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第二章 呪われた運命
第132話 仕込まれていたもの
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花の少女へと向かって東雲は歩み寄ると、あることを問いかけた。
「おい、お前妾の言葉がわかるか?」
「う~?」
チューリップの花の中から顔だけを出した少女は、少し怖がる様子を見せながら首をかしげた。
「あ、あの……東雲さん。成り立て……ってさっき言ってましたけど、それってなんなんですか?」
「成り立て……というのは魔物から知性ある魔物娘へと進化したばかりの者の総称だ。」
「えっと……じゃあこの子って、生まれたての赤ちゃんみたいな感じってことですか?」
「まぁ、そういう認識で間違いない。だが、魔物から魔物娘へと進化を遂げることは極めて稀だ。妾も永いこと生きたが……見るのはこれが初めてだ。」
まじまじと東雲は少女のことを眺める。すると、少し恥ずかしそうに少女は顔を花の中へと埋めた。
「……ルア、お前はどうしたい?」
「ふえっ?」
「お前はこいつをどうしたいと聞いているのだ。この危険な森の中に放っておくのか、もしくはお前が育てるか。」
「えぇぇぇぇぇっ!?ぼ、ボクが育てるっ!?」
「くくくくく、悪くないだろう?それにどうやらこいつはお前のことが気になって仕方がないらしいからな。」
チラリと東雲が少女に向かって視線を向けると、少女はルアから視線を外し、恥ずかしそうにまた花の中へと隠れてしまった。
そして暫くするとまた顔を出してルアのことをじっと見ている。
「妾の言葉には答えてくれんからな。お前がこいつに聞いてみるといい。」
「うぅ、わ、わかりました。」
ルアは花の少女へと向かって歩み寄ると、彼女に向かって問いかける。
「えっと……な、何て言えばいいのかな。ぼ、ボクたちと一緒に来る?」
「あ~う~。」
ルアがそう言って手をさしのべると、言葉の意味を理解したのか否か定かではないが、少女は顔を赤くしながらもルアの手をとった。
その様子を見て東雲はくつくつと一人笑う。
(くくくくく、これはもしや……ルアに良いきっかけを与えてくれそうだな。)
「えっと……東雲さん?」
「うむ、なんだ?」
「この子着いてきたいみたいなんですけど……。」
「まぁ、妾が面倒を見るわけではない。お前が面倒を見るのだ。好きにしろ。」
「えぇ……ど、どうすれば……。」
迷うルア……。そんな彼の手を少し強く花の少女は握った。そして懇願するような目を彼に向ける。
「うぅ……そんな目で見られたら断れないよ。」
まるでペットショップに並ぶ子犬達が客に向かって向ける視線のように、抗えない何かが、花の少女の視線にはあった。
「わかりました……ボクがお世話します。」
「くくくくく、お前ならそういう選択をすると思っていた。ならば一度帰ろうか。ロレット達にもこいつのことを紹介しなければな。」
パチンと東雲が指を鳴らすと三人の足元に魔法陣が現れ、そこから溢れ出た光が三人を覆う。
そして次の瞬間には、ロレットの城の中庭へと転移していた。
新しい場所に連れてこられた花の少女はキョロキョロと辺りを不安そうに見渡している。そんな彼女にルアは優しく声をかけた。
「大丈夫だよ。ここには危険な魔物もいないし、良い人がたくさんいるから。きっとみんな仲良くしてくれるよ。」
「あれ?東雲さんにルアちゃんもう帰ってきたんだ……ってその子誰?」
ちょうど中庭でエナと組手をしていたクロロがルア達が帰って来たことに気が付き、話しかけるが……見たことがない姿の少女に首をかしげた。
「そやつについては皆の集まる場で話す。ロレット達を呼んでくるのだクロロ。」
「あ、は、は~い……。」
東雲にそう指示されるとクロロはみんなを呼びに走り去っていった。
「さて、妾達は食堂で待つとするか。ちょうど小腹も空いた。ルア、妾は菓子を所望する。」
「あはは……わかりました。」
「う~?」
ルアが苦笑いを浮かべていると、その隣で花の少女が首をかしげた。
「あ、君も食べる?」
「あぅ~あ~……。」
ルアの言葉の意味が理解できていないのか、何度か首をかしげた少女。しかし最終的に首を縦に振った。
「それじゃあたくさん作らないと…………あぇ?」
「ルア!?」
一人小走りを始めたルアだったが、突然視界がぐわんと歪み地面に倒れこんでしまう。そんな彼に急いで東雲は歩み寄った。
「チィッ……これは遅効性の毒か。厄介な……妾は回復魔法は得意ではないのだ。おいルア、しっかりしろ!!」
「うっ……うぅ……。」
どうやら先程ルアが飲まされた液体は遅効性の毒だったらしい。毒が全身に周り、ルアの視界はぐにゃりといびつに歪んでいた。
「あぅぁ~っ!!」
「むっ!?な、何をするつもりだ貴様っ。」
慌てながらも花の少女はルアのもとへと歩み寄ると、あろうことか彼の唇に口づけをした。
(甘い…………気持ちいい……溶けちゃい……そう……。)
そしてルアの意識は深い闇の中へと引きずり込まれていった。
「おい、お前妾の言葉がわかるか?」
「う~?」
チューリップの花の中から顔だけを出した少女は、少し怖がる様子を見せながら首をかしげた。
「あ、あの……東雲さん。成り立て……ってさっき言ってましたけど、それってなんなんですか?」
「成り立て……というのは魔物から知性ある魔物娘へと進化したばかりの者の総称だ。」
「えっと……じゃあこの子って、生まれたての赤ちゃんみたいな感じってことですか?」
「まぁ、そういう認識で間違いない。だが、魔物から魔物娘へと進化を遂げることは極めて稀だ。妾も永いこと生きたが……見るのはこれが初めてだ。」
まじまじと東雲は少女のことを眺める。すると、少し恥ずかしそうに少女は顔を花の中へと埋めた。
「……ルア、お前はどうしたい?」
「ふえっ?」
「お前はこいつをどうしたいと聞いているのだ。この危険な森の中に放っておくのか、もしくはお前が育てるか。」
「えぇぇぇぇぇっ!?ぼ、ボクが育てるっ!?」
「くくくくく、悪くないだろう?それにどうやらこいつはお前のことが気になって仕方がないらしいからな。」
チラリと東雲が少女に向かって視線を向けると、少女はルアから視線を外し、恥ずかしそうにまた花の中へと隠れてしまった。
そして暫くするとまた顔を出してルアのことをじっと見ている。
「妾の言葉には答えてくれんからな。お前がこいつに聞いてみるといい。」
「うぅ、わ、わかりました。」
ルアは花の少女へと向かって歩み寄ると、彼女に向かって問いかける。
「えっと……な、何て言えばいいのかな。ぼ、ボクたちと一緒に来る?」
「あ~う~。」
ルアがそう言って手をさしのべると、言葉の意味を理解したのか否か定かではないが、少女は顔を赤くしながらもルアの手をとった。
その様子を見て東雲はくつくつと一人笑う。
(くくくくく、これはもしや……ルアに良いきっかけを与えてくれそうだな。)
「えっと……東雲さん?」
「うむ、なんだ?」
「この子着いてきたいみたいなんですけど……。」
「まぁ、妾が面倒を見るわけではない。お前が面倒を見るのだ。好きにしろ。」
「えぇ……ど、どうすれば……。」
迷うルア……。そんな彼の手を少し強く花の少女は握った。そして懇願するような目を彼に向ける。
「うぅ……そんな目で見られたら断れないよ。」
まるでペットショップに並ぶ子犬達が客に向かって向ける視線のように、抗えない何かが、花の少女の視線にはあった。
「わかりました……ボクがお世話します。」
「くくくくく、お前ならそういう選択をすると思っていた。ならば一度帰ろうか。ロレット達にもこいつのことを紹介しなければな。」
パチンと東雲が指を鳴らすと三人の足元に魔法陣が現れ、そこから溢れ出た光が三人を覆う。
そして次の瞬間には、ロレットの城の中庭へと転移していた。
新しい場所に連れてこられた花の少女はキョロキョロと辺りを不安そうに見渡している。そんな彼女にルアは優しく声をかけた。
「大丈夫だよ。ここには危険な魔物もいないし、良い人がたくさんいるから。きっとみんな仲良くしてくれるよ。」
「あれ?東雲さんにルアちゃんもう帰ってきたんだ……ってその子誰?」
ちょうど中庭でエナと組手をしていたクロロがルア達が帰って来たことに気が付き、話しかけるが……見たことがない姿の少女に首をかしげた。
「そやつについては皆の集まる場で話す。ロレット達を呼んでくるのだクロロ。」
「あ、は、は~い……。」
東雲にそう指示されるとクロロはみんなを呼びに走り去っていった。
「さて、妾達は食堂で待つとするか。ちょうど小腹も空いた。ルア、妾は菓子を所望する。」
「あはは……わかりました。」
「う~?」
ルアが苦笑いを浮かべていると、その隣で花の少女が首をかしげた。
「あ、君も食べる?」
「あぅ~あ~……。」
ルアの言葉の意味が理解できていないのか、何度か首をかしげた少女。しかし最終的に首を縦に振った。
「それじゃあたくさん作らないと…………あぇ?」
「ルア!?」
一人小走りを始めたルアだったが、突然視界がぐわんと歪み地面に倒れこんでしまう。そんな彼に急いで東雲は歩み寄った。
「チィッ……これは遅効性の毒か。厄介な……妾は回復魔法は得意ではないのだ。おいルア、しっかりしろ!!」
「うっ……うぅ……。」
どうやら先程ルアが飲まされた液体は遅効性の毒だったらしい。毒が全身に周り、ルアの視界はぐにゃりといびつに歪んでいた。
「あぅぁ~っ!!」
「むっ!?な、何をするつもりだ貴様っ。」
慌てながらも花の少女はルアのもとへと歩み寄ると、あろうことか彼の唇に口づけをした。
(甘い…………気持ちいい……溶けちゃい……そう……。)
そしてルアの意識は深い闇の中へと引きずり込まれていった。
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