もんむすッ!めたもるふぉ~ぜ☆~世界に♂はボク一人!?~

しゃむしぇる

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第三章 終焉を呼ぶ七大天使

第183話 過去と今

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「あ……れ?ボク今まで何を……。」

「どこまで覚えていますか?」

「えっと、ルシファーさんにメタモルフォーゼした後…………。」

 それ以降ルアの言葉が詰まる。どうやら覚えているのはそこまでなのだろう。ルシファーもそれを悟ったようだ。

「そのあと、ルア様は深い眠りについていたのですよ。」

「そう……だったんですか。」

 ルシファーはあえてルアに事実を伝えることはしなかった。

「ルア様が眠っている間は私がこうしてお守りさせていただきました。」

「あ、ありがとうございます。えっと、それとは別に一つ質問があるんですけど……。」

「はい、なんでしょうか?」

「なんでこんな高いところにいるんですかぁっ!?」

 チラリとルアが下を見ると、ロレットの城が小さくなっていた。

「フフフ、少し遊覧飛行をと思いまして。」

「お、降ろしてください!!怖いです!!」

「怖いことなどありませんよ。それに、今のルア様は飛べるではありませんか。」

「えっ?」

 ふわりとルシファーがルアから手を離すと、彼の体は自然と宙に浮いた。 

「わぁっ!?えっ?えぇっ!?」

「そんなに驚くことではありませんよ。今のルア様は天使なのですから。」

「ボクが……天使!?」

 ルアはルシファーのその言葉を聞いて、自分の体を確認し始めた。
 まず真っ先に彼の目に入ったのは、背中から生える純白の大きな翼だ。何枚も対になっている。
 それを見たときにルアの中にある疑問が浮かんだ。

「あれ?ルシファーさんの翼は黒いのに、なんでボクのは白い?」

「ルア様の翼は天使の翼でございます。私の翼は堕ちた天使の翼……故に黒いのです。」

「じゃあ今のボクは天使だったルシファーさんの姿……ってことですか?」

「そういうことになりますね。」

「ほぇ~……。」

 そうして今の自分の姿への理解を深めていると、ふと彼の目に自分の周りをふよふよと回る光の球が映った。

「ルシファーさん、これは?」

「それは明星と言って、私専用の神器でございます。」

「神器……。」

 ルアは神器という言葉に聞き覚えがあった。それはアルが七大天使についての説明をしていたときに話していたもの。

「扱いには十分ご注意ください。それは光に触れた者の存在を掻き消す効果がありますので……。」

「えぇっ!?危なっ……。」

 好奇心で明星へと手を伸ばしていたルアは、ルシファーの言葉を聞いてその手を引っ込める。
 そんな彼の仕草にルシファーはクスリと笑いながら言った。

「フフフ、そんなに恐れずとも大丈夫ですよ。明星は自分の主を消したりはしません。扱いに慣れればとても有用なものなのですよ?」

「じ、じゃあこれ触っても大丈夫なんですか?」

「はい。」

 そして恐る恐るルアが明星へと向かって手を伸ばす。いざ、その手が明星へと触れると妙に暖かい感覚だけしか感じることができなかった。

「ほ、ホントに大丈夫だ。」

「フフフ、他にも明星は自分の思ったように動かしたり、形を変えることができたりといろいろなことができますよ。例えばこのように…………。」

 ルシファーは手のひらに明星を出現させると、その形をハートにしてみせた。

「へぇ~、すごい!!ボクもやってみよ。」

 そうしてルアは明星で遊び始めた。そんな彼の姿を微笑ましく見守っていたルシファーの背後にある人物が現れた。

「とんでもない力がぶつかり合ってたから何事かと思って来てみれば……もう終わったのね?」

「おや、これはアルテミス様。ご心配をお掛けしたようで申し訳ありません。」

「まったくよ……と言いたいところだけど。まぁ、特に被害も出てないし今回は目を瞑っておくわ。」

「フフフ、ありがとうございます。」

「あの子の守護をするのはいいけれど、この世界を壊さないように……ね?わかった?」

「肝に銘じておきましょう。」

「わかってくれたなら結構。……それじゃちょっと失礼するわよ。」

 そう言うとアルはどこからかカメラのようなものを取り出し、ルアの方へと向けた。

「アルテミス様、それは?」

「ん?これ?お母様がくれたカメラってものらしいわ。これを使うと、こんな風に~……。」

 パシャリと音が響くと、アルが手に持っていたカメラからルアが写り込んだ写真が出てくる。

「今の景色を保存しておける便利な道具なのよ。」

「そんなものもあるのですね。」

「それじゃ、何も問題ないみたいだし……私はもう行くわね。」

 そしてアルは地上へと帰っていったのだった。
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