もんむすッ!めたもるふぉ~ぜ☆~世界に♂はボク一人!?~

しゃむしぇる

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第二章 呪われた運命

第145話 喧嘩両成敗

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 ナッツを無事入手することができた東雲は今までにないほど上機嫌だった。そして二人が帰りを待っていたエルフのもとに戻ると、彼女は無傷で帰ってきた二人の姿を見て驚いた表情を浮かべる。

「おい、ナッツを独占していた魔物は片づけたぞ。」

「ほ、本当か?」

「本当かどうかはこれを見ればわかるだろう。」

 そう言うと東雲は疑いの目を向けるエルフにナッツが入った大量の袋を見せた。

「これは……確かにエルフェンナッツ。あの魔物が好物としていたものだ。」

 エルフは一粒ナッツをとってそれが確かにエルフェンナッツというものであると判断すると、彼女はぺこりと頭を下げた。

「すまない助かった。これで今まで通りナッツを収穫して売ることができる。」

「ふむ……礼は良い。それよりもお前、このナッツの名をエルフェンナッツと言っていたな?これはどんな食べ物なんだ?」

「これか?これは我らエルフが長年かけて研究開発しただ。」

「ほぅ!!」

 というエルフの言葉に東雲は耳と尻尾をピンと立てた。

「究極の美容食材とな。」

「その通り、これは食べるだけで肌や髪に艶を出し、さらには腸内環境を整え、豊胸効果までもあるのだ。」

 エルフはぺらぺらと誇らしそうに、エルフェンナッツの持つ美容効果について語り始める。それを東雲は興味深そうに聞いていた。
 そんなときだった…………。

「ほぇ~っ……その木の実にそんなに凄い効果があるんだ。」

「なっ……く、クロロっ!?貴様いつの間に……。」

 エルフの後ろから顔をひょっこりと覗かせていたのは、朝市へと置いてきたはずのクロロだった。
 最もタイミングの悪いときに現れたクロロに思わず東雲は顔をしかめる。

「私の胸もおっきくなるかな~?」

 クロロはむにむにと自分の胸を揉みながら問いかける。すると、エルフの女性が答えた。

「ふふふっ、エルフェンナッツの効果はお墨付きだ。何せAカップだった私がDカップにまで成長を遂げたのだから。」

「ええっ!?それホントですか!?」

「まぁ話だけでは信じられないだろうな。これを見てくれればわかるさ。」

 そういうとエルフは腰のポーチから一枚の写真を取り出しクロロに手渡した。
 そこに写っていたのは胸にまったく張りの無い彼女の姿だった。

「それは数年前の私だ。それがエルフェンナッツを食べ続けた結果ここまで成長した。」

「す、凄い……こ、これさえあれば私も…………ゴクッ……。」

 今にもルアが持っているエルフェンナッツの袋に飛び付こうとするクロロだが、そんな彼女の目の前で東雲はナッツが入った袋を空間の切れ目へと放り込んでしまった。

「あ~っ!?」

「くくくくく……生憎だがクロロよ。このナッツは妾のモノだ!!貴様にくれてやる分は無いッ!!」

 東雲の言葉を聞いてクロロは、あることに気がついた。

「怪しい怪しいとは思ってましたけど、まさか私に秘密でこれを手に入れるためにここに来たんですか!?」

「ようやく能天気な貴様でも呑み込めたか。だが、もう遅い。ナッツが入った袋は全て妾の空間魔法で仕舞ってしまったからな。くはははははっ!!」

 勝ち誇ったように東雲は高らかに笑う。そんな彼女の姿を見て悔しそうな表情を浮かべるクロロ。

「ちょ、ちょっとぐらい分けてくれたっていいじゃないですか!?ほら、私と東雲さんは貧乳仲間じゃないですかぁ~。ねっ?」

「ダメだな。妾はこんな胸とはおさらばするのだ。そして豊満な体を手に入れてみせるっ!!欲しければ力ずくで奪うのだな。」

 挑発するような東雲の言葉にクロロの耳と尻尾がピーンと立った。そして彼女の瞳の色が深紅色に染まっていく。

「……じゃあそうします。」

「くくくくく、子猫が……粋がりおって。」

 臨戦態勢に入った二人から圧倒的な魔力が溢れ出す。そして二人の戦いが始まろうとした時……。

「止めてくださいっ!!」

 二人の間に割って入ったのはルアだった。

「むっ!?」

「ルアちゃん、そこ退いて。私はあれを奪わなきゃいけないの。」

 収まる様子の無い二人に一つため息を吐き出したルアはポツリと呟く。

「メタモルフォーゼ……。」

「「っ!?」」

 眩い光に包まれたルア。そして次に彼が姿を現すと、彼の腰からは九本の白い尻尾が生えていた。

「喧嘩の原因はボクが没収します。」

 おもむろにルアは空間に切れ目を作るとそこに手を突っ込み、東雲が先ほど隠したナッツの袋を全て取り出した。

「なぁっ!?ルアっ!!何をするのだ!!」

状態付与エンチャント……封印バインド

 ルアが魔法を唱えると袋の口に高密度の魔力で練られた紐のようなものが現れ、袋に完全に封をした。

「これでもうボクが触らないと開きません。」

 そしてルアは自分で空間魔法を使い、その中に袋を放り込んでいく。
 最後に残った二つの袋を抱えると彼はエルフの女性に歩み寄った。

「これ、多分ボク達だけじゃ食べきれないので……。」

「あ、ありがとう……。」

 呆然としながら彼女はルアから袋を受け取った。そしてルアはクロロと東雲のもとに歩み寄ると二人の耳元で囁いた。

「次喧嘩したら……これ全部二人以外に食べさせますからね。」

「「ぴぅっ!?」」

 ルアのその言葉にクロロと東雲の二人は震え上がった。その瞬間、二人は二度とルアの目の前で喧嘩はしないと心に誓うのだった。
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