もんむすッ!めたもるふぉ~ぜ☆~世界に♂はボク一人!?~

しゃむしぇる

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第一章 転生そして成長

第87話 新たな仲間

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 東雲に喰ってかかるように言ったクロロに由良は、一つ溜息をこぼしながらある言葉を口にした。

「はぁ、クロロ……お主もか。」

「えっ?私も~ってどういうことです?」

「実はさっき訪ねてきたエナも役に立ちたいと、東雲様に弟子入りを申し出たのじゃ。」

「えぇっ!?」

 時はさかのぼること、ルアがギルドを訪れていたころ……。由良が帰ってきたという噂を聞いたエナが由良の家を訪ねてきていた。

 そして必然的に彼女もまた東雲と出会い、今由良達が何をしようとしているのかを実際にその耳で聞き、協力を申し出ていたのだ。

「え、じゃ、じゃあエナちゃんは…………。」

「くくくくく、あやつはもうすでに妾がある場所に移動させた。」

「ある場所?」

「一言でいうのならば……過酷な場所だ。兎に角な。」

 首を傾げたクロロに、不気味に笑いながら東雲は言った。

「過酷な場所って……ホントに大丈夫なんですかッ!?」

「修行にはうってつけの場所だぞ?魔法を扱う魔物や、知性が高い魔物、そして狡猾な魔物……等々様々な魔物が蔓延る場所だ。」

「そ、そんな危険な場所にエナちゃんを!?」

「あの程度の場所を生き残れぬようならば戦力にならん。天使に相対したとて、一瞬で消されてお終いだ。だが、仮に……あやつがあの場所で力を覚醒させたのなら、話は変わってくる。」

 不安そうな表情を浮かべながらも、クロロは東雲の言葉に首を傾げた。

 すると東雲は、ある事柄について話し始めた。

「本来妾達のような魔物娘というのは、普通に生きていれば魔力や身体能力を実際の3割ほどしか発揮できずに一生を終える。だが、中には妾のように妖狐から仙狐へと進化をし、己の中にある力を全て活用することができるようになる。その現象を妾はと呼んでいる。」

 東雲の説明を静かに息をのみながら聞いているクロロ達。

「覚醒の条件は種族によって様々だ。例えば妾のように進化すれば覚醒する種族、窮地に陥りそこを脱したときに覚醒する種族。はたまた、他人の力を吸収し己の力とすることで覚醒する種族。このように覚醒の条件は挙げればきりがないほど無数にある。」

「じゃ、じゃあなんでエナちゃんを……その魔物がたくさんいる場所に?覚醒の条件なんてわかんないんですよね?」

「ふむ、そうだな……理由か。」

 クロロの質問に少し考えるような仕草を見せた東雲、そして少し間をおいてから、彼女は呆気からんとした表情でクロロに言った。

だな。」

「勘っ!?」

 あまりに予想外だったのかクロロは声を裏返らせる。

「そ、そんな曖昧な理由でエナちゃんを行かせちゃったんですか!?」

「まぁそう。」

「んぐっ!?」

 東雲に向かって喚いていたクロロだったが、東雲が発した言霊によって一瞬にして口を塞がれてしまう。

「あくまでも妾の経験則だが……あぁいうタイプは窮地に追い込まれれば追い込まれるほど覚醒しやすい。」

 口を閉じられたクロロに、淡々と東雲は語る。

「なにも何の根拠も無しに送ったのではない。そんな愚行は妾はせぬ。」

 ポンポン……と東雲が前足を合わせるようにして叩くと、クロロの口を塞いでいた言霊の効果が切れる。

「それよりも……だ。他人の心配事をするよりもお前は自分のことを考えろ。」

「そ、そんなこと言われても……心配なものは心配で…………。」

「第一、お前に心配されるほどあやつは弱くはない。妾からすればお前の方が心配だがな。」

 ピョンと東雲はクロロの頭の上に飛び乗ると、彼女の頭をポンポンと叩きながら言った。

「良いか?ハッキリ言ってお前には魔法の才能は。」

「うぅ……そ、そんなにハッキリ言わなくても…………。」

 ハッキリと東雲に魔法の才能が無いことを指摘され、若干落ち込むクロロ。

「だが、幸いにもお前には猫人の王家の血が流れている。生粋の狩人として名を馳せていた王の血がな。」

「……………。」

「第二婦人の子供だろうが、なんだろうが関係ない。天使に対抗したくば、内に眠るその血を目覚めさせろ。その手助けはしてやる。」

 クロロの頭の上で東雲は言った。

 そして若干暗い雰囲気を漂わせるクロロに、ため息混じりに東雲は続けて言った。

「はぁ……お前は自分の身分をあまり良くは思っていないようだが、天使と戦うのに身分なんぞは関係ない。必要なのはのみだ。わかったらその暗い面を上げて前を向け。」

 ピョンと東雲はクロロの頭の上から飛び降りると、彼女の前で座った。

 そしてクロロが顔をあげると、鼻先に東雲の前足が当たった。

「ふん、少しはマシな顔になったか。」

 少し明るくなったクロロの表情を見て東雲はポツリとそう呟く。

「えへへ、東雲さん案外優しいんですね。」

 前足を押し付けてきた東雲に、ニコリと笑いながらクロロがそう言うと、東雲は表情を隠すようにプイッとそっぽを向いた。

「優しいのは今日のみだ。明日からの修練では妾は鬼だと思え。」

 そうそっぽを向いてクロロに言った東雲の顔は少しだけ赤くなっていた。
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