もんむすッ!めたもるふぉ~ぜ☆~世界に♂はボク一人!?~

しゃむしぇる

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第二章 呪われた運命

第128話 付き添う者の心

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 朝から由良にあんな質問をしてしまったことを軽く後悔しているルア。恥ずかしい思いをしたことには間違いない。だが、不思議と嫌な感じは全くしなかった。

「ちょっと嬉しかったな。」

 いくら由良は幼いころからの育ての親とはいえ、実の肉親ではない。それにもかかわらず由良は自分のことが好きだとはっきりと言ってくれた。それがルアにとってはとても嬉しいことだった。
 異性から好きだと面と向かって言われたのも初めての経験だったし、それが一番身近にいる由良だったこともさらに相まって、ルアの心を幸せな気持ちが満たしていた。

「次は誰に聞いてみようかな。」

 気持ちが満ち足りる感覚を知ってしまったルアは、次は誰に聞いてみようかと少しワクワクしていた。好奇心が恥ずかしさを打ち消してしまっている状態になってしまっている。

 そんな彼が城の中を歩き回っていると、前の方からクロロとエナの二人がこちらに向かって歩いてくるのが見えた。

(クロロさんたちも、ボクが小さいころからお世話してくれてるし……きっと。)

 そんな期待を抱きつつルアは彼女たちのもとへと駆け寄った。

「おはようございます!!クロロさんエナさんっ。」

「あ、おはよールアちゃん。」

「おはようございます~。」

 相変わらずクロロがルアの名を呼ぶときは付けで呼ばれている。それはエナも同様で、ルアが幼いころから周囲に♂だとバレないように徹底していた名残だ。

「ルアちゃんなんかご機嫌そうだね?なんか良いことでもあった?」

「え、わ、わかりますか?」

「うん、ルアちゃんすぐ顔に出るからね~。」

「昔から変わらないですねぇ~。そういうところは~。」

「そ、そんなに顔に出るかな……。」

 むにむにとルアは自分の頬っぺたを両手で触る。そんな彼の様子を微笑みながら眺めていたクロロ達は、何があったのか問いかけることにした。

「それで~?何があったの~?」

「そんなに大したことじゃないんですけど……。」

「ふぅん……?」

 頬をカリカリと掻きながら答えたルアにクロロは目を細めた。そしてあることを口にする。

「ルアちゃんさ、自分ではわかってないかもだけど……ウソつくときそうやって頬っぺ掻く癖あるよね。」

「ふぇっ!?」

 クロロが先程までルアがやっていた何気ない仕草を真似してみせると、ルアはそこで初めて自分が無意識でそれをやっていたことに気が付いた。

「嘘はダメですよぉ~?ルアちゃん?正直に私達に教えてくださ~い。」

「うぅ……そ、それじゃあ話す前にボクの質問に答えてください。」

「質問?」

 クロロとエナは二人して首をかしげた。

「あ、あの……二人はぼ、ボクのことどう思ってますか?」

 少し顔を赤らめながら質問をしたルア。予想外の質問だったのか、クロロとエナの二人はポカンと一拍呆気にとられた表情を浮かべる。

「えっ……と、どう思ってる……って…………。」

「何て答えたらいいんでしょうねぇ~……。」

「た、例えばですけど……ボクのことが嫌い……とか…………。」

 ルアがそんな例えを口にしたその時だった。

「「それは無いっ!!」」

「えっ!?」

 クロロとエナは口を揃えてそう言った。

「ルアちゃんのことを嫌いになるなんてあり得ないよ。……まさか私達に嫌われてるって思ってたの?」

「あ、えと……そういうことじゃなくて。」

「じゃあどういうことですかぁ~?」

「わぷっ!?」

 少しムッとした表情を浮かべながら、エナがその豊満な胸をルアの顔に押し付ける。

「むぐぐ……。」

「ルアちゃんのことが嫌いだったら、ちっちゃい頃から一緒にいたりしませんよぉ~?だからこうやって一緒にいるんじゃないですかぁ。」

「うんうん、エナちゃんの言うとおり。……アピール方法がちょっとあれだけどね。」

 エナの言葉に頷きながらも、クロロはエナの胸にじっとりと妬むような視線を向けた。そして改めて自分のほぼ絶壁の胸を眺め、ガックリと肩を落とした。

「…………はぁ。ま、まぁ……少なくともここにはルアちゃんのことを嫌いな人っていないんじゃない?だってそれぞれがルアちゃんを守りたくてここにいるわけだし。」

 そう話すクロロの隣でエナがようやく自分の胸からルアのことを解放した。

「ぷはっ!!はぁ……はぁ……。」

「クロロちゃんの言うとおりですよぉ~?ルアちゃんは、もっと自分に自信をもっていいです~。」

「……あ、ありがとうございました。」

 ペコリとルアはクロロとエナに向かってお礼のお辞儀をした。

「にゃはは~いいのいいの。……さって、それでルアちゃんの質問は終わったみたいだし~そろそろ何があったのか教えてもらおうかな~?ねっ?」

 そしてクロロがルアへとジリジリ歩みを進めたその時だった……。

「ご、ごめんなさいっ!!」

「にゃっ!?消えたっ!?」

「あらあら~逃げられちゃいましたねぇ~。」

 クロロが歩み寄った瞬間、ルアは透明化を使い姿を消してどこかへと走り去った。

「んにゃ~っ!!逃げられた!!絶対面白い話が聞けると思ったのに!!」

「まぁまぁクロロちゃん、後からじっくり聞けばいいじゃないですかぁ~。ルアちゃんは素直です~……きっと答えてくれますよぉ~。」

 そうクロロのことを宥めるエナの目はまるでハンターのような獰猛を備えつつ、魅惑的だった。
 
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