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第一章 転生そして成長
第89話 放たれた刺客
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妨害者として真琴が参戦したことなど、クロロは知るよしもなく、辺りの気配を探りながら森の中を歩いていた。
「……あちこちから魔物の気配がする。倒せないぐらい強い訳じゃないけど、けっこう多いかも?」
人並外れた察知能力でクロロは魔物に自分の姿を見せないように動いていた。
そんな時…………
ドーーーンッ…………。
「っ!!」
遠くの方で大きな衝突音が鳴り響く、それに驚いた野鳥達が一斉に羽ばたいた。
クロロは音のした方向をじっと見つめるとポツリと呟いた。
「あっちは確か……女王様が向かった方、魔物と戦闘中?それとも東雲さんのことを見付けたのかな。」
前者の場合、音がした方向に近付くのは危険だ。だが、もし……仮に後者の場合、あちらの方へ近付かなければならない。
今クロロは選択を迫られていた。
そして思わず歩みを止めていると、視界の端にチラリと白く揺れる何かが映った。
「っ!!あれはもしかしてっ。」
クロロは一瞬視界に映ったそれを追いかけるように駆け出した。そして茂みを抜けると、その先には白い狐……つまり東雲がクロロの方を向いてくつくつと笑っていた。
「おや、こんなに早く見つかってしまったか。」
「見つかりに来た……の間違いじゃないですか?」
クロロの問いかけに、東雲はニヤリと笑う。
「くくくくく、それよりも……良いのか?ここに足を踏み入れて。」
ポンポンと東雲は今いる地面を叩いて見せた。その動作にクロロはハッとした表情を浮かべた。
「~~~っ……そういうこと、ですか。」
クロロは東雲のことを見かけた瞬間……辺りの気配を探るのを忘れてしまっていた。そして、彼女は今……魔物の巣のど真ん中にいる。
茂みのあちこちからクロロは自分に向けられる視線を敏感に感じ取っていた。
「さぁ……どう切り抜ける?妾はここで見物させてもらうとしよう。」
ピョンと高く東雲は飛び上がると高い木の枝に跳び移った。
「くっ……。」
クロロは腰に差していた二対の短刀を引き抜いて構える。それと同時に、茂みに隠れていた魔物が一斉にクロロへと襲いかかった。
「ふ~…………ッ!!」
クロロは足に魔力を集中させると、大きく真上に跳躍する。そして、上空から手にしていた短刀を二本とも魔物に向けて投げつけた。
放たれた短刀は正確に魔物の脳天に向かって降り注ぐ。短刀が直撃する刹那、柄尻の部分にクロロの靴底が押し当てられ、魔物の脳天を深く短刀が貫いた。
「ふ……ンッ!!」
クロロは魔物の頭に突き刺さった短刀を持つと、刺さっていた魔物を、別の魔物へと放り投げる。
そして魔物をぶつけてよろめいた他の魔物を次々と短刀で屠っていく。
その様を上から見下ろしていた東雲はクスリと笑いながらクロロに聞こえないような小声で呟く。
「センスはあるんやねぇ~。まぁ、この程度の魔物相手じゃらちあかんかったか。」
そう東雲の口から発せられた言葉は独特の訛りがあり、普段の東雲の言葉遣いではないようだった。
そしてあっさりと全ての魔物を倒しきったクロロは、キッ……と東雲のことを睨み付ける。
「次は……東雲さんですッ!!」
足に魔力を込めると、クロロは一気に東雲へと向かって飛びかかる。すると、なんともあっさり……東雲はクロロに捕まってしまった。
「捕まえましたよ…………ってあれっ!?」
確かに先程までクロロは東雲のことを両手で捕まえていたのだが、今クロロの手には大きな葉っぱのみが握られていた。
そしてその葉っぱにはこんな文字が書いてあった。
『ハズレ』
「~~~っ。」
葉っぱに大きく書かれたハズレという文字を見て、クロロはガックリと肩を落とした。
「ですよね~…………。こんな簡単に捕まるわけないですよね。……はぁ。」
一瞬でも喜んだ自分がバカらしくなったクロロは大きなため息を吐き出した。
しかし、ペチンと自分の頬を叩くと彼女は顔を上げて前を見つめた。
「諦めるもんか……絶対捕まえてやるっ!!」
「ほぉ?気を落とすかと思えば、奮起したか。」
「んにゃっ!?」
前を向き、歩きだそうとしたクロロだったが……突然後ろから声をかけられ思わず変な声が出てしまった。
そしてクロロが後ろを振り返るとそこには、ニヤニヤとさぞかし面白そうに笑う東雲の姿があった。
「くくくくく、どうした?狐につままれたような間抜けな顔をしているぞ?」
「~~~ッ!!どこまでもバカにして……このッ!!」
「おっと、危ない危ない……くくくくく。」
クロロが伸ばした手をあっさりと避け、翻るようにして後ろに東雲は下がる。
諦めずにクロロがもう一度手を伸ばそうとしたその時だった。
ふと、彼女は前をあたまに重みを感じた。それと同時に頭上から声が聞こえてくる。
「お前は何を戯れているのだ?」
「え……え?」
思わず困惑するクロロだったが、頭の上から聞こえてくる声は東雲の声に間違いない。
頭の上にいた東雲はピョンと飛ぶと、クロロの目の前に飛び降りもう一人の東雲の横に並び立った。
「くくくくく…………。」
「くくくくく…………。」
「えぇっ!?そ、そんなのありですか!?」
東雲が二人いる……という目の前の現実に、思わずそう突っ込まざるをえなかったクロロだった。
「……あちこちから魔物の気配がする。倒せないぐらい強い訳じゃないけど、けっこう多いかも?」
人並外れた察知能力でクロロは魔物に自分の姿を見せないように動いていた。
そんな時…………
ドーーーンッ…………。
「っ!!」
遠くの方で大きな衝突音が鳴り響く、それに驚いた野鳥達が一斉に羽ばたいた。
クロロは音のした方向をじっと見つめるとポツリと呟いた。
「あっちは確か……女王様が向かった方、魔物と戦闘中?それとも東雲さんのことを見付けたのかな。」
前者の場合、音がした方向に近付くのは危険だ。だが、もし……仮に後者の場合、あちらの方へ近付かなければならない。
今クロロは選択を迫られていた。
そして思わず歩みを止めていると、視界の端にチラリと白く揺れる何かが映った。
「っ!!あれはもしかしてっ。」
クロロは一瞬視界に映ったそれを追いかけるように駆け出した。そして茂みを抜けると、その先には白い狐……つまり東雲がクロロの方を向いてくつくつと笑っていた。
「おや、こんなに早く見つかってしまったか。」
「見つかりに来た……の間違いじゃないですか?」
クロロの問いかけに、東雲はニヤリと笑う。
「くくくくく、それよりも……良いのか?ここに足を踏み入れて。」
ポンポンと東雲は今いる地面を叩いて見せた。その動作にクロロはハッとした表情を浮かべた。
「~~~っ……そういうこと、ですか。」
クロロは東雲のことを見かけた瞬間……辺りの気配を探るのを忘れてしまっていた。そして、彼女は今……魔物の巣のど真ん中にいる。
茂みのあちこちからクロロは自分に向けられる視線を敏感に感じ取っていた。
「さぁ……どう切り抜ける?妾はここで見物させてもらうとしよう。」
ピョンと高く東雲は飛び上がると高い木の枝に跳び移った。
「くっ……。」
クロロは腰に差していた二対の短刀を引き抜いて構える。それと同時に、茂みに隠れていた魔物が一斉にクロロへと襲いかかった。
「ふ~…………ッ!!」
クロロは足に魔力を集中させると、大きく真上に跳躍する。そして、上空から手にしていた短刀を二本とも魔物に向けて投げつけた。
放たれた短刀は正確に魔物の脳天に向かって降り注ぐ。短刀が直撃する刹那、柄尻の部分にクロロの靴底が押し当てられ、魔物の脳天を深く短刀が貫いた。
「ふ……ンッ!!」
クロロは魔物の頭に突き刺さった短刀を持つと、刺さっていた魔物を、別の魔物へと放り投げる。
そして魔物をぶつけてよろめいた他の魔物を次々と短刀で屠っていく。
その様を上から見下ろしていた東雲はクスリと笑いながらクロロに聞こえないような小声で呟く。
「センスはあるんやねぇ~。まぁ、この程度の魔物相手じゃらちあかんかったか。」
そう東雲の口から発せられた言葉は独特の訛りがあり、普段の東雲の言葉遣いではないようだった。
そしてあっさりと全ての魔物を倒しきったクロロは、キッ……と東雲のことを睨み付ける。
「次は……東雲さんですッ!!」
足に魔力を込めると、クロロは一気に東雲へと向かって飛びかかる。すると、なんともあっさり……東雲はクロロに捕まってしまった。
「捕まえましたよ…………ってあれっ!?」
確かに先程までクロロは東雲のことを両手で捕まえていたのだが、今クロロの手には大きな葉っぱのみが握られていた。
そしてその葉っぱにはこんな文字が書いてあった。
『ハズレ』
「~~~っ。」
葉っぱに大きく書かれたハズレという文字を見て、クロロはガックリと肩を落とした。
「ですよね~…………。こんな簡単に捕まるわけないですよね。……はぁ。」
一瞬でも喜んだ自分がバカらしくなったクロロは大きなため息を吐き出した。
しかし、ペチンと自分の頬を叩くと彼女は顔を上げて前を見つめた。
「諦めるもんか……絶対捕まえてやるっ!!」
「ほぉ?気を落とすかと思えば、奮起したか。」
「んにゃっ!?」
前を向き、歩きだそうとしたクロロだったが……突然後ろから声をかけられ思わず変な声が出てしまった。
そしてクロロが後ろを振り返るとそこには、ニヤニヤとさぞかし面白そうに笑う東雲の姿があった。
「くくくくく、どうした?狐につままれたような間抜けな顔をしているぞ?」
「~~~ッ!!どこまでもバカにして……このッ!!」
「おっと、危ない危ない……くくくくく。」
クロロが伸ばした手をあっさりと避け、翻るようにして後ろに東雲は下がる。
諦めずにクロロがもう一度手を伸ばそうとしたその時だった。
ふと、彼女は前をあたまに重みを感じた。それと同時に頭上から声が聞こえてくる。
「お前は何を戯れているのだ?」
「え……え?」
思わず困惑するクロロだったが、頭の上から聞こえてくる声は東雲の声に間違いない。
頭の上にいた東雲はピョンと飛ぶと、クロロの目の前に飛び降りもう一人の東雲の横に並び立った。
「くくくくく…………。」
「くくくくく…………。」
「えぇっ!?そ、そんなのありですか!?」
東雲が二人いる……という目の前の現実に、思わずそう突っ込まざるをえなかったクロロだった。
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