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第ニ章
2種のムニエル
しおりを挟む早速二種類のムニエルを口にしたシア達は口々に言った。
「こっちの赤いお魚すっごく美味しい!!」
「最高っす~!!」
がむしゃらに食べているシア達の隣で、ゆっくり味わうように食べていたラン達に問いかける。
「どうだ?」
「正直、同じ料理とは思えないわ……。作り手が違うだけでこんなに料理って変わるのね。」
「街で食べたやつも十分美味しかったけど、このソースがあるお陰で魚が何倍も美味しくなってる気がするよ。」
「それは良かった。」
二人が美味しく食べてくれて一安心だ。
……っと、そういえばイリスがさっきから何も喋っていないが、どうなってるかな。
ふと疑問に思ってイリスの方に視線を向けるとそこには……。
「はむッ、もぐもぐ……もぐもぐ…………。」
シアとグレイス以上に一心不乱に料理を食べているイリスの姿があった。
(ず、随分気に入ったのかな……。)
そんなイリスの一幕に驚きながらも、俺はジュエルサーモンの白子のカプレーゼを食べることにした。
一般的にカプレーゼは、モッツァレラチーズとトマト、バジルで作られる。だが、チーズの部分を鮮度のいい魚の白子でやってもとても美味しいのだ。
意外と知られていない通な食べ方ではあるが、俺はこれが大好きなんだ。
早速トマトと白子をフォークにさして、一緒に口へと運んだ。
すると、白子の濃厚でクリーミーな味わいが口いっぱいに広がった。後味もトマトが酸味でスッキリさせてくれて、とても美味しい。
ゆっくりと白子のカプレーゼを味わった後、ロックのウイスキーを少し口へ含んだ。
うん、美味しい……とても落ち着くいい香りだ。そして時折メープルシロップのような甘い香りが顔を出す。
ウイスキーも堪能すると、思わず口から幸せに満ちたため息がこぼれた。
「はぁ……美味い。」
すると、ウイスキーを飲むこちらの様子を窺っていた、ランとイリスも真似をしてカプレーゼを食べてから梅酒を飲んだ。
「これ美味しっ……なんだか体がポカポカするみたい。」
「一部の神の間では、禁忌とされていたお酒の味……はぁ~、たまりませんね。」
お酒の経験がない二人だったが、どうやら気に入ってくれたらしい。
そして美味しい料理にお酒も入り、普段以上に会話の弾む夕食の時間になったのだった。
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