もんむすッ!めたもるふぉ~ぜ☆~世界に♂はボク一人!?~

しゃむしぇる

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第一章 転生そして成長

第33話 女王との邂逅

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「ルアや~、入るのじゃ~。」

 コンコンと部屋の扉がノックされると、扉の向こうから由良の声が聞こえてくる。
 そして由良が中に足を踏み入れると、ベッドの上でルアは絶賛ヒーリングスライムの心のヒーリングを受けている最中だった。

「なっ……なななっ!!何をしておるのじゃお主はっ!!」

「あっ、はじめまして~私ヒーリングスライムのトリトニーと言います~。」

 ルアの耳の中で体の一部をくちゅくちゅと動かしながらも、トリトニーはおっとりとした口調で由良に自己紹介をする。

「この子の心に少し異常を見つけましたので~、ヒーリングを施しているところなんです~。」

「ひ、ヒーリングじゃと!?それならば回復魔法をかければ一発じゃろう?」

「ダメですよ~、体の傷は回復魔法で治せても、心は治せません。だからこうやって~……えいえいっ!」

「うぁっ!!」

 少し激しく耳のなかで体の一部を動かすと、ルアの体がビクンと大きく跳ねる。

「ってお耳の中をお掃除して~、気持ちよ~くなってもらってるんです。」

「うむむむ……。」

 そこに、ロレットが部屋の中へと入ってきた。すると、トリトニーの姿を見て満足そうに腕を組んで頷いた。

「うむ、トリトニーのおもてなしをしっかりと受けてもらっているようだな。」

「あっ、女王様~。トリトニーはしっ~かりと働いてますよ~。」

「うむ、耳を弄っている……ということは外傷は一切無かったようだな?」

「はい~、なので少し心のヒーリングをしてました~。……んしょ、はいこれでおしまいで~す。」

 ズルッとトリトニーはルアの耳の中から体の一部を引き抜いた。そして拘束していたルアを解放し、自身は人の形に戻っていく。

「むぅ……ルアや大丈夫かの?」

「う、うん……気持ち良くて、溶けちゃうかと思ったけど……なんとか大丈夫。」

「ふふふっ、良かったら由良さんもいかがですか~?」

「い、いやっ!!わしは遠慮しておくのじゃ。」

「残念です~、それでは私はこれにて失礼いたしま~す。」

「うむ、ご苦労だったトリトニー。」

 役目を終えたトリトニーは部屋から退出する。そして部屋の中には、ルアと由良、ロレットの三人が残った。

「さて、込み入った話をする前に軽く自己紹介をさせてもらおうか。」

 そう言ってロレットはルアのベッドの横にある椅子に腰かけた。

「我の名はロレット、この国の女王だ。」

「じょ、女王様!?」

「ルア、君のことは由良から聞いている。……オスらしいな?」

 ロレットは自分でもちゃんと確認をして、ルアがオスであるという確信を持っていたのだが、あえて問いかけた。

「は、はい。」

「うむ、君が嘘をつくような人じゃなくて安心した。さて確認もとれたことだ、そろそろ本題に入ろう。今回襲来した天使は一体……我と由良が現場に駆けつけたときには既にその姿はなかった。君は天使がどうなったか……知っているか?」

 ロレットの問いかけにルアはコクリと頷くと、その事について話し始めた。

「天使は封印?しました。」

「なるほど、良くわかった。ならばひとまずは安心……と言ったところか。」

「ひとまずは……じゃがな。根本的なところを解決せねば、これからも奴らは襲ってくるやもしれん。」

「うむ、それはわかっている。」

 由良とロレットの会話にルアは少し着いていけていないが、二人は続けて話す。

「由良が危惧しているのは、内通者の存在だろう?」

「うむ、逆に内通者が居なければ……ルアが標的にされることはまずありえん筈なのじゃ。」

「となれば、ルアがオスであると知っている人物に絞られるが……話ではそれは一握りしかいないのだろう?」

「うむ、それに……天使はどうやらオスの気配を敏感に感じ取れるらしいからの。必ずしもルアのことを知っている者とも考えにくい。」

 由良は今まで読み漁った数々の天使に関する記述の中で、天使はオスの気配を敏感に感じ取れるということを知っていた。

「ふむ……そうなると国全土のどこかで我々に擬態している天使がいるかもしれないということになるな。」

 思わずロレットは頭を抱えた。それもそのはずで、国全土に住む魔物娘や獣人達の中から天使を見つけ出すことは限りなく不可能に近いのだ。

「まぁ、そう難しく考えるでない。逆に考えるのじゃ。」

「逆に……だと?」

「うむ、もう内通者にルアのことが知られて天使どもに情報が行っておるのなら……こちらは万全の態勢で待ち構えてやれば良い。」

「ふふ、簡単に言ってくれるな。第一、この国の中で天使に対抗できる術を持っている者が何人いるというのだ?」

「まずここにおるじゃろ?」

 くつくつと笑いながら由良はルアの頭にポンと手を置いた。
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