もんむすッ!めたもるふぉ~ぜ☆~世界に♂はボク一人!?~

しゃむしぇる

文字の大きさ
124 / 249
第二章 呪われた運命

第122話 神器

しおりを挟む

「さて、まずは何を教えてくれるのだ?」

 東雲はアルへと向かって問いかけた。

「そうねぇ~……って、あなた達はこの子を使って強くなろうとしてたんじゃないの?」

 アルはぽつんとたたずむルアの頭に手を当てながら言った。

「当初の予定はそうだったが、いかんせんルアはまだお前達の神の力というものに慣れていない。不慣れな力というものは時に予想もできない事故を起こしかねんからな。」

「まぁ……それはそうね。昨日はうまく使えてたみたいだけど、多分これがなかったからだし……。」

 すると、アルはいつも背中に背負っている金色の弓を手に取った。

「その弓にも何か仕掛けがあるのか?」

「これは私しか使えない神器よ。今の君が引こうとしてもビクともしないはず。ほらやってみて?」

 アルはルアに金の弓を手渡した。意外にもずっしりとしていて、とても重量感があるそれを手にしたルアは思わず体勢を崩しそうになっていた。

「わわっ!?これ重たいっ……。」

「あははっ、持ってるだけで精一杯って感じね。まぁ無理もないわ。さっき言った通り、私以外の誰かが使おうとするとそうやって使えなくなるのよ。」

 クスリとアルは笑うと、苦しそうな体勢のルアから軽々と弓を取り上げた。そんな彼女に東雲がある質問を投げ掛けた。

「ただ単に重くなるだけならば、力の強い者ならば扱えるのではないか?」

「無理よ。これを手にした人が使えなくなるぐらいまで……無限に重くなるから。なんなら試しに持ってみる?腕が取れても知らないけど。」

「……ふむ。ならばやめておこう。腕が使えなくなるのは不便だからな。」

「……まるで腕をなくしたことがあるような言いぐさね?」

「あるぞ?どこぞの無駄乳狸に吹き飛ばされたわ。」

 ジロリとした視線を東雲は真琴に向けた。すると、真琴は苦笑いを浮かべる。

「あん時のことは水に流す言うたやないどすかぁ~。」

「前世の妾はな。今世の妾が許すとは一言もいってないぞ?」

「そんな殺生なぁ~。」

「……まぁいい。今は昔を振り返るより、未来のことを考えねばならん。という訳で……だ。変態女神、ルアに力の使い方というものを教えてやってくれ。」

「だからそれが人にものを頼む態度!?……まぁお母様に出来る限り協力するようにって言われてるから、協力するけど~。」

 ムッと表情を強ばらせるアルだったが、すぐに気持ちを切り替え、ルアに声をかけた。

「それじゃあ早速私に変身してくれる?」

「わ、わかりました……メタモルフォーゼ。」

 メタモルフォーゼと口にすると、ルアの体を光が覆い、次の瞬間にはアルを幼くしたような姿になったルアが姿を現した。

「できました。」

「じゃあこれ持って?弓が君を私だと認識したらきっと楽に持てるはずよ。」

 そしてルアはアルから恐る恐る金色の弓を受け取った。すると、先ほどあれだけ重かったというのに、今は羽毛のように軽く、手に自然と吸い付くようにフィットしていた。

「あ……も、持てました。」

「ってことはやっぱり弓も君のことを私だと認識してるってことね。……いったいどういう仕組みなのかしらその技。確か……お母様にもらったのよね?」

「はいっ。」

「…………この力があれば、神々の神器を無効化できる?だとしたら兄様の銀の弓も…………。」

 深く考えるような素振りで何かをボソボソと小声で囁くアル。そんな彼女にルアは首をかしげる。

「あ、あの……アルさん?」

「え、あ、あぁ……ごめんね。ちょっと考え事してたわ。ちょっとそこの狐の子?」

「なっ……妾の子とを狐扱いするかこの変態女神っ!!」

 狐扱いされたと思い、激昂する東雲だったが、彼女を止めるべくすぐさま真琴とミリアが動いた。

「まぁまぁ落ち着いて、東雲はん?」

「そうそう、今はちょっと怒りを納めてさ。後々にとっとこうよ……ねっ?」

「うぐぐぐ……この怒りの矛を納めろというのか。」

 ギリリと歯を食い縛り、今にも襲いかかりそうな東雲を必死に真琴とミリアは抑えつける。

 二人の苦労などいざ知らず、アルは東雲に問いかけを続けた。

「何が癪に触ったのかいまいちわかんないけど、ここら辺に人は住んでないのよね?」

「……住んでおらん。」

「ならいいわ。じゃあまずは……そうね、あそこの大きな岩に向かって弓を射ってみましょっか。」

「え、で、でもボク弓なんて使ったことないですよ。」

「大丈夫よ。あの場所を狙うぞ~って意識しながら射つだけでいいわ。矢は弦を引けば勝手に現れるから。」

「わ、わかりました……。」

 弓の撃ち方なんて一つも分からないルアだったが、いざ弓の弦に手をかけると、自然に体が動き最適な姿勢をとった。

 そして限界まで引き絞った弦をパッと放した次の瞬間……狙っていた岩に大きな風穴が出来上がった。

「あ、あたった……。」

「うんうん、上出来ね。まぁ……40点ってとこかしら。」

「当てたのに40点なんですね。」

「まだまだ扱いが雑だもの仕方ないわ。いくら全盛期の私の力を持っていたとしても、使いこなせなきゃ宝の持ち腐れ。なんなら単純な弓の腕なら今の私にすら劣っているんだもの。ちょっと弓貸してみなさい?」

 そしてアルは弓を構えると、無造作に矢を放った。すると、矢は真っ直ぐ飛ぶのではなく自由自在に動き回りながら辺りに転がっている岩の中心を貫いていく。

「これができるようになったら……まぁ60点あげるわ。」

「なんかすごい難しそうなことをサラッとやりましたね。……でも頑張ってみます。」

 再び金の弓を受けとるとルアは、先ほどのアルを真似するように弓を射ち始めた。彼が練習している最中、アルは東雲達に声をかけた。

「さてと……あの子はまだ時間がかかりそうだし。私はあなた達の相手をしてあげましょうかねっ。」

「くくくくく、ちょうどいい……先ほどの侮辱の憂さ晴らしをさせてもらうとしよう。それに朝からどこぞの乳牛どもにはらわたが煮えくり返りそうだったのだ。」

 ビキビキと額に青筋を浮かべた東雲は、ゆっくりとアルへと向かって向かっていくのだった。その平らな胸の内に、巨乳へと怨みと嫉妬を込めて……。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

処理中です...