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第一章 転生そして成長
第62話 10割にするために
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大狸の真琴と協力関係を結ぶことができた一行は、また今度会うことを約束しロレットの城へと帰還した。そして何とか酔いから醒めたロレットに現状を報告する。
「ま、そういうわけで何とか大狸の真琴はこちらに協力してくれるらしいぞ。」
「それは良かった。我も本当は真琴とやらの姿を拝みたかったのだが……。」
「後で山から下りてくると言っておったし、そのうち会えるじゃろ。」
真琴は今はある理由があって山を下りることができないらしいが、後々合流すると言っていた。そのある理由というのは話してくれなかったが、彼女は曲がりなりにも大霊山の狸たちを束ねる存在だ。それなりに事情があるのだろう。
「ふむ、まぁその時を楽しみにしておこう。……それで?次はどうするのだ?」
「次は夜の街に向かうのじゃ。」
「ほう?」
夜の街というワードに、ロレットは何かに気が付いたようにぴくんと反応する。
「さては、原初の吸血鬼の噂を確かめに行くのだな?」
「その通りじゃ。」
ロレットは夜の街に住んでいるという原初の吸血鬼の噂をしっていた。そのことにルアの頭の上でくつろいでいた東雲が興味深そうに口を開く。
「原初の吸血鬼とやらはそこまで噂になっているのか?」
「うむ、一部の間では有名だ。夜の街を裏で支配していると言われる原初の吸血鬼で、滅多に人前には姿を現さないらしい。だが、彼女に関する噂は数多ある。その中で最も有名なのが、夜の街に数多く襲来した天使をほとんど彼女一人で倒したという噂だ。」
「ほぉ!!それは面白そうな噂話だ。……だが、仮にその噂が本当ならば……オスが消えることはなかったのではないか?」
「それに関しては我も詳しくはわからない。あくまでもそういう噂が立っているだけのことだからな。」
どうやらロレットも詳しく原初の吸血鬼に関して知っているわけでは無さそうだ。
「でも、そんなに強い人だったら……凄い頼もしいですね。」
「あぁ、それだけの強者ならば……妾と力を合わせれば名付きの天使も倒せるやもしれん。」
期待に満ちた表情を浮かべるルア達だったが、その中で一人だけ由良だけが、少し不安そうな表情でルアのことを見つめていた。
「そういえば……夜の国ってどこにあるんですか?」
「夜の国はここからだと……南にある小さな砂漠の中心にあるオアシスの地下にある。地下にあるから陽が昇らない夜の国だ。」
「ふぇ~……地下にあるって、なんかドワーフファクトリアに似てますね。」
「そうだな。だが、住んでいる住人が違う。夜の国に住んでいるのは、サキュバスや吸血鬼などといった夜に活発に活動する種族だ。」
「サキュバスって…………。」
ロレットの口からサキュバスという言葉を聞いたとき、ルアの脳裏に、ふとあの時書店で出会ったリリルのことが思い浮かんだ。
そんなルアの考えを見通したように由良が言った。
「そう、サキュバスじゃ。それも普通の町に住んでおるような温厚な者ではない。年中発情しておる者も夜の国には住んでおる。故に……じゃ。」
ピトッ……と由良は人差し指をルアの唇に当てた。
「♂の匂いが強くなるメタモルフォーゼは夜の国では禁止、もしくはルア、お主は着いてきてはならん。」
ルアにそう告げた由良に、くつくつと笑いながら東雲が口を開く。
「くくくくく、妾がついておる故問題ないと言っただろう?由良、お前は少し過保護すぎるぞ?」
「お言葉ですが東雲様、ルアはわしらの宝……万が一にも危険な目には遭わせられないのですじゃ!!」
「ほぅ?それは妾の力を信じていないということか?由良よ……。」
じろりと東雲は由良を睨み付ける。しかし、それに怯まず由良は言った。
「いくら東雲様と言えど、万が一……億が一、過ちを犯す可能性があります。仮に東雲様は名付きの天使が襲ってきてもルアを守りきる自信がおありですかっ!!」
「…………くくく、なるほどな。由良よ、お前の言うことは一理ある。流石に名付きの天使に襲われては妾もルアを守りきる自信はない。だが、たかが淫魔ごときであれば九割九分九厘……ルアを守れるだろう。もしこの可能性に満足いかぬのであれば、残りの一厘はお前達が埋めよ。」
東雲はピョンとルアの頭から飛び降りると、由良とロレットの目の前に歩み寄った。
「残りの一厘も埋められぬほど、お前達は弱くはない……だろう?」
「もちろんですじゃ!!」
「当たり前だ。」
煽るようにして言った東雲に、二人は声を合わせてそう答えた。
自信満々にそう即答した二人に東雲は一人満足そうに笑うのだった。
「ま、そういうわけで何とか大狸の真琴はこちらに協力してくれるらしいぞ。」
「それは良かった。我も本当は真琴とやらの姿を拝みたかったのだが……。」
「後で山から下りてくると言っておったし、そのうち会えるじゃろ。」
真琴は今はある理由があって山を下りることができないらしいが、後々合流すると言っていた。そのある理由というのは話してくれなかったが、彼女は曲がりなりにも大霊山の狸たちを束ねる存在だ。それなりに事情があるのだろう。
「ふむ、まぁその時を楽しみにしておこう。……それで?次はどうするのだ?」
「次は夜の街に向かうのじゃ。」
「ほう?」
夜の街というワードに、ロレットは何かに気が付いたようにぴくんと反応する。
「さては、原初の吸血鬼の噂を確かめに行くのだな?」
「その通りじゃ。」
ロレットは夜の街に住んでいるという原初の吸血鬼の噂をしっていた。そのことにルアの頭の上でくつろいでいた東雲が興味深そうに口を開く。
「原初の吸血鬼とやらはそこまで噂になっているのか?」
「うむ、一部の間では有名だ。夜の街を裏で支配していると言われる原初の吸血鬼で、滅多に人前には姿を現さないらしい。だが、彼女に関する噂は数多ある。その中で最も有名なのが、夜の街に数多く襲来した天使をほとんど彼女一人で倒したという噂だ。」
「ほぉ!!それは面白そうな噂話だ。……だが、仮にその噂が本当ならば……オスが消えることはなかったのではないか?」
「それに関しては我も詳しくはわからない。あくまでもそういう噂が立っているだけのことだからな。」
どうやらロレットも詳しく原初の吸血鬼に関して知っているわけでは無さそうだ。
「でも、そんなに強い人だったら……凄い頼もしいですね。」
「あぁ、それだけの強者ならば……妾と力を合わせれば名付きの天使も倒せるやもしれん。」
期待に満ちた表情を浮かべるルア達だったが、その中で一人だけ由良だけが、少し不安そうな表情でルアのことを見つめていた。
「そういえば……夜の国ってどこにあるんですか?」
「夜の国はここからだと……南にある小さな砂漠の中心にあるオアシスの地下にある。地下にあるから陽が昇らない夜の国だ。」
「ふぇ~……地下にあるって、なんかドワーフファクトリアに似てますね。」
「そうだな。だが、住んでいる住人が違う。夜の国に住んでいるのは、サキュバスや吸血鬼などといった夜に活発に活動する種族だ。」
「サキュバスって…………。」
ロレットの口からサキュバスという言葉を聞いたとき、ルアの脳裏に、ふとあの時書店で出会ったリリルのことが思い浮かんだ。
そんなルアの考えを見通したように由良が言った。
「そう、サキュバスじゃ。それも普通の町に住んでおるような温厚な者ではない。年中発情しておる者も夜の国には住んでおる。故に……じゃ。」
ピトッ……と由良は人差し指をルアの唇に当てた。
「♂の匂いが強くなるメタモルフォーゼは夜の国では禁止、もしくはルア、お主は着いてきてはならん。」
ルアにそう告げた由良に、くつくつと笑いながら東雲が口を開く。
「くくくくく、妾がついておる故問題ないと言っただろう?由良、お前は少し過保護すぎるぞ?」
「お言葉ですが東雲様、ルアはわしらの宝……万が一にも危険な目には遭わせられないのですじゃ!!」
「ほぅ?それは妾の力を信じていないということか?由良よ……。」
じろりと東雲は由良を睨み付ける。しかし、それに怯まず由良は言った。
「いくら東雲様と言えど、万が一……億が一、過ちを犯す可能性があります。仮に東雲様は名付きの天使が襲ってきてもルアを守りきる自信がおありですかっ!!」
「…………くくく、なるほどな。由良よ、お前の言うことは一理ある。流石に名付きの天使に襲われては妾もルアを守りきる自信はない。だが、たかが淫魔ごときであれば九割九分九厘……ルアを守れるだろう。もしこの可能性に満足いかぬのであれば、残りの一厘はお前達が埋めよ。」
東雲はピョンとルアの頭から飛び降りると、由良とロレットの目の前に歩み寄った。
「残りの一厘も埋められぬほど、お前達は弱くはない……だろう?」
「もちろんですじゃ!!」
「当たり前だ。」
煽るようにして言った東雲に、二人は声を合わせてそう答えた。
自信満々にそう即答した二人に東雲は一人満足そうに笑うのだった。
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