もんむすッ!めたもるふぉ~ぜ☆~世界に♂はボク一人!?~

しゃむしぇる

文字の大きさ
70 / 249
第一章 転生そして成長

第67話 出発前の一悶着

しおりを挟む
 そして翌日の朝……朝食を食べ終えたルアたちは砂漠へと向かうため準備を進めていた。

「まずは水に、耐熱服に防寒具……万が一のための食料に金。」

 ロレットは次々に大きなバッグに水や食料といったものを詰め込んでいく。そしてバッグがパンパンになるほど荷物を詰め込むと、それを由良に手渡した。

「由良、これを仕舞っておいてくれないか?」

「うむ、承ったのじゃ。」

 由良は魔法で空間に穴をあけると、その中にパンパンになったバッグを放り投げ、穴を閉じた。

 由良が使ったのは空間魔法で、今ある空間に穴をあけ、その中に物を保管しておくことができる魔法だ。聞けば便利な魔法だが、その扱いは難しくこの世界でも扱える者は由良を含めても両手で数えられるぐらいらしい。

 由良が仙孤となる前は、それほど大きなものは入れられなかったらしいが、仙孤へなってからは大きく魔力量が増えたため別空間に入れられる物の量も増えた。

「これで全部かの?」

「うむ、これだけあれば砂漠でいかに天候が悪くなったとしても、問題なくオアシスを目指せるだろう。」

 そう話す二人にルアはあることを問いかけた。

「今回っていつもみたいに移動魔法で飛んでいかないの?」

「あいにくわしも、ロレットも砂漠の向こうには行ったことがないのじゃ。」

「移動魔法は一度行った場所にしか行けないのだ。故に今回は少し面倒だが自分の足で歩いていかねばならんのだ。」

「なるほど……。でも砂漠を歩いて行かないといけないってなんだかすごく大変そうな気がします。」

「もちろん大変な道のりになるぞ?規模が小さいとはいえ砂漠は砂漠だ。日中は焦げるような日が照り付け、夜は一転凍えるような寒さが一帯を覆う。そんな過酷な地帯だ。」

 ロレットの説明にルアは表情を青くした。

「ぼ、ボク……その道のりを乗り切れる気がしないんですけど……。」

 そう不安そうに言ったルアに、頭の上に乗っている東雲が勇気づけるように言った。

「まぁ、そう不安に駆られるでない。妾もついていることだし、何よりロレットがしっかりと準備を整えたのだろう?」

「うむ、万事抜かりない。」

 そう確認を取った東雲に、胸を張りながらロレットは言った。

 のだが……

「一つだけ問題点を挙げるとするならば、♂用の耐熱服と防寒着がなかったことぐらいだ。」

「それ一番問題なんですけどっ!?」

「ま、まぁまぁ、そうあわてるなルア。なかったとは言ったが、買っていないとは言ってないだろう?」

 顔から一つ冷や汗を流すロレットにルアは詰め寄った。

「…………どんなのを買ったんですか。見せてください。」

「い、いやぁ……それは砂漠についたときのお楽しみにしておいたほうが良いのでは……。」

 ルアに詰め寄られたロレットはどんどん顔色が悪くなっていく。

「ダメです。見せてもらいます……お母さん、さっきのバッグもう一回出して?」

「良いぞ?ほれ…………。」

「なっ……由良ちょっと待つのだ!!」

 由良はあっさりと先程仕舞ったバッグを出してみせた。それにロレットは慌てふためくが、そんなことは無視してルアはごそごそとバッグの中を漁り始めた。

 そして中で驚愕の物を発見する。

「…………ロレットさん。」

「な、なな、なんだ?」

「もしかしてですけど……これをボクに着せるつもりじゃないですよね?」

 そう言ってルアが広げてみせたのは、なんともアラビアンな雰囲気が漂う服だった。それだけだったら良かったのだが……問題は別にあった。

「これ、すっ………………ごいっ!!露出が多いんですけど!?」

 ルアが指摘したのは、その服の露出の多さだった。大事な部分こそ隠れているものの、それ以外がほとんど露出していた。

「仕方がないだろう!?砂漠の暑さをしのぐ為には通気性が良い服が必要だったのだ!!」

「だからってこれはないですよねッ!?」

「我だって同じようなのを着るのだ我慢しろ。」

「いやいやいやいや!!圧倒的にボクのより、ロレットさんの着るやつのが露出少ないですよね!?そんなボクのやつ腰にそんな長いヒラヒラ付いてないですよ!?」

「……気のせいだ。」

 必死にルアと視線を合わせないようにしてロレットは苦し紛れにそう言った。

 そんな二人の終わりそうにないやり取りを終わらせるために、ルアの頭の上から眺めていた東雲が口を開いた。

「ルアよ、我が儘はその辺にしておくのだな。だいたい、♂がいなくなったこの世界で♂用の服を求める方が考えが間違っている。」

「うぅぅ~……確かにそうですけど~っ。」

 東雲の正論にルアは何も言い返せない。何せ言い返す言葉が見つからなかったからだ。

「こんなところで時間を食っている暇はない。砂漠に着く前に着こなして、その服装に慣れておけば良い。」

 ポン!!と東雲が前足を拍手するように合わせると、ルアの服が一瞬にして問題の服に変わってしまった。

「~~~っ!?」

「ふむ、なかなか似合うではないか。」

「ぶふっ!!眼…………福じゃぁ…………。」

 鼻血を吹いてゆっくりと倒れる由良は、倒れる直前にロレットの方に向かってグッジョブと言わんばかりに親指を立てていた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

処理中です...