もんむすッ!めたもるふぉ~ぜ☆~世界に♂はボク一人!?~

しゃむしぇる

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第一章 転生そして成長

第72話 クイーンサキュバス

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 ララに案内されながら夜の国を歩いていると、そこに住んでいる人達が、いったいどんな生活をしているのか見えてきた。

 主にこの国に住んでいるのはサキュバス等の主に淫魔……と呼ばれる種族が大半だった。
 それによって、夜の国の風にはサキュバス達の発する甘い香りが常に含まれており、夜の国のどこにいても彼女達の甘い香りが鼻を離れない。

 ルアがララの後ろをついていっていると、ふと道端に立っていたサキュバスに優しく腕を掴まれた。

「わわっ!?」

「ウフフ、可愛いお嬢ちゃん?こっちでお姉さんと遊ばない?た~っぷり可愛がってあげるわよ?」

「あわわわ…………。」

 突然誘惑してきたサキュバスにルアが戸惑っていると……。

 案内人のララがルアとサキュバスの間に割って入った。

「あ~、ごめんなさいねぇ~。このお客様達はロザリィ様の所に連れてかないといけないんです。」

「……!!あら、そうだったの……それじゃあ仕方ないわねぇ~。」

 ロザリィという名を聞いた瞬間に、あっさりとサキュバスはルアのことを手放した。

「お姉さんはここでお店開いてるから、良かったら帰りに寄ってね♥️」

 サキュバスはそうルアに向かって投げキッスをすると、彼に名刺を手渡してきた。

 その名刺には、「あなたに極上の快楽を……ストレスドレイン。」と書いてあった。

 どういう意味なのかわからずにいると、案内人のララがルアの手をとった。

「さぁ、行きますよ~?迷子にならないように気をつけてくださいねぇ~?」

「は、はい。」

 そして一行はまた歩き始めた。それからというものの、道行く先で出会うサキュバス達は、ルアたちに羨ましそうな視線を向けるものの声をかけてくることはなくなった。

 道すがら、ルアの頭の上に居座っている東雲がララにあることを問いかけた。

「おい、先程ロザリィとやらと言っていたが……それは何者だ?」

「ロザリィ様はこの国を治めているクイーンサキュバスです。原初の吸血鬼様と繋がりがあるのは唯一ロザリィ様だけなんですよ。」

「ほぅ?そんな者のもとへと妾達は向かっているというわけか。」

「そうです。でも、ロザリィ様は多忙ですから……最初に言った通り会ってくれるかはわかりませんよ?」

「それでも良い。会えぬのなら無理矢理にでも探しだすだけだからな。くくくくく……。」

 そう東雲が笑ったその時だった。

「その必要はありませんよ。」

「「「「……!!」」」」

 人気のない通りでどこからか声が響く。そして目の前の道に黒い染みができたかと思うと、そこから一人の女性が姿を現した。

 その女性は一見サキュバスのように見えるが、明らかに今まで通りすがってきたサキュバス達とは雰囲気が違う。

 そしてララはその女性が現れると、彼女に向かって膝をついた。

「ご苦労様ララ。ここから先は私が案内するから、貴女は業務に戻りなさい。」

「はっ!!」

 その女性がララに向かってそう言うと、ララはルア達の前から姿を消した。

 そして彼女はルア達の方に歩み寄ると自己紹介を始めた。

「初めまして、私はクイーンサキュバスのロザリィです。」

「ほぅ?お前があやつの言っていたロザリィか。原初の吸血鬼と繋がりがあるというのは真か?」

「えぇ、なにせ私が貴女方を迎えに来たのは、あの御方がお呼びだからなのです。」

 ロザリィが放った言葉に一同は驚きを隠せなかった。

「さぁ……どうぞこちらへ。あの御方が既にお待ちです……。」

 驚きを隠せずにいた一行にクルリと背を向けると、ロザリィは歩きだした。彼女の数歩後ろを歩きながら、小声でロレットは東雲に話しかける。

「…………本当に大丈夫か?」

「さぁな。だが、向こうがこちらに会うつもりなのならば……断る理由はあるまい。」

「それにしても、本当に原初の吸血鬼とやらが存在しておったとは……正直驚きですじゃ。」

 そう口々にロレット達は話していた。

 そんな中、東雲は先程からルアの足取りがふらふらと覚束ないことを気にしていた。

「おい、ルア……気分でも優れないのか?」

「あぅぁ……頭がくらくらする…………。」

 先程からロザリィが現れてからというものの、ルアは辺りを漂う濃厚な甘い香りに魅了されつつあった。

 ロザリィはクイーンサキュバスということもあり、♂を誘惑するために体から放つ魅了の香りも、他のサキュバス達とは段違いに濃いのだ。

「ちぃっ……流石にクイーンサキュバスと言ったところか。誘惑の香りが他の者とは段違いらしいな。」

 既に魅了状態になりつつあるルアの頭を、東雲が魔力を込めた前足でポンポンと叩いた。

 すると、ルアの鼻にこびりついていた甘ったるい香りが一気に消え去った。
 それと同時にルアは正気を取り戻す。

「はっ…………。」

「大事ないか?」

「は、はい……大丈夫です。」

「♂のお前にはこの匂いはキツいだろうが……多少楽になるように魔法をかけてやった。これでしばらくは問題ないだろう。」

「あ、ありがとうございます。」

 前を歩くロザリィは一際魅了に陥りやすいルアのことを、少し疑問に思いながら歩いていた。
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