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第ニ章
ジュエルサーモン
しおりを挟む市場を少し歩き、魚屋の店主に教えてもらった店の前に着いた。そこは市場という雰囲気とはかけ離れた、高級感漂う外観のお店だった。
「見るからに高級店……って感じだねぇ。」
「遠目でも存在感があったが、近くに来てみると尚更だな。」
沢山の人がこの店の前を通るが、チラリと視線を送るだけで誰一人入ろうとはしていない。
「とりあえず入ってみるか。」
店の中に入ると、すぐに整った執事服を来た人が接客に来た。
「いらっしゃいませ。本日は何をお探しですか?」
「ジュエルサーモンという魚を買いたいんだが。」
「なるほど、失礼を承知で伺わせて頂きますがお客様……本日はどのくらいの持ち合わせがございますか?」
失礼を承知で事前にどのぐらいお金を所持しているか聞いてくる辺り、ジュエルサーモンとやらがどれだけの高級魚なのかがうかがえる。
「一応これぐらいあるんだが足りないか?」
白金貨がたくさん入った袋を執事服の店員に見せると、彼は大きく頷いた。
「ありがとうございます。それではどうぞこちらへ。」
どうやらジュエルサーモンを買うのには金額が足りているようで、店の奥へと案内され巨大な水槽の前に連れていかれた。
「こちらで泳いでいるのが今朝獲れたジュエルサーモンになります。」
水槽の中を泳いでいるその魚はとても美しく。鱗に光が当たるとまるで宝石のように輝いていた。
「これがジュエルサーモンか。」
なんという幻想的な美しさだろうか……。観賞用としても申し分ないほどだ。正直食べるのがもったいなく感じてしまうな。
ジュエルサーモンを眺めながら、俺は気になる値段の方を問いかけた。
「ちなみに一匹いくらなんだ?」
「一匹あたり金貨50枚となっておりました。」
おおぅふ……に、日本円で約50万ほどか。魚一匹の単価としてはとてつもなく高い。
だが、幸いにも持ち合わせはある。
金額に内心驚きながらも、俺は店員へと向かって指を4本立てた。
「4本もらおうか。」
「かしこまりました。」
「ちなみに、それを俺が選ぶことって……できる?」
「構いません。」
「それじゃあ、あれと…………。」
俺の指さしたジュエルサーモンが水槽の上から大きな網で掬われ、すぐに運ばれてきた。
それを、一匹一匹間近でしっかりと確認すると一つ頷いた。
「うん、これでいい。」
「かしこまりました。それでは白金貨2枚になります。」
袋から白金貨を2枚取り出して執事服の店員へと渡す。
「確かに受けとりました。それでは包装して参りますので少々お待ち下さい。」
さてさて、今夜の夕食は決まったな。
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