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第二章 呪われた運命
第146話 実食
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エルフの集落から帰ってきたルアは早速ロレットの城にある調理器具を巧みに使い、先ほど大量に収穫してきたエルフェンナッツを調理し始めた。
前世の頃から培っていたお菓子作りの技術を最大限に使い、あっという間に調理が進んでいく。それと同時に厨房の中にはナッツの焼ける香ばしい香りが漂い始めた。
せっせと厨房の中で動き回るルアを眺めているクロロと東雲は二人であることを話し始めた。
「あの……東雲さん?」
「なんだ?」
「さっきの怒ったルアちゃんすっごく怖くなかったですか?」
クロロは先ほどエルフの集落にてナッツをめぐり二人で喧嘩に発展しそうなときに、それの仲裁に入ったルアの怒った表情が脳裏に焼き付いていた。
「まぁ、普段怒らんやつが怒ると存外恐ろしいものだ。」
熱いお茶をすすりながら東雲もそう言った。
クロロと同じく東雲もあの時のルアの怒った表情が頭から離れないらしい。
「よもや妾の魔法にまでも干渉するほどの力をあそこで発揮するとは思ってもみなかったがな。」
「ルアちゃんも順調に強くなってる……ってことなんですかね?」
「だろうな。」
クロロの問いかけに頷きながらも、東雲は先ほどのルアのメタモルフォーゼにある疑問を抱えていた。
(……ルアが先ほどメタモルフォーゼで化けたのは妾に間違いない。だが、妾とは明らかに魔力の量が違った……。以前は妾よりも少ない魔力量だったはず。何がきっかけだ?)
以前ルアが東雲のことを思いメタモルフォーゼをした時、その時は彼女よりも魔力量が少なかった。しかし、先ほどのルアは東雲の力を圧倒的に超えていたのだ。
(考えられるとすれば……感情の起伏が原因か?そうであれば、一度目の天使の襲来の時……もっと力を増幅できたはず。……考えれば考えるほど泥沼に嵌まっていくようだな。第一、本人すらもよくわかっていないものを他人が考えようとするのが間違っているか。)
今現状ではルアのメタモルフォーゼがどんな仕組みであるのか、さっぱりわからないと結論付けた東雲は考えることを止めた。
「……にしても良い香りだな。香ばしい。」
「ですね~。あんな小さな木の実にまさか胸を大きくする効果があるなんて……ビックリですよ。」
「もとはルアが教えてくれたのだ。ナッツには胸を大きくする効果がある……とな。本来ならばお前に覚られずに妾だけそれを体験しようとしていたのだがな。」
「そんな抜け駆けなんてさせませんよ~。それでもそう考えると、今日朝早く起きて正解だったな~♪」
嬉しそうにクロロは笑う。そんな彼女にしかめっ面で東雲は言った。
「まったく、どうしてまた今日に限って早起きをしたのだお前は。」
「いや~、なんか小鳥さんが窓をつついて起こしてくれたんですよね。」
「小鳥が?………………まさか……。」
クロロの言葉に東雲はある違和感を感じとる。
(小鳥が窓をつついて起こした……だと?しかも今日に限って……。そんな偶然があるはずがない。考えられるとすれば……アイツが裏で手を引いていた。それしか考えられんな。)
東雲の脳裏にある人物が浮かぶ。
(今度顔を見せたとき、問い詰めてやらねばなるまい。妾の計画を邪魔したツケはきっちりと払ってもらわねばならんからな。)
東雲がそんなことを考えていると、二人の前にルアがローストを終えたナッツを持ってきた。
「はいっ、お待たせしました。」
「おっ!!待ってました~!!」
「これを食らえば妾の胸が……くくくくく。早速いただくとしよう。」
東雲はナッツを一つ手に取ると、ぽいっと口に放り込んだ。そしてゆっくりと噛む。
「むっ、生で食べたときとは大違いだ。甘さが際立ち、何より香り高い……それにエグ味が消えている。」
「ん~っ!!おいし~っ、これならいくらでも食べれそう。」
しっかりとした食レポをする東雲の横でクロロは次々とナッツを頬張る。
「おいクロロ!!少しは自重しろ、もとは妾のモノだぞ!!」
「にゅふふふ……食べたもん勝ちですよ~っ!!」
「くっ、貴様には負けんぞ!!」
東雲も負けじと、次々とナッツを食べ始めた。競り合いながらも喧嘩する様子の無い二人の姿を見てルアは安心したように微笑んだ。
そんな時…………。
「なにやら良い匂いがしていると思えば……いったい何を食べているのだ?」
「あ、ロレットさん。それにお母さんとエナさんも。」
食堂に入ってきたのはロレットだった。どうやら香ばしい匂いに誘われたらしい。そして彼女の後ろから由良とエナも顔を出した。
予期せぬ来訪者に、東雲とクロロの表情が凍り付く。二人の視線は彼女達の胸へと向けられていた。
「今ちょうどナッツをローストしたところなんです。よかったら食べて…………えぇっ!?」
ロレット達にも食べてもらおうとしたルアだったが、先ほどまで皿に山盛りに盛ってあったナッツが一粒残らず消えていることに気が付く。
そしてクロロと東雲の二人の頬がまるでリスのように大きく膨らんでいた。
前世の頃から培っていたお菓子作りの技術を最大限に使い、あっという間に調理が進んでいく。それと同時に厨房の中にはナッツの焼ける香ばしい香りが漂い始めた。
せっせと厨房の中で動き回るルアを眺めているクロロと東雲は二人であることを話し始めた。
「あの……東雲さん?」
「なんだ?」
「さっきの怒ったルアちゃんすっごく怖くなかったですか?」
クロロは先ほどエルフの集落にてナッツをめぐり二人で喧嘩に発展しそうなときに、それの仲裁に入ったルアの怒った表情が脳裏に焼き付いていた。
「まぁ、普段怒らんやつが怒ると存外恐ろしいものだ。」
熱いお茶をすすりながら東雲もそう言った。
クロロと同じく東雲もあの時のルアの怒った表情が頭から離れないらしい。
「よもや妾の魔法にまでも干渉するほどの力をあそこで発揮するとは思ってもみなかったがな。」
「ルアちゃんも順調に強くなってる……ってことなんですかね?」
「だろうな。」
クロロの問いかけに頷きながらも、東雲は先ほどのルアのメタモルフォーゼにある疑問を抱えていた。
(……ルアが先ほどメタモルフォーゼで化けたのは妾に間違いない。だが、妾とは明らかに魔力の量が違った……。以前は妾よりも少ない魔力量だったはず。何がきっかけだ?)
以前ルアが東雲のことを思いメタモルフォーゼをした時、その時は彼女よりも魔力量が少なかった。しかし、先ほどのルアは東雲の力を圧倒的に超えていたのだ。
(考えられるとすれば……感情の起伏が原因か?そうであれば、一度目の天使の襲来の時……もっと力を増幅できたはず。……考えれば考えるほど泥沼に嵌まっていくようだな。第一、本人すらもよくわかっていないものを他人が考えようとするのが間違っているか。)
今現状ではルアのメタモルフォーゼがどんな仕組みであるのか、さっぱりわからないと結論付けた東雲は考えることを止めた。
「……にしても良い香りだな。香ばしい。」
「ですね~。あんな小さな木の実にまさか胸を大きくする効果があるなんて……ビックリですよ。」
「もとはルアが教えてくれたのだ。ナッツには胸を大きくする効果がある……とな。本来ならばお前に覚られずに妾だけそれを体験しようとしていたのだがな。」
「そんな抜け駆けなんてさせませんよ~。それでもそう考えると、今日朝早く起きて正解だったな~♪」
嬉しそうにクロロは笑う。そんな彼女にしかめっ面で東雲は言った。
「まったく、どうしてまた今日に限って早起きをしたのだお前は。」
「いや~、なんか小鳥さんが窓をつついて起こしてくれたんですよね。」
「小鳥が?………………まさか……。」
クロロの言葉に東雲はある違和感を感じとる。
(小鳥が窓をつついて起こした……だと?しかも今日に限って……。そんな偶然があるはずがない。考えられるとすれば……アイツが裏で手を引いていた。それしか考えられんな。)
東雲の脳裏にある人物が浮かぶ。
(今度顔を見せたとき、問い詰めてやらねばなるまい。妾の計画を邪魔したツケはきっちりと払ってもらわねばならんからな。)
東雲がそんなことを考えていると、二人の前にルアがローストを終えたナッツを持ってきた。
「はいっ、お待たせしました。」
「おっ!!待ってました~!!」
「これを食らえば妾の胸が……くくくくく。早速いただくとしよう。」
東雲はナッツを一つ手に取ると、ぽいっと口に放り込んだ。そしてゆっくりと噛む。
「むっ、生で食べたときとは大違いだ。甘さが際立ち、何より香り高い……それにエグ味が消えている。」
「ん~っ!!おいし~っ、これならいくらでも食べれそう。」
しっかりとした食レポをする東雲の横でクロロは次々とナッツを頬張る。
「おいクロロ!!少しは自重しろ、もとは妾のモノだぞ!!」
「にゅふふふ……食べたもん勝ちですよ~っ!!」
「くっ、貴様には負けんぞ!!」
東雲も負けじと、次々とナッツを食べ始めた。競り合いながらも喧嘩する様子の無い二人の姿を見てルアは安心したように微笑んだ。
そんな時…………。
「なにやら良い匂いがしていると思えば……いったい何を食べているのだ?」
「あ、ロレットさん。それにお母さんとエナさんも。」
食堂に入ってきたのはロレットだった。どうやら香ばしい匂いに誘われたらしい。そして彼女の後ろから由良とエナも顔を出した。
予期せぬ来訪者に、東雲とクロロの表情が凍り付く。二人の視線は彼女達の胸へと向けられていた。
「今ちょうどナッツをローストしたところなんです。よかったら食べて…………えぇっ!?」
ロレット達にも食べてもらおうとしたルアだったが、先ほどまで皿に山盛りに盛ってあったナッツが一粒残らず消えていることに気が付く。
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