」
「う~ん、そんなに寝心地がいいとは思えないが……そうしたいならいいぞ。」
「えへへありがと~!!」
そしてシアはものすごい勢いでジュースを飲み干すと、俺の太ももの上に頭を乗せ横になった。それから少しすると、すぅすぅと安らかな寝息を立て始めた。
「シアにはまだ旅は少し早かったかな。」
「そういえば、しれっとヒイラギはシアと一緒にいたけど…どこで保護したんだい?」
「エミル樹林に迷い込んでたみたいなんだ。」
「エミル樹林で……獣人族の国からはかなり距離的には離れてるはず。そんな距離を子供が歩いてこれるとは思えないんだよねぇ。」
「まぁ、その辺はシアが話したくなったら話してくれればいいさ。」
シア自身、獣人族の国ではいい思いをしていなかったらしいからな。受けた心の傷が俺たちと一緒に旅をして少しでも癒されればいいんだが……。
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