8 / 249
第一章 転生そして成長
第6話 メタモルフォーゼ②
しおりを挟む
ミノタウロス(?)が再び光に包まれたかと思うと、その光が一気に弾け、その中から今度はルアの姿が現れた。
「はぁ、はぁ……あっ……え?ぼ、ボク……何を…………。」
頻りに自分の体と辺りの状況をキョロキョロと見渡すルア。どうやら自分が何になり、何をしていたのか……まったく覚えていないらしい。
そんな彼に、レトが歩み寄った。
「うふふっ、ボクちゃん……かっこよかったわよ?あ~んなにムキムキなオーガを一瞬で倒しちゃったんだもの~。」
きゃっきゃっとはしゃぎながら、レトがルアに言った。
「ボクが……オーガを倒し……た?」
「そうよ~?ボクちゃんが倒したの。変身してね。」
訳がわからずに混乱するルアに、レトは順を追って話し始めた。
「私がボクちゃんに与えた能力は、あらゆる種類の♂に変身する能力なの。」
ここで初めて……レトが御褒美と称して与えた能力が明らかになった。
「使い方はさっき教えた通り、なりたいものの事をよ~く頭で思い浮かべて、メタモルフォーゼって唱えるだけ……簡単でしょ?」
「なりたいものを思い浮かべて……メタモルフォーゼ……。」
再びなにかを思い浮かべて、ポツリとメタモルフォーゼと口にしたルアだったが、一向に変身する気配がない。
「あ、あれ?」
「残念だけど~、メタモルフォーゼは短時間に何回も使える物じゃないわ。その証拠に……今とっても疲れてるでしょ?」
「うん……。」
図星だった。ルアはミノタウロスから戻った直後から、えもいわれぬ倦怠感に襲われていたのだ。
「時間をおけばまた変身できるようになるわ。お楽しみはまたそのときにとっておきなさい?」
しゃがんで、ポンポン……とレトはルアの頭を撫でながら、まるで母親のように言った。
そんな時…………
「んに~、あいたたた…………。」
オーガに吹き飛ばされて気絶していたクロロが、瓦礫の中からむくりと体を起こした。
「あら、クロロちゃんがお目覚めね。本当はもっとボクちゃんと一緒にいたかったけど~……今回はここでお別れね。」
レトはスッと立ち上がると、ルアに向かって手を振りながら別れを告げた。
「それじゃ、またね~ボクちゃん?また今度ゆ~っくりお話しましょ?うふふふっ♪」
「あっ!!ちょっとまっ…………あぁっ、行っちゃった。」
ルアが呼び止めようとしたが、それよりも先にレトはルアの前から姿を消した。
まだまだ聞きたいことがあったのに……と、ルアがガックリと肩を落としていると……。
「ハッ!?ルアちゃん!?」
クロロがルアの姿を見つけると、彼女はもといたところから一瞬でルアのもとに駆けつけ、彼の体を何度も何度も触り始めた。
「ルアちゃん大丈夫っ!?怪我してない!?」
「あ、う、うん……大丈夫。」
「それなら良かった……。ルアちゃんに何かあったら由良さんに殺されちゃうところだったよ。」
ホッと胸を撫で下ろしたのも束の間、クロロはまたハッとした表情を浮かべて辺りを見渡し始めた。
「ハッ!?そういえばオーガはっ!?」
ルアを自分の背中に隠すようにして、短刀を構えながら辺りを警戒するクロロ。そんな彼女におずおずとルアは言った。
「あ、あの……オーガ、ボク倒しちゃったみたいです……。」
「はにゃっ!?ルアちゃんが!?オーガをっ!?」
「う、うん……ほらあそこ……。」
そう言ってルアが指差した先には大木の根本でぐったりとしているオーガの姿があった。
それを目の当たりにしたクロロはあんぐりと口を開けて固まった。
「…………!!ま、マジ?」
オーガの生死を確認するために、クロロは恐る恐る近付き、短刀でつついてみるが何の反応もない。
「ほ、ホントにルアちゃんがやった?」
クロロの問いかけにルアはコクりと頷く。
そしてクロロは少し考えるような素振りを見せたが、次の瞬間にはケロリとした表情を浮かべた。
「ん~まぁいっか!!ルアちゃんが無事ならそれで全部オッケー!!」
そう割り切った彼女にルアは問いかけた。
「く、クロロさんは大丈夫……なの?オーガにその……吹き飛ばされてたけど……。」
「私?全然大丈夫だよ~?ちょっと頭打って飛んでただけ。心配ご無用~っ!!」
「ならいいんだけど……。」
元気にそう答えた彼女に、ルアはホッと胸を撫で下ろす。
「にししし~♪それよりもルアちゃ~ん。今日はボーナスいっぱい貰えるぞ~?なんせオーガ倒しちゃったからね~。ゴブリンもいっぱい倒したし……。」
にんまりと笑みを浮かべながら、クロロはルアの肩に腕を乗せた。
「さ~っ!!剥ぎ取り剥ぎ取り~っ、オーガの素材はお金になるからね~。ルアちゃんも手伝って?」
「あ、は、はいっ!!」
そして、二人はオーガを解体して町へと戻るのだった。
「はぁ、はぁ……あっ……え?ぼ、ボク……何を…………。」
頻りに自分の体と辺りの状況をキョロキョロと見渡すルア。どうやら自分が何になり、何をしていたのか……まったく覚えていないらしい。
そんな彼に、レトが歩み寄った。
「うふふっ、ボクちゃん……かっこよかったわよ?あ~んなにムキムキなオーガを一瞬で倒しちゃったんだもの~。」
きゃっきゃっとはしゃぎながら、レトがルアに言った。
「ボクが……オーガを倒し……た?」
「そうよ~?ボクちゃんが倒したの。変身してね。」
訳がわからずに混乱するルアに、レトは順を追って話し始めた。
「私がボクちゃんに与えた能力は、あらゆる種類の♂に変身する能力なの。」
ここで初めて……レトが御褒美と称して与えた能力が明らかになった。
「使い方はさっき教えた通り、なりたいものの事をよ~く頭で思い浮かべて、メタモルフォーゼって唱えるだけ……簡単でしょ?」
「なりたいものを思い浮かべて……メタモルフォーゼ……。」
再びなにかを思い浮かべて、ポツリとメタモルフォーゼと口にしたルアだったが、一向に変身する気配がない。
「あ、あれ?」
「残念だけど~、メタモルフォーゼは短時間に何回も使える物じゃないわ。その証拠に……今とっても疲れてるでしょ?」
「うん……。」
図星だった。ルアはミノタウロスから戻った直後から、えもいわれぬ倦怠感に襲われていたのだ。
「時間をおけばまた変身できるようになるわ。お楽しみはまたそのときにとっておきなさい?」
しゃがんで、ポンポン……とレトはルアの頭を撫でながら、まるで母親のように言った。
そんな時…………
「んに~、あいたたた…………。」
オーガに吹き飛ばされて気絶していたクロロが、瓦礫の中からむくりと体を起こした。
「あら、クロロちゃんがお目覚めね。本当はもっとボクちゃんと一緒にいたかったけど~……今回はここでお別れね。」
レトはスッと立ち上がると、ルアに向かって手を振りながら別れを告げた。
「それじゃ、またね~ボクちゃん?また今度ゆ~っくりお話しましょ?うふふふっ♪」
「あっ!!ちょっとまっ…………あぁっ、行っちゃった。」
ルアが呼び止めようとしたが、それよりも先にレトはルアの前から姿を消した。
まだまだ聞きたいことがあったのに……と、ルアがガックリと肩を落としていると……。
「ハッ!?ルアちゃん!?」
クロロがルアの姿を見つけると、彼女はもといたところから一瞬でルアのもとに駆けつけ、彼の体を何度も何度も触り始めた。
「ルアちゃん大丈夫っ!?怪我してない!?」
「あ、う、うん……大丈夫。」
「それなら良かった……。ルアちゃんに何かあったら由良さんに殺されちゃうところだったよ。」
ホッと胸を撫で下ろしたのも束の間、クロロはまたハッとした表情を浮かべて辺りを見渡し始めた。
「ハッ!?そういえばオーガはっ!?」
ルアを自分の背中に隠すようにして、短刀を構えながら辺りを警戒するクロロ。そんな彼女におずおずとルアは言った。
「あ、あの……オーガ、ボク倒しちゃったみたいです……。」
「はにゃっ!?ルアちゃんが!?オーガをっ!?」
「う、うん……ほらあそこ……。」
そう言ってルアが指差した先には大木の根本でぐったりとしているオーガの姿があった。
それを目の当たりにしたクロロはあんぐりと口を開けて固まった。
「…………!!ま、マジ?」
オーガの生死を確認するために、クロロは恐る恐る近付き、短刀でつついてみるが何の反応もない。
「ほ、ホントにルアちゃんがやった?」
クロロの問いかけにルアはコクりと頷く。
そしてクロロは少し考えるような素振りを見せたが、次の瞬間にはケロリとした表情を浮かべた。
「ん~まぁいっか!!ルアちゃんが無事ならそれで全部オッケー!!」
そう割り切った彼女にルアは問いかけた。
「く、クロロさんは大丈夫……なの?オーガにその……吹き飛ばされてたけど……。」
「私?全然大丈夫だよ~?ちょっと頭打って飛んでただけ。心配ご無用~っ!!」
「ならいいんだけど……。」
元気にそう答えた彼女に、ルアはホッと胸を撫で下ろす。
「にししし~♪それよりもルアちゃ~ん。今日はボーナスいっぱい貰えるぞ~?なんせオーガ倒しちゃったからね~。ゴブリンもいっぱい倒したし……。」
にんまりと笑みを浮かべながら、クロロはルアの肩に腕を乗せた。
「さ~っ!!剥ぎ取り剥ぎ取り~っ、オーガの素材はお金になるからね~。ルアちゃんも手伝って?」
「あ、は、はいっ!!」
そして、二人はオーガを解体して町へと戻るのだった。
0
あなたにおすすめの小説
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる