もんむすッ!めたもるふぉ~ぜ☆~世界に♂はボク一人!?~

しゃむしぇる

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第一章 転生そして成長

第95話 勝算

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 ミリアがつやっつやの肌色で満足そうに浴場から出てくると、入り口で東雲が待っていた。

「どうやらたっぷりルアから吸収したらしいな。」

「あはっ♪わかる?ひっさしぶりに♂から体液を摂取できたから肌がつやっつやになちゃったよ~。なんだか若返った気分?」

 明らかに肌がつやつやになったミリアの姿を見てルアに何があったのかを察した東雲。彼女はミリアにあることを問いかけた。

「血は吸っていないだろうな?」

「もちろん!!今回はそういうだったからね。でも、吸血をしなくてもこの力の漲りよう……やっぱりルア君は最高だったよ。」

 少し興奮気味にミリアは語る。しかしそんな彼女に東雲は冷静を保ちながら言った。

「そうか、だがこれで契約はしっかりと果たした。ルアから吸収した分働くのだぞ?」

「任せてよ……とは言ってもまぁあの子の覚醒はもうすぐだよ。」

「ほぅ?ということはずいぶん追い込んだようだな。」

 ミリアの報告に東雲は少しうれしそうにしながら問いかけた。

「まぁね~。生きるか死ぬか……ぎりっぎりのラインを攻めたから。」

「くくくくく、だが現在もあやつはあの場所で生き残っている……。」

「あぁ、その通りさ。今もほぼ無限に襲ってくる魔物と戦ってるはずだよ。」

 そして、ミリアは東雲のことをじっと見つめると、彼女に向かって言った。

「それにしても君もなかなかエグいことをするよね。あんなとこに覚醒してない子を送り込むなんてさ。」

「くくくくく、無限の森のことか。」

「無限の森はその名の通り、無限に魔物が湧いてくる森だ。しかも強い魔物のみが無限に湧いてくる。……普通の子なら足を踏み入れたらまず帰ってこれないよ。」

 二人が言う無限の森とは、この世界ではトップレベルに危険な森である。その場所は名にあるとおり、強い魔物が無限に、際限なく湧いてくる。 
 なぜ魔物が無限に湧いてくるのか……それは森の奥にある秘密があるためだ。

 東雲はそんな危険極まりない場所にエナのことを送り込んでいたのだ。

「だからこそ強さを求める者が行く価値がある。生半可な覚悟では生き抜けぬ場所であるからこそ、己が力の解放に繋がるのだ。」

 少し呆れたように言ったミリアに、東雲は独自の持論を説いた。

「君の言いたいことはわかるけどさ。ま、何はともあれ明日を楽しみにしてなよ。」

 ミリアは話を打ち切ると、クルリと東雲に背を向けた。

「じゃ、私は久しぶりに♂の体液を摂取して体が火照っちゃったから少し熱を冷ましてくるよ。」

 ミリアはそれだけ言うとどこかへと歩いていった。

 彼女の姿が見えなくなるまで東雲はミリアの後ろ姿をじっと見つめていたが、ミリアの姿が視界から消えると一つ息を吐き出した。

「ふん…………原初の吸血鬼の名は伊達ではないようだ。明らかに今朝よりも力を圧倒的に増している。あれでまだ完全でないのなら……名付きにも対抗できるやもしれんな。」

 原初の吸血鬼とあちこちで噂になっているミリアの実力が伊達ではないことを再確認した東雲は、名付きの天使に対して僅かに勝算があるということを実感していた。

「妾とミリア、真琴……才覚を現しつつある四つの金の卵。そして…………女神に気に入られた童であり、実力未知数のルア。くくくくく、なかなかどうして揃いつつあるではないか。」

 誰もいない廊下で一人東雲は笑う。

「さて、ミリアに搾り取られたルアはどうなっていることやら。」

 東雲は器用に前足で脱衣場への扉を開けると、その奥にある浴場へと足を踏み入れた。
 すると、マットの上でピクピクと体を震わせているルアの姿があった。
 どうやら意識はないようだ。

 東雲は彼のもとに歩み寄ると、ペチペチと前足で彼の頬を叩く。

「ほれ、起きろ。こんなところで寝ては風邪を引くぞ。」

「ひぅっ!?あ、あ…………?あ、あれし、東雲さん?」

「随分と丹念に体をねぶられたようだな。意識がない間も体をピクピクとひくつかせていたぞ?」

 ルアは起き上がると自分の体を眺めてみた。すると、体の至るところで汗ではないトロリとした液体がてらてらと艶やかに光っていた。

「くくくくく、汗をなめとられた代わりに唾液まみれにされたか。お前の体からは濃厚なメスの匂いがするぞ?」

「~~~ッ!!」

 東雲の言葉で、自分の体に付着した液体が何なのかを察したルアは急いでお湯で全身を流す。

 そして入念に体を洗った後に、東雲のことを睨み付けた。

「東雲さん、ボクのことミリアさんに売ったでしょ!!」

「すまぬなぁ、そうでもせんとあやつがミノタウロスの娘の面倒を見ないというのだ。」

「え、エナさんのことを?」

「うむ、まぁ……お前になにも言わなかったのは悪いとは思っている。が、あの娘の命がお前の汗で助かっていると思えば安いものではないか?」

「うぅぅぅ~……それはそうですけど~。」

 東雲の言葉にルアはなにも言い返せなかった。というのもあまりに東雲の言っていることが的を射ていたため、言い返す言葉がなかったのだ。

「つ、次からはちゃんと言ってくださいよ!!」

「くくくくく、善処しよう。」

「やっぱり悪気ないですよね!?」

 悪びれずにクスクスと笑う東雲に思わずルアは突っ込みを入れるのだった。
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