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第三章

ドーナ達との約束

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 朝食を食べ終えた俺達は、いよいよ獣人族が戦っているであろう前線に行くことにした。陽が昇っているうちに着くことができればいいがな。

「みんな準備はいいか?」

「シアはいつでも大丈夫!!」

「ワタシも大丈夫よ~。」

「アタイも準備完了さ。」

「多分あっちに着いたら嫌でも戦闘になる。最悪の場合は乱戦になる可能性もあるだろう。だからこれだけは約束してほしい。もし危ないと思ったら絶対に逃げてくれ、お願いだ。」

 出発する前にみんなと一つだけ約束しておく。この先何が起こるかはわからない。俺が勝てないような相手が出てこないとも限らないのだ。
 そんな相手が出てきてしまったら、みんなを守りながら戦うのは不可能だ。この約束にはそんなときは自分の身の安全を最優先してほしいという気持ちを込めている。

 そう提示した約束に対しドーナとランの二人は頷いた。

「わかったわ、約束する。」

「アタイも約束するよ。」

「ありがとう、安心したよ。できるだけみんなのことを守るようには務めるが、その約束だけは心の内に入れておいてくれ。」

 そう二人と約束を交わしていると、まだ小さい体でいるグレイスが不安そうな面持ちで俺の肩に飛んできてとまった。

「安心しろグレイスだって大切な仲間だ。絶対守ってやる。」

「お、お願いするっすー!!」

 肩にとまったグレイスが頭をぐりぐりとこすりつけてくる。当然ながら体を覆っているのは鱗なのでとてもザラザラしている。

「ちょっとグレイス!!何ヒイラギにくっついてるのよ!!」

「げっ!?ば、バレちゃったっす!?」

 俺にすり寄ってきたグレイスに、ランが詰めよってくる。

「離れなさいよ~!!」

「いたいいたいっす~!!引っ張んないでほしいっす~!!」

 ランは肩に引っ付いているグレイスを引っ張り、引きはがしにかかる。それに抵抗しているグレイスの足の爪が食い込んできている。

 やっとグレイスを引きはがしたランは、ガシッとグレイスの頭をつかみ片手に持って席を立つ。

「さぁ行きましょ?早くいかないと陽が暮れちゃうわ。」

「あぁそうだな、さぁみんな行こう。」

 そしていよいよ、獣人族たちに会うために出発するのだった。
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