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第一章 転生そして成長
第96話 覚醒
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体の火照りを冷ます……と言ってミリアが出掛けたのはエナのもと、つまり無限の森だった。
「あはっ♪すごいねぇ……夜だから魔物の目が紅く光って一ヵ所に集まってるのがまる分かりだね。」
上空を飛ぶミリアからは、無限の森の様子がまる分かりだった。暗闇で紅く光る魔物の目がある場所を取り囲むように犇めいていたのだ。
「さて……どんな感じかな~。」
エナの様子を見るために彼女のいる場所に近付くと、魔物に揉まれているせいか、彼女の姿が見えない。エナはミノタウロス故に大柄なので魔物の中でもすぐに見つかるはずなのだが…………。
そんな不思議な気持ちをミリアが抱いていると、おそらくエナがいるであろう場所から、魔物の赤い瞳が一瞬にして大量に消えてなくなった。
それだけに留まらず、周りを取り囲んでいた魔物も一瞬にして消えてなくなった。
そして一瞬……無限の森に静寂が訪れた。
ミリアはある確信を抱きながら、エナのもとへと降り立った。そして目の前に立っていた彼女の姿を見てニヤリと笑う。
「あははははっ♪ひとまずおめでとう……って言っておこうかな?」
「……あ、ミリアさんかえったんじゃなかったんですかぁ~?」
「君の様子を見たくてね。それと……ちょっと火照っちゃったから、この火照りを冷ましに来たんだ。」
ミリアの言葉にエナも暗闇のなかでニヤリと笑った。
「それじゃあ……相手してくれるんですね~?」
「あぁ、もちろんだ。さぁ…………踊ろうか♪」
ミリアは鎌を構えてエナへと向かっていく。その表情はとても楽しそうだった。
◇
次の日……クロロは真琴に直接指導を受けることとなっていた。ロレットの城の中庭で二人は向かい合うと、真琴が先に口を開いた。
「ほな、まずは昨日あんさんがいけた第二の覚醒まで自分で呼び起こしや?」
「あの~……それってどうすれば良いんです?」
クロロは困惑した表情で真琴に問いかける。
「せやから昨日を思い出せばええんよ。あんさんを覚醒させるきっかけを思い出してみや?」
「………………。」
言われるがままクロロは昨日自分の身に起こった出来事を思い返してみた。そして散々真琴に煽られ、バカにされたことを思い出し少し感情が怒りに染まろうとしたとき変化が現れた。
「あ、できました。」
今クロロの視界は灰色に染まり、生物だけが紅くハイライトされている。
「あんじょ~いけたね。ほな次も。」
「次……次は確か………………。」
クロロはあの時真琴に殺されかけた瞬間を思い出す。今にも自分が殺されそうになった瞬間を思い出すのは、もう一度同じ体験をさせられているようで、あの時と同じようにクロロの背中を冷たいものが走り抜けた。
しかし、それと同時にドクン……と心臓が大きく脈打ち、全身の血流が一気に早くなったのが自分でもわかるようだ。
自身のその変化に驚いていると、不意に真琴が視界から消えた。そしてクロロは自分の首を、刈り取られるような鋭い殺気を感じとる。
「っ!!」
バチン!!
咄嗟にクロロが地面を蹴ると、あの時と同じ鞭打つような音が当たりに響いた。そして先ほどクロロがいた位置の真後ろに真琴が姿を現す。
「んふふふ、今度はちゃんと意識もあるみたいやねぇ。」
真琴の見つめる少し先で紅く目を光らせているクロロ。昨日はこの段階では意識を保っていることはできなかったが、今日はしっかりと意識を保っている。
「すごい……この力。これが覚醒?」
「ん~、まだやね。べべたの力がまだ出てないから。」
「べ、べべた?」
「最後って意味やよ。」
「じゃあその最後の力を発揮できたら覚醒……ってことで良いんですか?」
「そうやね。」
にっこりと笑いながら真琴は頷いた。そしてゆっくりとクロロへと向かって歩み寄る。
「っ!?」
真琴が一歩、そしてまた一歩と踏み出す度に真琴から溢れ出る異常な殺気が増していく。
「んふふふ、怖いやろ?」
クスリと笑う真琴だが、彼女から発せられている殺気は尋常ではない。その殺気にあてられたクロロは、体があることを自分に命令してくるのを感じていた。
(逃げろ。)
と、クロロの体の中を流れる王家の血が彼女に命令してくる。そして彼女の意思に関係なく体は真琴から一歩、また一歩と退いていく。
彼女がどんな状況になっているのか察した上で真琴はクロロへと向かって言った。
「けったいなもんに体を貸しちゃあかんよ。あんさんは何のために今努力してはるのか……思い出しや?」
真琴が一歩歩み寄る度にクロロは自分の意思とは真逆に、足がまた一歩後ろへと下がってしまう。
(逃げろ。)
(ダメっ!!)
(お前では勝てない。)
(勝てる勝てないの問題じゃない!!私は……私はっ!!)
クロロは下がろうとする足を踏みとどめ、あろうことか前へと一歩足を出した。
(止めろ。死ぬぞ。)
「死なないッ!!私は……私はっ……絶対にルアちゃんを守るんだァァァァァァッ!!」
クロロは叫ぶ。すると、先ほどの声が最後にポツリとあることを言い残した。
(ならば勝て。力はくれてやる……我が娘。)
「えっ…………。」
それを最後に言葉は聞こえなくなった。そしてクロロの体に異変が起こる。
「あはっ♪すごいねぇ……夜だから魔物の目が紅く光って一ヵ所に集まってるのがまる分かりだね。」
上空を飛ぶミリアからは、無限の森の様子がまる分かりだった。暗闇で紅く光る魔物の目がある場所を取り囲むように犇めいていたのだ。
「さて……どんな感じかな~。」
エナの様子を見るために彼女のいる場所に近付くと、魔物に揉まれているせいか、彼女の姿が見えない。エナはミノタウロス故に大柄なので魔物の中でもすぐに見つかるはずなのだが…………。
そんな不思議な気持ちをミリアが抱いていると、おそらくエナがいるであろう場所から、魔物の赤い瞳が一瞬にして大量に消えてなくなった。
それだけに留まらず、周りを取り囲んでいた魔物も一瞬にして消えてなくなった。
そして一瞬……無限の森に静寂が訪れた。
ミリアはある確信を抱きながら、エナのもとへと降り立った。そして目の前に立っていた彼女の姿を見てニヤリと笑う。
「あははははっ♪ひとまずおめでとう……って言っておこうかな?」
「……あ、ミリアさんかえったんじゃなかったんですかぁ~?」
「君の様子を見たくてね。それと……ちょっと火照っちゃったから、この火照りを冷ましに来たんだ。」
ミリアの言葉にエナも暗闇のなかでニヤリと笑った。
「それじゃあ……相手してくれるんですね~?」
「あぁ、もちろんだ。さぁ…………踊ろうか♪」
ミリアは鎌を構えてエナへと向かっていく。その表情はとても楽しそうだった。
◇
次の日……クロロは真琴に直接指導を受けることとなっていた。ロレットの城の中庭で二人は向かい合うと、真琴が先に口を開いた。
「ほな、まずは昨日あんさんがいけた第二の覚醒まで自分で呼び起こしや?」
「あの~……それってどうすれば良いんです?」
クロロは困惑した表情で真琴に問いかける。
「せやから昨日を思い出せばええんよ。あんさんを覚醒させるきっかけを思い出してみや?」
「………………。」
言われるがままクロロは昨日自分の身に起こった出来事を思い返してみた。そして散々真琴に煽られ、バカにされたことを思い出し少し感情が怒りに染まろうとしたとき変化が現れた。
「あ、できました。」
今クロロの視界は灰色に染まり、生物だけが紅くハイライトされている。
「あんじょ~いけたね。ほな次も。」
「次……次は確か………………。」
クロロはあの時真琴に殺されかけた瞬間を思い出す。今にも自分が殺されそうになった瞬間を思い出すのは、もう一度同じ体験をさせられているようで、あの時と同じようにクロロの背中を冷たいものが走り抜けた。
しかし、それと同時にドクン……と心臓が大きく脈打ち、全身の血流が一気に早くなったのが自分でもわかるようだ。
自身のその変化に驚いていると、不意に真琴が視界から消えた。そしてクロロは自分の首を、刈り取られるような鋭い殺気を感じとる。
「っ!!」
バチン!!
咄嗟にクロロが地面を蹴ると、あの時と同じ鞭打つような音が当たりに響いた。そして先ほどクロロがいた位置の真後ろに真琴が姿を現す。
「んふふふ、今度はちゃんと意識もあるみたいやねぇ。」
真琴の見つめる少し先で紅く目を光らせているクロロ。昨日はこの段階では意識を保っていることはできなかったが、今日はしっかりと意識を保っている。
「すごい……この力。これが覚醒?」
「ん~、まだやね。べべたの力がまだ出てないから。」
「べ、べべた?」
「最後って意味やよ。」
「じゃあその最後の力を発揮できたら覚醒……ってことで良いんですか?」
「そうやね。」
にっこりと笑いながら真琴は頷いた。そしてゆっくりとクロロへと向かって歩み寄る。
「っ!?」
真琴が一歩、そしてまた一歩と踏み出す度に真琴から溢れ出る異常な殺気が増していく。
「んふふふ、怖いやろ?」
クスリと笑う真琴だが、彼女から発せられている殺気は尋常ではない。その殺気にあてられたクロロは、体があることを自分に命令してくるのを感じていた。
(逃げろ。)
と、クロロの体の中を流れる王家の血が彼女に命令してくる。そして彼女の意思に関係なく体は真琴から一歩、また一歩と退いていく。
彼女がどんな状況になっているのか察した上で真琴はクロロへと向かって言った。
「けったいなもんに体を貸しちゃあかんよ。あんさんは何のために今努力してはるのか……思い出しや?」
真琴が一歩歩み寄る度にクロロは自分の意思とは真逆に、足がまた一歩後ろへと下がってしまう。
(逃げろ。)
(ダメっ!!)
(お前では勝てない。)
(勝てる勝てないの問題じゃない!!私は……私はっ!!)
クロロは下がろうとする足を踏みとどめ、あろうことか前へと一歩足を出した。
(止めろ。死ぬぞ。)
「死なないッ!!私は……私はっ……絶対にルアちゃんを守るんだァァァァァァッ!!」
クロロは叫ぶ。すると、先ほどの声が最後にポツリとあることを言い残した。
(ならば勝て。力はくれてやる……我が娘。)
「えっ…………。」
それを最後に言葉は聞こえなくなった。そしてクロロの体に異変が起こる。
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