もんむすッ!めたもるふぉ~ぜ☆~世界に♂はボク一人!?~

しゃむしぇる

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第二章 呪われた運命

第137話 いなくなった二人。

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 リリィが言葉を話せるようになった次の日……ルアが目を覚ますと、部屋の中には既に東雲とリリィの姿はいなくなっていた。

「あ……れっ?東雲さんに、リリィもいない。寝坊しちゃったかな。」

 不思議がってルアは時計を見てみるが、いつもより少し早いぐらいの時間に起きている。普段ならこの時間は東雲はすやすや眠っているはずなのだが……。

「二人ともどこ行っちゃったんだろ?」

 早朝から東雲がいないことでさえ珍しいことだというのに、それに加えリリィまでいない。そういう現在の状況にルアは違和感を感じずにはいられなかった。

「お母さん二人のこと見てないかな。」

 いつも誰よりも早く起きて皆のためにご飯を作っている由良ならば、二人の動向を知っているかもしれない。そう思ったルアは急いで身支度を整えて食堂へと向かった。

 そして食堂の近くまで来ると、いい匂いが漂っており、ルアの鼻腔と空腹を刺激する。
 中に入ると、いつも通りエプロン姿の由良が鼻歌を歌いながら朝食を作っていた。

「お母さんおはよー。」

「む?おはようなのじゃルア。今日はいつもより少し早いのぉ。」

「うん、ちょっとだけね。それでさ、お母さん。東雲さんとリリィ見てないかな?」

「あの二人ならば、明朝にどこかへ出掛けていったぞ?東雲様がひどく楽しそうな表情をしておったのを覚えておる。」

 どうやら東雲とリリィの二人はルアが起きるよりもずっと早くに何処かへと出掛けてしまったようだ。

「う~ん……二人で何しに行ったんだろ。」

「それはわしにもわからんな。ほれ、今日の朝ごはんじゃ。」

「あ、ありがとう。いただきま~す。」

 そして由良が作った朝食を食べていると、洗い物を終えた彼女がルアの前に腰掛ける。

「ふぅ……にしてもまさかリリィが昨日で言葉を話せるようになるとは驚きじゃった。」

「うん、ボクも驚いたよ。なんか同じ種族から記憶を読み取れるんだって。」

「なるほど、じゃからアルラウネへとメタモルフォーゼしたルアから記憶を読み取り、言葉を話せるようになった……というわけか。」

「そういうことみたい。……でも、ボクがアルラウネに変身した時は、リリィと違って足があったんだ。」

「アルラウネなのに……か?」

「うん。リリィも不思議がってた。」

「………………。」

 詳しい事情をルアから聞いた由良は、口に手を当て、記憶を思い返すような仕草を見せた。

「ルア、ちとここで待っておれ。」

「えっ、あ……うん。」

 何かを思い出した由良はおもむろに食堂を飛び出して何処かへと向かった。

「……お母さんが戻ってくる前に食べちゃおっと。」

 ルアは由良が戻ってくる前に朝食を食べ終えてしまおうと、急いでご飯を食べ進める。
 すると、そんな彼の努力虚しく何冊か本を携えた由良が食堂に戻ってきた。

「むぐぐっ?」

「な、なんじゃルア……そんなに頬いっぱいにご飯を詰め込んで……ぷっくくく、まるでリスのようじゃぞ?」

 頬いっぱいにご飯を詰め込んでいたルアに、思わず由良は笑いを隠せなかった。
 そしてなんとかルアがご飯を胃に押し込んだところで、由良は話を始めた。

「さて、落ち着いたところで……まずはこれを見るのじゃ。」

 パラパラと由良は本をめくり、あるイラストが書いてあるページを開く。そこには「種族 アルラウネ」と書いてあり、リリィと同じような外見の女性が描かれていた。

「コレがアルラウネ……だよね?」

「うむそうじゃ。故に本来ルアがリリィを意識してメタモルフォーゼを使った場合……この絵にあるように足が木の根に変わるはずなのじゃ。」

「……じゃあ何でボクはちゃんとした足が?」

「それはこっちの本を見ればわかる。」

 すると、由良は別な本を開き、再び挿し絵のあるページを開いた。そこにはルアがメタモルフォーゼをしたときのように足が生えているアルラウネが描かれていた。
 しかし、種族名が大きく違っている。

「こっちは種族……ドライアド?」

「このドライアドという種族は、アルラウネの上位種族にあたる種族じゃ。目撃例も少なく、希少種に認定されておる。」

「へぇ……じゃあボクが変身したのはアルラウネじゃなくてドライアドだった……ってこと?」

「そういうことじゃな。アルラウネを思い描いていたというのに、その上位種族のドライアドに変わるとは……まったくルアのメタモルフォーゼという力には不思議じゃな。」

「あはは……ボクもそう思うよ。」

 実際問題、ルアもレト自身からあまり詳しくこの能力については語られていない。

「それにしてもリリィ……どこ行っちゃったんだろ。」

「東雲様が着いておるから心配することはないじゃろう。……そうじゃ、ルア。今日はわしらと一緒に修行するか?」

「えっ?いいの?」

「もちろんじゃ。」

 そしてルアは由良と共に修行を始めるのだった。果たして東雲とリリィはどこへ行ってしまったのだろうか?
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