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第三章

宴会

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 ベルグの案内のもと宴会会場へと料理を運んだ。手際のよいことに既に会場は設営が完了しており、テーブルや椅子までもが用意されていた。

 ベルグの部下達は既に着席していて、1つだけ大きなテーブルが余っていた。恐らくあそこが俺たちの席だろう。

「おう、お前達ご苦労だった!!さぁメシだぞ!!」

 ベルグが会場全体に響く声で言うと、そこかしこで歓声が上がった。

 そして皆で手分けして各テーブルに料理を置いていく。見たことのない料理をまじまじと眺める者もいれば、料理の香りに刺激され腹の虫が鳴る者、はたまたヨダレが溢れそうになり食べるのを今か今かと待ち望む者等々、彼らは様々な反応を見せてくれた。

 ようやっと全てのテーブルに料理を配膳し終えると、ベルグが再び声を上げた。

「よっしゃあ!!お前らぁメシは行き渡ったな!?」

「「「「「オォォォォーー!!」」」」」

「わかってると思うがこのメシは我らの恩人のヒイラギが作ってくれた!!感謝しながら食べろよ!!」

「「「「「オォォォォーー!!」」」」」

 ベルグの声の後に続き拍手や、歓声が辺りに響く。

 ベルグはこちらをチラッとみて何か話すか?といった意味合いのアイコンタクトをとって来た。特に話すこともないので首を横に振る。

「それじゃあお前らぁ!!戦いの終結を祝って、宴会開始だあぁぁぁぁ!!」

 その言葉を合図に獣人族達は一斉に料理にむらがった。我慢という鎖が外れ、大量の料理を口に入れ8日ぶりの食事に皆舌鼓をうっているようだ。

「おうおう!!がっついてやがるな。」

 普段と同じ味付けで美味しいと思ってくれるか不安だったが、彼らが食べているところを見るに美味しく食べているようだ。

「さて、俺達も食べようか。ベルグも腹減ってるんだろ」

「ガハハ!!違いねぇ。」

「それじゃあさっそく……。」

「「「いただきます!!」」」

 いつもの食前のあいさつとともに食べ始める。

「それじゃオレも遠慮なく食わせてもらうぜ。」

 ベルグは豪快にピカタを何枚かフォークでさし、口へ放り込むと驚愕した。

「う、うめえぇ!!」

 ベルグを繋いでいた我慢の鎖もブツンとちぎれ、すごいスピードで次々に料理を口へ運んでいった。

「さ、みんなも食べないと俺達が食べる分もベルグにとられちゃうぞ?」 

 ベルグのそんな姿にあっけにとられていた皆にそう言った途端に、ハッとなったのかいそいそと皆も料理を取り、口へ運んでいた。

 宴会はまだまだ始まったばかりだ。
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