もんむすッ!めたもるふぉ~ぜ☆~世界に♂はボク一人!?~

しゃむしぇる

文字の大きさ
133 / 249
第二章 呪われた運命

第131話 花の少女

しおりを挟む
 謎の植物によって連れ去られてしまったルアは、森の奥で全身をぬるぬるとした触手で拘束されてしまっていた。

「うぅ……ぬるぬるして気持ち悪い。この……離してよっ!!」

 ジタバタとルアはもがくが、触手の拘束から逃れられそうにはない。それどころかどんどんルアの体に触手がまとわりついていく。

「ぼ、ボクの力じゃ抜け出せない……こうなったら……メタモ……むぐっ!?」

 自分の切り札であるメタモルフォーゼを使おうと、口を開けたルアだったが、その開いた口に触手が潜り込んだ。

「ん~っ!!むぐっ……む~っ!!」

 うねうねと口のなかで蠢く触手に不快感を覚えるルア。なんとか噛みきれないか、試してみたが……まるでゴムのような弾力で、まるで歯が立たない。

「んむぅ……んっ!?」

 口に触手が入り込み、声する出せなくなったルアの前に何やら花の蕾のようなものが先端に付いた触手が現れる。

 そしてルアの顔の前で、その蕾はピンク色の妖しげな花を咲かせた。
 いったい何をされるのかとルアが不安になっていると、突然……。

 ボフッ!ボフッ!

「んんっ!?」

 花から花粉が放出され、口を塞がれていたルアはそれを鼻から吸い込んでしまう。
 すると、強烈な甘い香りが鼻から頭まで突き抜けるような感覚にルアは体をピクリと体を震わせた。

(こ、これぇ……ダメ。吸い込んじゃ……頭溶けちゃいそう。)

 花粉によってトロンと表情が蕩け始めてしまっているルア。しかし、なんとか残っている理性で息を止めて抗おうとする。
 しかし、人間という生物は呼吸無しでは生きてはいけない。いずれ限界がやってくる。

(も、もう……無理。)

「んむ……スゥ…………。」

 ボフッ!

「む~っ!!」

 まるでルアの呼吸の限界が来るのを見計らっていたように、またしても触手の花から花粉が放出される。
 更に嫌なことに、無理して呼吸を我慢していたせいで大きく息を吸った。それにより花粉も先程より多く吸い込んでしまった。

「ん……んっ……。」

 まるで全身を甘い香りが充満して、内側から犯されているような感覚にルアは表情を蕩けさせた。
 そして花粉の効果で体が敏感になっているようで、ぬるぬるとした触手が体を這う度に、ゾクゾクと甘い快感がルアを襲っていた。

 そんな時、何かが這い寄ってくるような音が聞こえた。

「んんっ!?」

 その音でハッと我に返ったルアは、動かせる範囲で周りを見渡す。すると、大きなチューリップのような花が根を足のように動かしてこちらに近付いてきているのが見えた。

(な、なに……あれ。魔物?魔物なの!?逃げなきゃっ……!!)

 残っている力で触手を振りほどこうと暴れるルア。未だ反抗的なルアに、触手が新たな動きを見せる。

「ん~っ!!ん~~~~~っ!!……ふむっ!?」

 突如ルアの目に入ったのは、自分の口に入れられている触手の根本が膨らみ、その膨らみが徐々にルアの口へと向かって近付いてきている光景だった。

 その光景に恐怖を覚え、顔を横に何度も振り拒絶の意思を見せるが、触手はお構い無くルアの口の中にドロドロとした粘性の液体を注ぎ込んだ。

「ん~っ!?んくっ……んむぅ~っ!!」

 触手から注がれる液体は喉に絡み付くようで、とても飲みづらい。だが、飲まないと窒息してしまう。

(これ……変な味…………。もういらないよぉ。)

 そして触手に注がれた液体で胃の中がタプタプになるのを感じたルア。それと同時に体に異変が起き始めていることにも気が付く。

(あれ……力入んない。頭がくらくらする。)

 手足に力が入らなくなり、抵抗すらできなくなってしまった。

 そんなルアの前についに大きなチューリップの姿をした何かが至近距離まで近付いてしまった。

(あぁ……ボク食べられちゃうのかな。)

 そう悟り、ぎゅっと目をつぶったルア。しかし、いっこうに何かをされる気配はない。不思議に思い、ルアが目を開けると、ちょうどチューリップが花開いている時だった。
 そして開いた花弁の中から一人の女の子が姿を現した。

(女の子?魔物じゃ……ない?)

 パチパチとルアが目を見開いていると、花弁から姿を現した少女が手を伸ばし、ルアの頬に触れた。

「あ~……う~……?」

 少女はどうやら言葉を話すことはできないらしく、あ~う~とだけ口にして、ルアのことを観察している。

(言葉が話せないのかな?ひ、ひとまず襲ってくる気配はないけど……。)

 ルアがひと安心したその時……。

「ルア!!無事かっ!!」

「んむっ!!」

 その場に駆けつけたのは魔力の強化を終えた東雲だった。彼女はルアを拘束していた触手をあっという間に細切れにすると、ルアのことを軽々抱き抱えた。

「ぷはっ!!けほっけほっ!!し、東雲さん……ありがとうございます。」

「無事で何よりだ。さて……貴様か?妾のルアを襲ってくれたのは……。」

 ギロリと東雲は少女のことを睨み付け、臨戦態勢に入る。

「あ、東雲さん待ってください!!その子は違うんです。」

「なんだと?」

「あぅ~。」

 花の少女は東雲の視線に恐怖心を抱いたようで、再び花弁の中に閉じ籠ってしまい、ふるふると体を震わせている。

「…………ではなんなのだこいつは。」

「ぼ、ボクにもわかんないですけど……魔物じゃないみたいなんです。」

「魔物じゃない……だと?」

「はい、ボクが捕まってても何もしてこなかったし……それに言葉みたいなのも話すんです。」

 東雲はルアの話を聞いて、深く悩むような仕草を見せ、閉じ籠った少女の方に視線を向けた。

「…………まさか、か?」

 東雲達の会話を、花の少女は花弁から少しだけ顔を出して聞いていた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

処理中です...