もんむすッ!めたもるふぉ~ぜ☆~世界に♂はボク一人!?~

しゃむしぇる

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第二章 呪われた運命

第107話 協力

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 それから数日後……東雲の助力を得られたことで、ルアを監視する不審な人物の捜索も捗るはず……だったのだが。

「くぅ……気配もない、魔力も感じない。こんなやつどうやって見付ければ良いのだッ!!」

 怒りを露にしている東雲は、てしてしと前足でテーブルを悔しそうに何度も叩く。

 彼女が愚痴をこぼしている通り、ここ数日間……東雲は出来うる手段を全て投じ、捜索にあたっていたのだが、不審な人物の姿を目撃するどころか、気配も魔力すらも感じることができずにいた。

 まったく進展のないこの状況に思わずロレットも、腕を組み唸り声を上げた。

「むぅ……東雲でもどうしようもない輩がいるとは。我も監視の目は光らせているが……あれ以降トリトニーのスライムにも映らなくなってしまった。」

 そう、あの人物が映像に映ったのは最初の一回のみで……それ以降は一度も姿を捉えることができていない。

「まさに打つ手なし……か。これはいよいよ妾の力だけではどうにもできそうにないな。」

 はぁ~……と大きなため息を東雲は吐き出すと、おもむろにテーブルから降りて部屋の外へと出ていった。

「あ、東雲さん……。」

「……行ってしまったな。」

 呼び止めようとしたルアだったが、間に合わず東雲は部屋の外へと出ていってしまった。

「うぅ……東雲さんでもどうしようもないなんて……。」

 悲しそうにルアがポツリと言った。

「……そういえば、ルアの方はどうなのだ?最近まだ視線は感じるか?」

「バリバリ感じますっ!!特にお風呂の時とか……着替えしてるときとか……。」

 ルアがロレットの質問に答えていると、突然後ろから声が聞こえた。

「ふぅ~ん?ならそこが狙い目やね~。」

「ふぇっ!?ま、真琴さん?」

 いつも間にかルアの後ろには真琴が佇んでいた。彼女の頭の上には東雲が座っている。

「私もいるよ~?」

「ミリアさんまで……。」

 ひょっこりと真琴の後ろからミリアも姿を現した。

「どうにも妾の力だけでは限界があるのでな。今回は真琴とミリアの力も借りることにした。」

「いや~、東雲ちゃんもズルいよね~?こんな面白そうな事を一人でやってたなんてさ~。」

「ほんまいけずなんやから~、もっと早く声をかけてほしかったどすえ?」

「くくくくく、なにぶん面白いことは独り占めしたくなる質でな。」

 そして真琴はおもむろにテーブルの上に並べられたトリトニーのスライム達に近寄ると、その手をかざし魔力を流し込んだ。

 すると、トリトニーのスライム達が鳥や虫など様々な自然のものに変貌を遂げた。

「こ、これは……まるで本物のようだな。」

 思わずロレットは限りなく本物に近いそれを見てポツリと言った。

「んふふふ~、あての化かし術ならこれぐらいどうってことないんよ~。し、か、も……。」

 パンパン!!と真琴が手を叩くと鳥に化けたスライムは、本物の鳥のように羽ばたき始めた。

「こないな風に動かすこともできるんよ。」

「これに妾が少し隠蔽魔法を施して魔力を隠してやれば……。くくくくく、本物とまったく変わらない監視役の出来上がりだ。」

「おぉっ!!」

 東雲が窓を開けると、鳥や虫に化けたスライム達が一斉に飛び出していった。

 そして今度は自分の番……と言わんばかりにミリアが笑った。

「あははっ♪普通ならあれだけで十分だと思うけど、どうやら今回の相手は相当なやり手らしいからね~。」

 ミリアはぐっ……と片手を握りこんだ。そして手を開くと、手のひらの中に一匹の蝙蝠が現れた。

「これは私の眷属ちゃんだよ。」

「その蝙蝠を監視役として放つのか?」

 ロレットがミリアに問いかけると、ミリアはニヤリと笑いながら首を横に振った。

「違うよ?この子には、今からこの城の周りにいる全部の蝙蝠を操ってもらうんだ。」

「なっ……そんなでたらめなことが…………。」

「あははっ♪できちゃうんだなぁ~これがっ♪」

 キラリとミリアの手に収まっていた蝙蝠は赤い目を光らせると、先程開けた窓から飛び立っていった。

「さ~てと、後はあの子から報告を待つだけだよ。」

「んふふふ……楽しみどすなぁ~。」

「くくくくく……さぁ、どこまで逃げ切れるか。見せてもらおうじゃないか。」

 東雲に続いて真琴やミリアまでも、協力することとなったこの作戦。果たして、ルアを監視し続けるものを捕らえることはできるのだろうか?
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