もんむすッ!めたもるふぉ~ぜ☆~世界に♂はボク一人!?~

しゃむしぇる

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第三章 終焉を呼ぶ七大天使

第176話 キツ~イお説教

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 アポロンのみを視界に捉えていたレトの体に獣達が次々と噛みついていく。しかし、アポロンの思惑通りにはいかず、レトは何も動じずにただアポロンへと向けて鋭い視線を向けていた。

 彼女の冷たく凍るような視線に、アポロンの背筋にゾクリと冷たいものが走る。

「ハハ……ハハハハ!!母上、眼光を向けるだけでは何もできませんよ?」

「………………。」

 ズン……ッ。 

「っ!?」

 強がり、笑うアポロンだったが、レトが大きく一歩を踏み出したことで表情が凍りついた。

「な、なぜだ?なぜ歩けるっ!!神の肉体ですらグズグズに腐らせる疫病を宿した獣だぞ!?」

「……そんな疫病なんて、体の内側に入らせなければどうってことないじゃない。それと……いつまで噛みついてるのよ!!」

「ギャン!?」

 レトから黒いオーラが再び放たれると、彼女の体に噛みついていた獣達は死の予感を感じとり、離れようとしたが……。

「命じる、命を燃やせ。」

「……!!」

 アポロンが再び神命を出すと、レトの周りにいた獣達が次々に体の中から炎を吐き出して爆発していく。

 そして間近で爆発を受けたレトだったが、爆煙の中から何事もなかったかのように姿を現した。

「チッ……やはりただの獣程度では役に立たない。」

「命をこんな風に雑に扱え……なんて誰に教わったのかしら?私はそんなこと……教えた覚えはないわよ!!」

 レトは地面を蹴りアポロンへと一直線に向かっていく。

「ハハハハ、俺はアルとは違う……。やつは母上あなたに似たが、俺は父上に似たんだッ!!」

 そう叫ぶとアポロンは銀色の弓に矢をつがえ、レトへと向かって放つ。放たれた矢は爆炎を纏いレトに襲いかかる。

 しかし……。

「父親に似た……ね。」

 ポツリとそう溢しながらレトは、あっさりと爆炎を纏っていた矢を手でつかみ取りへし折った。

「あの人だってねぇ……そんな風に命を使ったりしなかったわよ!!」

「っ!!」

 そしてあっという間にアポロンとの距離を詰めたレトは、彼の目の前で拳をギチギチと音がするほど強く握り込んだ。

「歯を食い縛りなさい。今日の説教は激しいわ……よっ!!」

「ぐぅぁっ!!」

 レトの拳はアポロンの頭に向かって振り下ろされ、その直撃を受けたアポロンは勢い良く真っ逆さまに地面へと落ちていく。

「がっ……ぐぅぅ…………。」

 落下の衝撃で土煙が舞い上がり、その中心でアポロンは拳骨を落とされた頭を押さえて苦しんでいた。
 そんな彼の前にレトが降りてくる。そしてアポロンへと向かってあることを言った。

「今のはアルの世界を破壊した罰よ。」

「くっ………アァァァッ!!」

 再び銀色の弓に手をかけたアポロンは、至近距離でレトへと向かって矢を放つが、彼女はまたしてもあっさりとそれを受け止めてしまう。

「そしてこれは……私を裏切った罰ッ!!」

「ブフッ!!」

 今度はレトは平手でアポロンの頬を思い切り打った。到底平手打ちしたとは思えない音と衝撃で、アポロンは木々を薙ぎ倒しながら吹き飛んでいく。

「~~~ッ……。」

 巨大な岩にぶつかることでようやく止まったアポロンは、膝から崩れ落ちる。しかし、そんな彼の目に見覚えのある靴が映った。

「ま、まっへくれ母上!!ウグァッ!!」

 咄嗟に腫れ上がった顔を上げてそういったアポロンだったが、レトに彼の言葉は届かず、代わりに彼の腹部にレトの拳がめり込み、再びアポロンは岩に叩きつけられる。

「待ってくれですって?笑わせんじゃないわよ。あんたはアルのその言葉を聞き入れたの?」

「~~~……っ、そ、それは……。グェッ!!」

 アポロンが答えに詰まっていると、再びレトの拳がアポロンの体にめり込む。それと共にどんどん彼の体が岩の中に沈んでいく。

「ゴフッ……アァ…………は、母上……。」

 吐血し、息も絶え絶え……と言ったようすのアポロンだが、そんな彼に無慈悲にレトは再び拳を振り下ろした。

「ア゛………グ………。」

「これで最後。暫くは体を再生するのも無理だろうから、そこで岩に埋もれながら反省してなさい。」

 レトがそう言葉を発すると、ガラガラと岩が崩れ落ち、アポロンは生き埋めになってしまった。

「さて……バカ息子に説教も済んだし、帰るかしらね。」

 そしてレトはアポロンの世界を後にした。











 レトがアポロンの世界を後にしてから少し時が流れ……アポロンが埋まっている岩の前に何者かが姿を現した。

「今回はずいぶん派手にやられたな。生きてるか?」

「……その声は…………ハハハハ、懐かしい声だ。」

「まったく、世話が焼けるやつだよお前は。」

 その者は岩に埋もれたアポロンを引っ張り出すと、大きなため息を吐いた。

「ハハハハ……やはり母上は手加減というものを知らないようでね。こんなにボコボコにされたよ。」

「はぁ、だがそれも全てお前が望んだことだろう?」

「もちろん!!臓物を破壊させられる痛み、骨を折られる痛み……この全てが俺の快楽なんだからな。特に母上の仕置きは最高だ……容赦がない。本当に命の危険を感じたよ。」

「昔から変わらないマゾヒストっぷりだな。」

「ハハハハ!!それは俺にとっては褒め言葉さ。」

「はぁ……それで?その体でこれからどうするつもりだ?」

 半ば呆れながらそう問いかける男にアポロンはニヤリと笑いながら言った。

「そんなの決まってる。母上を目の敵にしているあの女神に寝返った……と思わせ、またこうして痛め付けてもらう!!」

「レト様がやられそうになったらどうするんだ?」

「もちろん助けるさ。この極上の快楽を与えてくれるのは母上しかいないからね。ハハハハ……ハハハハハハハハ!!」

 アポロンは生粋のマゾヒストだった。レトに痛め付けられることで快楽を得ている。故に今はレトのこと裏切り怒りを買っているらしい。

 この事実を知っているのは彼自身と、彼の前にいる男……二人のみである。
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